表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルーシッド・エデン ―ライバー冒険者の面接に全落ちした私は、実績作りのためにダンジョンを攻略する―  作者: 野干かん
パラデイソポリスの迷い鹿

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/23

7話 稜線を越えて 2

 本日のスタート地点はエリア五。

 二本角の山羊こと、クラッグホーンが主なモンスターとなる高山エリアだ。


 ノクサラさん曰く、ルーシッド・エデンはエリアいちを起点に四方八方へ果てなく続いており、モンスターの種類や景観が変化することで、別のエリアになるらしい。

 各エリアごとにゲートに繋がる小屋があり、昨日の私たちは山肌に建てられた小屋を使って、ルーシッド・エデンから退出したのだ。


 

「今日はどうします?このまま真っすぐに稜線りょうせんを目指しましょうか?」

「リョウセン?」

「山頂と山頂を繋ぐ、山の折れ目のことです」

「へぇ…。そうだな、そっから下を一望して、動きやすそうな場所に行こう」

「わかりました」


 出発する前、私は登ってきた斜面を見下ろすために振り返る。

 山林エリアを下った先には広い平原があり、そこでは多くの冒険者たちがモンスターとの戦闘を繰り広げていた。

 モンスターに対して冒険者の数が多く、のびのび戦うことは難しいのだろう。山を登ったのは正解だったのかもしれない。


「なんかあったか?」

「下の方は冒険者が多いなって思いまして」

「平地の方が戦いやすいから、だいたいのやつは下に向かうんだよ」

「そうなんですね」

「コハクにはあんま関係なさそうだけど」

「楽かどうかなら平地の方が楽ですよ。私の強みを活かせるかと聞かれたら、首を横に振らなくっちゃいけませんが」


 私が視線を戻し歩き出そうとすると、ノクサラさんは魔導具のようなものを取り出し、首を傾げながらいじっていた。


「なぁ、コハクって魔導具に強かったりしないか?」

「めちゃくちゃ苦手です。泊まっている宿の厨房すらよく分かってないくらいでして」

「えぇ…今までどうやって生きてきたんだよ」

「私の村はあんまり魔導具に頼っていなくて、生活魔法と人力で生活してます」

「え、もしかして、野生生物を追いかけて、それ食べて生活してたりすんの?」

「はい、狩猟の日もありますよ」

「マジか、古代人じゃん」

「さすがにそれはひどくないですか?」

「悪い。…まあでも、牧歌的っていうの、そういうのは大変そうだし」


 魔導具で便利な生活に慣れている人には、大変に見えるのかもしれない。山を自由に駆け回れたり、小川で釣りができたり楽しいんだけどね。

 そこら中に虫はいるけど。


「ところでそれは、…なんの魔導具なんですか?」

「ファミリオグラフ、まあ撮影用の使い魔型魔導具なんだけど、…昔に買ったまま使ってなくってさ」

「撮影用の魔導具なんですか!おぉ、おお!」

「飛び跳ねるな、気が散る」

「ごめんなさい。…ノクサラさんもライバーを目指してるんですか?」

「…そんなんじゃねえよ。それにこれは古い型だ、配信用じゃなくて撮影用、最近流行りのリアルタイム配信はできない」

「あー、なんか色々あるんですね」

「…スター冒険者になりたいって割には、何も知らんのな」

「恥ずかしながら、あっちこっちに面接に奔走していて、ほとんど勉強できていないんです。パラデイソポリスって、街そのものがとっても広いじゃないですか、往復と面接だけで一日が終わっちゃうんですよ」

「乗合の魔導力車に乗るのは、…微妙か」


 乗車できないわけではない。…なんなら一度だけ乗ってみた。

 魔導力車というのは、基本的に二足種族のために作られており、エラフォロスが腰を下ろせる座席はない。

 そして、魔導力車の速度自体も、私よりちょっと速いかどうかといったところで、停留所に停まる時間を考えたら、到着が遅くなってしまう。

 意外と不便な乗り物だった。


「…よし、動いた」

「おお!」

「とりあえずはコハクに追従させておくから、二〇分くらい、自由にクラッグホーンを狩ってみろ。他者からコハクがどう見えているのかがよく分かるぞ」

「わかりました!」


 カッコよく撮ってもらおう。


「ファミリオグラフは気にするな、自然体で戦え」

「え、なんでですか?」

「まあいいから、後で分かる」


 私はノクサラさんの言葉に頷いてから、えびらに刺さった矢を一本引き抜き、クラッグホーン目掛けて走り出す。

 すると、ぷかぷかと浮かんでいた、手のひらサイズの黒いお月様ことファミリオグラフは、私を追いかけて漂い出す。

 …結構速く走っても、しっかりと追いかけてくれそうだ。


 昨日の戦闘を思い出すと、首に矢を当ててもクラッグホーンは倒せず、もう一射を頭部に命中させる必要があった。

 なら、最初から頭を射抜いた場合は倒せるのだろうか。


 私は山肌を走りながら、こちらに向かってくるクラッグホーンの頭を狙い、着地と同時、腕に振動が伝わる前に弦から指を離して、クラッグホーンの頭を射抜いた。

 すると、クラッグホーンは悲痛な叫びとともに転倒し、そのまま山肌を転がり落ちて消滅する。

 よし、やれる。


 クラッグホーンと共に転がっていった矢を回収し、次の獲物を探して私は高山エリアを駆け回りながら、稜線を目指す。

誤字脱字がありましたらご報告いただけると助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ