27話 ランキング
巨人のユニークボスであるヒートヘイズを倒してから、十五日ほどの時間が流れた。
ヒートヘイズを倒し攻略に一区切りついたことで、私たちアローズは映像の編集に尽力し、一週間前にヒートヘイズ戦の映像を投稿した。
その反響はかなり大きなもので、未確認のユニークボス撃破の話題は、冒険者を中心に広がっていき、私たちの映像は日間ランキングに載ったのだ。
一時期に話題を集めた私たちアローズだが、今日は映像を投稿してから一週間であり、週間ランキングが本日更新されるらしい。
私は、ノクサラさんとアザレアさんが用意してくれた卓上モニターの前で、更新の時を今か今かと待っている最中だ。
私の目に留まったのは、『週間視聴回数ランキング&注目パーティ紹介』という映像だ。
『はぁ〜い、皆さんこんにちは〜、今週のランキング発表のお時間がやってまいりました〜。毎度毎度、進行を務めさせてもらってる、ニーヴちゃんで〜す』
「おぉ、始まった」
『さて〜、ルーシッド・エデンの今年の第二シーズンが終わろうという時期ではありますが、今回はとびっきりのニューフェイスが現れて、世間を騒がせていましたね〜。その辺りもしっかりと紹介いたしますので、今回もお付き合いをよろしくお願いしま〜す』
今のはもしかしたら私たちのことかもしれない。
胸を高鳴らせながら、私は映像に注視する。
ランキング上位は、有名なクランの筆頭的なパーティが多くを占めており、いつもお世話になっているヴァン・フェール第一、ノクサラさんの元いたクラン『シュトラーレンゾンネ』から複数のパーティ、私が落とされてしまったクランのパーティなど様々だ。
こうしてみていくと、やはりクランに所属しているパーティが多く、アローズのようなフリーのパーティは、ほとんど見られない。
『ではでは〜、昨今話題の渦中にあった、この映像を紹介しましょう〜。パーティ「アローズ」の「ユニークボス・ヒートヘイズ戦」で〜す』
「やった!しっかりとランキングに入ってるっ!」
『いやぁ〜、ランキングは惜しくも十一位と、トップテン入りは果たせませんでしたが、大手ひしめく週間ランキングの牙城に、ニューフェイスが一矢報いたことに称賛を送りたいところですね〜』
私たちの映像、そのダイジェストをニーヴさんが解説してくれている。
現状、新たに確認されたユニークボスということもあって、ヒートヘイズの評価に手をこまねいている雰囲気はあるものの、五段階評価の内、二段階目くらいではないかと語っていた。
ヒートヘイズ以上に強いボス級がいる。それこそ、ヴァン・フェールの皆さんが戦っていたような相手が、まだまだ三段階分いるのだとすれば、私たちも今の状態に満足していられない。
もっと色んな相手と戦って、すごい映像を投稿したいと、私は思った。
『ではこのまま、注目パーティ紹介のコーナーで〜す。言わずもがな、パーティ「アローズ」なのですが〜、や〜っぱ珍しい組み合わせですよね〜。三人パーティなのですが、全員種族が違いますし、四足獣人も混じっているわけですから。リーダーは鹿の四足獣人であるコハク・ホタビノさんで、あまり情報は多くなかったのですが〜、どうやらメイゼンという遠い異国の出身だそうで〜す。しかし〜短い弓を持って、ちょこちょこと走ってる姿は可愛らしいとは思いませんか〜?』
そのままノクサラさんとアザレアさんの話に移っていくのだが、ノクサラさんはクラン『シュトラーレンゾンネ』出身で、シュタール家の一員だということ。
アザレアさんは、セルヴィーノ家のご令嬢であるという、立場や家系に関する情報のみが語られていた。
これらはお二人にとって、あまり触れられたくない部分、だと思う。
ニーヴさんという方も、悪意があって紹介しているわけではないはずだ。
けれど、話題に上がり、有名になるということは、そういった個人の思いを蔑ろにされてしまうのではないかと、私は考えてしまう。
付きまとう過去と血筋。それらから生じる言葉を防ぐ傘に、私はなりたい。
私一人では、あのランキングに載ることはできなかったのだろうから、その恩返しだ。
『というわけで、とびっきり面白い組み合わせのパーティ「アローズ」。今後の活躍も要チェックですね〜』
アローズの紹介が終わり、ランキング一〇位以降が発表されていく。
私の目標は、このランキングの常連となって、私の…いえアローズの名を明蝉国まで響かせることだ。
けれど、視聴回数やチャンネルの登録者数、さらっと紹介される支援金などを眺めるに、私たちと上位層の差はかなり大きい。
今回の結果は、ヒートヘイズというユニークボスと戦えた結果によるもので、アローズとしての地力ではない。
浮かれないよう自身を戒め、コツコツと頑張っていこう。
ちなみに、翌日のノクサラさんは大層上機嫌で、アザレアさんも自身の情報が明かされたことを気にした風はなかった。
私一人で気負いすぎていたのか、気が緩んだ拍子に情けない笑みをこぼしてしまうのであった。
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