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ルーシッド・エデン ―ライバー冒険者の面接に全落ちした私は、実績作りのためにダンジョンを攻略する―  作者: 野干かん
烏銀に映るもの

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16話 廃城塞エリア 4

「どうする?」


 スケルトンとの戦闘と周囲の軽い索敵を終えると、ノクサラさんは疑問だけを口にする。


「何がですか?」

「いや、コハクが動きにくいなら、戻って別の道を探すのも有りだと思ってな」

「気遣ってくれるのはありがたいんですけど、お膳立てをされた場所しか歩けないようじゃ、私には未来がないと思うんです」

「ライバーってのは、ゴリゴリに活躍できて、視聴者を魅せれてなんぼだ。お膳立てありきだと思っていい。…それこそ、ユニーク種のボス級に挑むのなんて、ヴァン・フェールみたいに複数パーティを動かしてようやくだし」

「…なるほど。ですがそれならば、余計に戦える相手の幅が広い方が、見せ場を多く作れる気がするんですけど」

「まあそれも間違っちゃいないんだけどなぁ…」

「パーティを組むときにノクサラさんは言いましたよね、『足手まといはお断り。使えなきゃそこまでだ』って。しっかりと私を見ててください」

「…わかったよ」

「わたしもコハクさんをしっかりと見てますね」

「はいっ。見られて恥ずかしくないよう、精一杯頑張ります!」


 ノクサラさんが冒険者証明書を取り出し、スケルトンのスコアを確認するようなので、背筋を伸ばして覗き見る。

 すると今まで戦っていた相手は、スケルトン・ウォリアーというモンスターだったらしい。


「スケルトン・ウォリアー以外のスケルトンもいるんですか?」

「いるぞ。ただの骨だけで、武器も防具もないやつがスケルトン。弓を持ってりゃスケルトン・アーチャー。呪術を使ってくるのはスケルトン・ヘクサー、と色々だ」

「弓矢や呪術ですか…」

「一般モンスターで遠隔攻撃を使ってくるのは大概面倒だが、コハクとアザレアがいれば何とかなるだろ」

「そうですね、任せてください!」


 スケルトン・ウォリアーは一体十五スコアが分配され、今の戦闘だけでも四五〇スコアも稼げている。

 厄介な相手ではあるが、段丘湿地エリアや石林エリアとは比べ物にならないほどで、これなら私の生活は黒字に持っていけそうだ。

 …ただ、ジェルブ・ドールの宿代や食事代は値引きしてもらっているので、純粋な黒字とは言い難い。


「ところでコハクさんって、アンデッドが怖いのですか?」

「怖い…というよりは不気味といいますか。身罷られた方々は炎で弔い、遺灰をおかえししてしまいますから、人骨を人の形で見ることが少ないんです。そのせいか、ああいったモンスターは何と言いますか、胸の奥がザラザラしまして…」

「考えてみればそうですね」

「生まれた頃には映像文化は普及してたし、アタシたちはただのモンスターとして受け入れてたんだろうな」

「まあ慣れちゃいましたよねぇ、スケルトンとかゾンビとかって」

「あぁ」

「そういうものなんですね」


 私も慣れることはあるのだろうか、と思いながら、私たちは冒険のために足を動かし始める。


 しかし、廃城塞という名前もあって、このエリアは寂れた城塞のような場所である。

 老朽化した建物や、雑草の蔓延る通路。人のいた形跡がありそうなのだが、しっかりと調べてみるとハリボテのようだ。

 ルーシッド・エデンの内部は全てが魔導体によって構成されており、物品を持ち帰ることはできないので、屋内の物色などは意味がないのだが、なんとなく目で追ってしまう。


 何軒かの建物を覗き見ていくと、椅子に腰掛けていたスケルトン・ウォリアーと視線が合い、背筋を氷でなぞられたような感覚とともに跳び退き、弓矢を構える。


「中に一体いました」


 カタカタカタ。

 顎骨を打ち合わせる乾いた音が響くと、遠方から骨と鎧がぶつかり合う音が耳に届き、スケルトン集団との戦闘が始まるのだと私たちに告げられる。


「骨のある…いえ、骨ばっかりなエリアですね。私は首を射ち抜きますので、ノクサラさんは頭蓋骨の破壊。アザレアさんは氷壁での進行制限をお願いします」


 お二人の返事を聞いた私は、ノクサラさんの移動が少なくなるように考えながら、スケルトン集団の首を射抜いていく。


―――


「…はぁ…。結構、大変ですね」


 追加で現れたスケルトンは二〇体。

 スコアを稼げることはいいことだが、私たちの進行は非常に遅い。


「別ルート考えないと、今期はここが行き止まりになりそうだな」

「えーっと、一定期間毎に内部が一新されるんでしたっけ?」

「はい。九〇日毎の三ヶ月で切り替わります。今期はまだ六〇日ほどありますが、特定エリアに留まることは珍しくありません」

「本意か不本意かに関係なく、な」

「今の状況だと…敵の数が多いエリアだからでしょうか?実力不足というわけではありませんよね?」

「だいたいその通り。ただまあ、実力不足じゃないんだが、相性が悪いのも確かだ」

「そうなんですか。…いや、そうですよね」


 三人が各々でスケルトンを倒せるのなら、もっと効率的に戦闘が進められるのだが、私とアザレアさんに決め手が欠ける状況だ。


「何日か通ってみて考えるか」

「そうしましょう」


 私たちは来た道を戻りながら、上手い進み方を三人で話し合う。

誤字脱字がありましたらご報告いただけると助かります。

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