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ルーシッド・エデン ―ライバー冒険者の面接に全落ちした私は、実績作りのためにダンジョンを攻略する―  作者: 野干かん
烏銀に映るもの

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18話 閂区画 3

 第二区画の探索を終えれば、大扉を二つ見つけることができた。


「こっちに進めば順当に中心へ近づけるが…」


 ノクサラさんが訝しげな瞳を大扉に向けたのには理由がある。

 方角的に中心へ向かっているであろう大扉には、他のものとは異なり凝った意匠が施されており、かんぬきが掛けられている。


「ボス級ですかね?」

「かもな。時間はあるがどうする?」

「私は挑みたいです」

「アタシはまぁスタミナ的に余裕があるし問題ないが、アザレアはどうする?」

「ボス級相手だと本格的に役立たずになる可能性がありますが…」

「攻撃だけが戦いじゃないですし、相手がスケルトンとは限らないじゃないですか。一緒のパーティとして挑みませんか?」

「ええ、ぜひ」


 アザレアさんは朗らかな笑みを浮かべてから、アーケイン・プロキシを周囲に浮かべる。


「スケルトン系のボス級って、お二人は覚えがあったりしますか?」

「ありませんねぇ…」

「ねぇな。…なんつーか、スケルトンってめんどいから、ライバーだろうとライバーじゃなかろうと嫌煙されやすいんだ。だから情報も自然と少なくなるんだ」

「親近感が芽生えますねっ」

「枯らしとけ」

「えへへ。…それじゃあ挑みましょう!」


 ノクサラさんが、鉄で補強された閂を一人で持ち上げたことにも驚いた。

 しかし、放り投げられれ地面を転がった際の衝撃にも、私は目を丸くさせられる。


「今更ですけど、すっごい力持ちですね」

「鍛えてるからな。…というか、コハクよりは軽かったぞ?」

「あー、お酒の席はお手数をおかけしてしまいました」

「…。」


 ノクサラさんの予想とは反応とは違ったのだろう。彼女はつまらなそうに口を尖らせて、大扉を押し開ける。


―――


 第三区画。

 そこは今までの二つの区画とは少し形状が異なり、大扉から真っ直ぐに続く大通りのような道と、左右を塞ぐように立ち並ぶ建物で構成された区画だった。


 視界は遠くまでよく通るのにも関わらず、スケルトンの一体を見つけることも叶わず、閑散…いや、夜明けのような静寂が支配していた。


 三人で警戒しながら足を進めると、広場のような場所があり、スケルトンが二体佇んでいた。…いや、一体と一頭というべきだろうか。


 私たちの視線の先に佇んでいるのは、騎馬兵のスケルトンだ。

 馬のスケルトンは馬具を取り付けられ、騎兵のスケルトンは軽装を纏い、槍を握っている。


「騎馬兵ですね。戦うなら…、アザレアさんが地面を凍らせて、馬スケルトンの機動力を奪うところからでしょうか?」

「騎兵の方を撃ち落とせないのか?」

「相手次第だと思います。騎兵のスケルトンって肉がない分、軽そうじゃないですか。だから馬の機動力を活かせると思うんですよね」

「コハクさんに追いつかれてしまっては、弓矢の優位性が損なわれてしまうということでしょうか?」

「そういうことです。仮に私が槍を持ってきたとしても、身体の大きさが違いますから、不利を押し付けられることになると思います。…頭まで三バシス(3メートル)弱、ヒッポフォロスよりも大きな相手ですし」


 足を止め、騎馬兵スケルトンを観察する。

 大きさはお二人に伝えた通りで、槍の長さは二五〇バシコン(250センチ)ほどで、非常に長い間合いのモンスターだ。


「あのスケルトンの機動力を奪おうとしたら、コハクさんを巻き込んでしまうかもしれませんし…アーケイン・プロキシの速度では、追いつけないと思います」

「なるほど…。ではアーケイン・プロキシをどこかに置き、私が通過したら氷を張って足元を崩すのはどうですか?」

「フロストドメインは発生から完成までに時間がかかってしまいまして」

「魔法って難しいんですね。…ならどうしましょう、速力で追いつかれてしまうと、私は強く出られないといいますか」


 私たち三人は、騎馬兵スケルトンがこちらに来ないことを確認しながら、作戦を練る。


―――


「それじゃあ、できるだけのことをやりましょうか!」

「おう」

「かしこまりました」

「あっ、ちょっと待て」

「なんでしょう?」


 私が駆け出そうとすると、ノクサラさんはファミリオグラフを取り出して、アザレアさんに手渡す。


「エリアの番号と、挑む相手だけ伝えて、簡単な撮影をするぞ。映り方とかは気にしなくていい、失敗した場合の保険のようなもんだ」

「保険ですか?」

「映像記録があれば、なぜ失敗したのか、どういうアプローチが有効なのか、そういったことへの理解を早められるからな」

「おぉー!流石、ノクサラさんですね!ではアザレアさん、ファミリオグラフをお願いします!」

「ふふっ、お任せください」


 その後、簡単な挨拶をして、私たちはスケルトン・キャバルリーに挑むこととなった。

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