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*小さなお食事会

 ルームサービスが届き、豪勢な料理がダイニングテーブルに並べられる。

 シーザーサラダに鯛のカルパッチョ、ヒラメのムニエルとメインは子牛のソテーだ。皿はどれも3人分しかないが、彼は食べないのだろうか?

「食べながら聞いてもらいたい」

 キッチンカウンターの角に片肘を突き、その手には琥珀色の液体の入ったグラスが持たれていた。

「そちらはお酒を飲みながらですか」

「気にするな」

 青司のトゲにしれっと発し、軽く氷を鳴らした。

「まずお前たちを攻撃したのはアメリカマフィアだ」

「イタリア系ですか? メキシコ系?」

「昨今では消滅する組織も少なくはない。寄り集まりといった処だろう」

 青司の質問に淡々と答える。

 マフィア同士は仲が悪いものだが、生存を懸けたものならば、新たな組織が作られるまでの仮組織だと推測するに至る。

「狙われたのは、やっぱり絵理?」

 陣の質問にベリルは頷く。

「身代金目的である事は間違いないが、よしんば関係をつなぎ組織を強固なものにしようと考えているのだろう」

 それに軽く舌打ちした青司を一瞥し、話を続ける。

「そのため、あまり組織化されていない」

「でも、どうしてマフィアが絵理を狙うんです?」

 いくら絵理の親が財閥とはいえ、アメリカのマフィアが狙いを定めるなんて、どこか変だ。

 当然の疑問にベリルは小さく笑みを浮かべた。

「彼らも形振なりふり構っていられないようでね。大金が動くとなれば、依頼内容はあまり選ばない」

「まさか、絵理を知っている人間が?」

 青司の表情が険しくなる。

「もしくは、御剣財閥に関係している人物か」

「じゃあ、日本に帰っても安心出来ないという事ですね」

 ようやく陣たちは事の重大さに気がつく。

「彼が真実を言っているなら。の話だけどね」

 わざわざ険を刺さなくてもいいだろうに……陣は、青司を呆れて見つめた。

「それを証明は出来んな」

 飲み干したグラス越しに苦笑いを浮かべた。

「そなたは何故、そこまでしてくれるのだ」

 食べ終えた絵理が問いかけた。

「知った情報を捨て置く訳にもいかなくてね」

 州警察に知らせる事も考えたが、事を荒立てるのもどうかと思ったのだよ。

 柔らかな口調で発し、食べ終えた食器を重ねずにワゴンに乗せていく。


 食事を済ませた陣たち3人は、1つのベッドルームに集まり、これからの事を話し合った。

「やっぱり信用出来ない」

 青司の第一声に、陣は肩をすくめた。

「でも実際に襲われた訳だし、あの人がもし味方じゃなかったとしてもだ、こんな回りくどいことをするかな?」

「そんなこと解らないだろ」

 陣のもっともな意見に若干、ムッとしながらも反論する。

「傭兵とは、ああいうものなのか」

「まさか! あれじゃあ、ただのおせっかいだ」

 不機嫌よろしく、問いかけた絵理に呆れた声色で応えた。

「そんなに警戒する相手か?」

 陣がいぶかしげに発すると、鋭く切り返す。

「あいつの服装をちゃんと見て無かったのか。とんでもなく武装してたんだぞ」

「そうなの?」

 小首をかしげる陣に苦い表情を浮かべた。

「左脇が若干、浮いてるのはともかくとして、腰の後ろにも何か隠してるし、もしかしたら足首にも何か装着してるっぽい」

 最低でも、拳銃は2丁以上を所持してると思う。

 なんだかんだで見ている青司の言葉に唖然とした。

「とにかく明日、空港まで送ってもらうまで油断しないようにしよう」

 はなから信じようとしない青司に、何を言っても無駄だろう。

 ベリルという人物も、それについては気にしている風ではなかった。

 寛容な相手に感謝しつつ、あてがわれたベッドルームに戻る絵理の背中を陣は見送った。

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