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ルーシッド・エデン ―ライバー冒険者の面接に全落ちした私は、実績作りのためにダンジョンを攻略する―  作者: 野干かん
交錯する足々

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29話 天空大陸 3

 岩石丘陵エリアの出入り口小屋を見つけ、一度ゲートに戻ってから再入場場所を変更し、冒険を再開した。

 そして、アーケイン・パネルに道筋を記録しながら、その次の巨木の森に向かう。


 岩石丘陵エリアは、岩の上を飛び越えていき、多くの冒険者を追い抜いていった。

 それ故に、この巨木の森には冒険者が見られない。

 一番乗りなのかもしれない。


 私はほぼ一直線に巨木の森に向かって進んできたので、ここは第三円にあたる場所のはず。

 同等のエリアで相手をしたモンスターは、ペトロボア、ヴァーダントトードとダイブウィング、そしてプライム・ヴァーダントトードだ。

 ボス級を除いた場合、油断をすれば退場は免れない相手であり、警戒は必要だろう。

 矢筒からえびらに矢を移し、周囲に視線を向けながら、私は足を進める。


 仮に巨木森林エリアと名付けたエリアは、直径一〇バシス(10メートル)を優に超えるほどの幹をした、巨大樹とでもいうべき樹木によって構成されている。

 巨大樹同士の間はそれなりに広いものの、地面には木の根により多くの段差が作られ、その表面には苔が生しており、油断をすれば蹄が滑ってしまうだろう。


 私が木の根を飛び越えて進んでいると、物陰からモンスターが顔を出す。

 トカゲのようでありながら、その体躯は大きく、体高は一五〇バシコン(150センチ)ほどで、背中を中心に手の平ほどの大きさをした鱗が隙間なく生えているではないか。

 私は、このモンスターを知っている。

 …『アースドラゴン(地揺竜)』だ。


 アースドラゴンといえば、郷守様に観せてもらった『銀眼』のシュタールが戦っていたモンスターで、華麗な二刀剣術を駆使して鱗を切り落とし、最後には首を落として勝利をしていた。

 あの映像を思い返すと、滑らかに鱗を切り落としていたが、見た目よりも柔らかいのだろうか?

 …いや、『銀眼』のシュタールが凄かったのだろう、舐めてかかるのは良くない。


 弓を握る手に力を込めると、アースドラゴンも私に気がついたようで、口を開けて大きな鳴き声を放つ。


「グゥォオアアァァ!!」


 その咆哮ほうこうは私の身体だけでなく、心さえも揺らすほどで、引き返したほうがいいのではないかと思わせる迫力があった。

 けれど、あの『銀眼』のシュタールが戦って、映像が明蝉国まで届くほどの相手を前に、私が退くわけにはいかない。


 弓に矢を番えた私は、アースドラゴンが動き始める前に射撃を行い、鱗の硬さを確かめる。


「うわぁ…」


 角度の都合もあるのだろうが、軽く表面を撫でただけで、矢は明後日の方へと弾かれていった。

 弱点ではない部位で、硬い鱗を有した相手なら当然の結果か。

 『銀眼』のシュタールの剣捌きが凄かったのだろう。


 となると私は、私なりの戦い方でアースドラゴンを討伐する必要がある。

 アースドラゴンが突進してくるのなら、ペトロボアみたいに地形に体当たりしてもらって弱らせられるだろうか。


 相手の攻撃を誘うため、近すぎない程度に距離を詰めてみると、アースドラゴンは息を大きく吸って身体を膨らませる。

 この動作は、映像でも観たことがある。

 相手の攻撃を予測した私は、進行方向を無理やりに変えると、アースドラゴンの口から強烈な衝撃波が放たれて、地面や木の根を抉り取っていた。


「あれがドラゴンブレス。…直撃したら私は退場かな?」


 無理矢理に進路を変えた都合、私はアースドラゴンにかなり近づいてしまった。

 このまま突進を誘えればと考えたものの、長い尻尾を鞭のように振り回すばかりで、その場を動く様子はない。


 こうなると矢を射掛けて戦うしかないわけだが、脳天や喉、心臓といった弱点部位を狙うには鱗が邪魔だし、とりあえず目でも狙ってみよう。


 尻尾の振り回しを躱した私は、アースドラゴンの目を狙える位置に移動し、まずは一本、矢を射かけてみた。


「グギャァアッ!!」


 意外と目への防御は甘かったのか、すんなりと矢が刺さり、血液を滲ませている。

 目への攻撃が通るなら、勝機はあるかもしれない。

 モンスターは、心臓などの致命的な弱点を攻撃しなくても、一定以上の攻撃を蓄積させることで倒すことができる。


 勝ち筋を見つけた私は、常にアースドラゴンの死角に陣取りながら矢を放ち、何度も潰れた目に命中させることでアースドラゴンを倒すことに成功した。


「はぁー…。倒すことはできたけど、同じ箇所を十八発も狙わないといけないのは大変かもしれない…」


 ややゴリ押し感のある勝ち方だが、勝ちは勝ち。

 憧れた『銀眼』のシュタールが倒していたアースドラゴンを、私一人で倒せたという達成感を胸に、地面に転がる矢を拾う。

 矢筒と箙に矢を戻していき、出入り口小屋を探そうと歩き出した時、新手のアースドラゴンが、木の根を飛び越えて私に向かってくるではないか。

 先程の個体と比べて活発なアースドラゴンは、高く跳躍をして私に影を落とす。


 あっけにとられていたせいで退避が遅れた私だが、顔を引きつらせながら足を進めてみるのだが、間に合うかと聞かれれば首を横に振らなければならない。


「しくじっちゃったかなぁ…」


 なんて言葉を漏らすと、鈍い輝きがアースドラゴンに襲いかかるのであった。

誤字脱字がありましたらご報告いただけると助かります。

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