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ルーシッド・エデン ―ライバー冒険者の面接に全落ちした私は、実績作りのためにダンジョンを攻略する―  作者: 野干かん
夢を育む翼

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23話 廃城塞を進む 4

 スケルトン・ヘクサーと戦って二日ほどの時が経ち、私たちは未攻略の閂区画の前にいた。

 目的地である崩れたお城も目と鼻の先で、あと数区画を進めば辿り着くだろう。


「ここが、お城までの山場でしょうかね?」

「あと一回くらい閂区画があってもおかしくないが、楽に稼げる方がアタシはいいな」

「今期も残り少なくなってきましたし、次の再出現までには、廃城に辿り着くか、出入り口の小屋を見つけたいところですね」

「今期…あー、確かルーシッド・エデンって、一定期間で中身が変わるんでしたっけ?」

「九〇日ちょいのスパンで切り替わる一年四期制なんだよ」

「あと二〇日くらいなので、今期は廃城塞エリアで終わりですね」

「期間が切り替わったら、エリアいちから再スタートなんですか?」

「そ。新しいシーズンになると、エリア一にバカほど冒険者が集まるから、モンスターの奪い合いになる」

「ごちゃごちゃしてて、わたしはちょっと苦手ですね」

「エリアの構成も変わるんですよね?」

「そうですよ」


 そうなると、数日は今みたいな収入を安定して得るのは難しいのかもしれない。

 今はのびのびとモンスター討伐ができているが、これが譲ったり譲られたりになったら、やりにくい部分はあるだろう。

 私一人だけなら問題ないが、ノクサラさんとアザレアさんの生活を考えると、安定した収入を考えないといけない。


「…攻略の方針を早めに決めないと大変そうですね」

「パーティってなると、そうかもしれねえな。まっ、未来のことよりも、目の前のモンスターってことで」

「そうですね!それじゃあいつも通り、扉が開いたら私が突入しますので、お二人はその後に入ってきてください」

「わかりました」

「おう」


 巨人のユニークボスと戦ってから、閂区画に入る際は警戒をするようになった。

 これまで警戒が役に立ったことはあまりないが、楽観するよりはいいだろう。


 ノクサラさんが閂を外し、大扉を開いた瞬間、私は全速力で区画を突き進む。

 五四区画は、入ってすぐに通路の幅が広がっていき、中央と思しき場所は大きな広場のようになっており、その中央には二体のスケルトンが待ち構えていた。


 二体のスケルトンは、体格としてはやや大型だが、巨人という程ではない。片方が大剣を、もう片方が槍を握っており、私を見るなり勢いよく走り出した。

 …あくまでエリート級スケルトンの範疇だ。


 ノクサラさんとアザレアさんに合流しても問題ないと判断した私は、えびらに収めていた鏑矢かぶらやを抜き取り、スケルトンに向かって射掛ける。

 ピョォオオオ!と音を鳴らして飛んでいった鏑矢は、スケルトンたちの鎧に阻まれて弾かれたものの、お二人が移動を開始したので役割としては十分だ。


 スケルトンの足では私に追いつくことはできないようで、ノクサラさんとアザレアさんに合流する頃には、かなりの距離が開けていた。


「エリート級っぽいスケルトン・ウォリアーが二体ですっ」

「だな。アタシとコハクで一体ずつ対応する感じか?」

「そうですね…。私とアザレアさんで片方を倒して、その後にノクサラさんに合流という形でどうでしょう?」

「了解」

「わかりました」

「そんじゃ、アタシは大剣持ってるやつを相手したいんだが、槍持ち相手で問題なさそうか?」

「大丈夫です!…では、戦闘開始しましょう!」

「おう」

「はい」


 まず動き出したのは私とノクサラさんだ。

 ノクサラさんが縮地という技を使い、大剣スケルトンへと急速に接近し一撃を叩き込む。

 しかし、スケルトン・ウォリアー系のモンスターは、その鎧で攻撃を軽減してしまうので、身体が揺れる程度であった。

 とはいえ目的は倒すことではなく、相手の意識を自身に向けることだ。反撃が来る前に蹴りをたたき込んでから、離脱して距離を空けた。


 次いで私が槍スケルトンに対して射撃を行う。

 首元が鎧で覆われているため、直接首骨を狙うことはできないが、意識をこちらに向けるだけなら、大層な攻撃は不要だ。

 頭蓋骨に向けて矢を射ち込めば、骨を軽く砕いて突き刺さり、私の方へと向かってくる。


 さて、私たちはもうそこそこの日数をスケルトンと戦っている。

 エリート級のスケルトン・ウォリアーと戦うのも初めてではないので、対処法もしっかりと理解しているのだ。


「『ウッドピラー』」


 目の前に迫り上がる木の柱に飛び乗った私は、高所で弓を構えて狙いを定める。


 狙うのはスケルトンの口の中。首を保護するように鎧があるのなら、覆えない場所を射抜けばいいのだ。

 …とはいえ保険は必要だろう。

 私は、意識を弓矢とスケルトンに集中させ、武技アーツを使用する。


「跳ね喰らえ『飛貪矢ばった』!」


 弦に押し出された矢はスケルトンの口から侵入し、首骨を砕いたのだが、それだけにとどまらない。

 飛貪矢はモンスターだけでなく、壁や地面に命中しても跳ね返り、次の狙いへと突き進んでいく。

 そして私の狙いは槍スケルトンだ。鎧の内側で跳ね返り続ける飛貪矢は、けたたましい音を立てながら槍スケルトンの背骨を砕き続ける。


「アザレアさん!」

「はい!お任せを!『ロックフォール』!」


 槍スケルトンが自立できず、仰向けに倒れた時を狙って、アザレアさんが大きな岩を作り出して、頭蓋骨を圧し潰す。

 頭鎧を装着していたものの、岩の重さに耐えることはできなかったようで、頭蓋骨は粉砕され、槍スケルトンは消滅した。


 次は、ノクサラさんが戦っている大剣スケルトンだ。

 私たちは間髪入れずに、ノクサラさんの援護に向かう。

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