38話 ハーフタイム
「おぉ〜皆さん盛り上がってますね〜。引き続き実況を務めさせてもらうニーヴちゃんで〜す」
私ニーヴちゃんは、リアルタイムライブに寄せられたコメントを確認しながら、途中からの視聴者に向けて現状を読み上げることにした。
「現在は第三マッチまで終わってまして〜。第一マッチはなんと引き分け、第二マッチは紅陣営ことシュトラーレンゾンネの勝利、第三マッチは蒼陣営ことスフル・デュ・クラージュが勝利をしました。両者一マッチずつを取ったところで、一旦の休憩時間となっておりま〜す。視聴者の皆さん的には、どのマッチのどの試合が良かったとかありますか〜?」
コメントの多くは、シュトラーレンゾンネのジネストラやジークヴィン、そしてエキシビションマッチに合わせて現場復帰したラバン。スフル・デュ・クラージュからはフロランなどをあげているのだが。
現在までの三マッチで惜しい戦いを繰り返している、アローズのコハクにも注目が向いている状況だ。
あっ、敬称は省略しておりま〜す。
第一マッチはラバンに引き分け、第二マッチ第三マッチはジネストラに敗北と、勝ち星こそは拾えてないものの、シュトラーレンゾンネの大物を引きつけ、戦力を削りに行っている印象だ。
「それでは要望の多い、第二マッチ第三マッチのジネストラ対コハク戦の切り抜きを流しま〜す。…スタート!」
ジネストラの用意した魔導弓に対してコハクは、ラバンの電光石火を模倣して翻弄しつつ、勝ち筋を作ろうと藻掻いていた。
第二セットでは至近距離の爆撃によって倒された。この際にジネストラを自傷する結果となったが、自身の翼で爆風を防いでいた。
第三セットでのコハクは、広い地形での混戦の際に雷の矢に射ち抜かれて倒された。ただし、コハクの最後の足掻きがジネストラの指を切断し、その後の戦闘で被弾し倒されている。
ユニークボス『ヒートヘイズ』討伐の映像がランキングに載った際、私は注目パーティだと紹介したが、ここまで上がってくるとは思ってもみなかった。
冒険者としての実力、チャンネル登録者数共に上位のジネストラが、ライバルとして喧伝していただけはある。
「いやぁ〜、手に汗を握る戦いですね〜。さてさて〜、それではルーシッド・エデン及びルーシッドキャストからの発表がありま〜す。ぱんぱかぱ〜ん」
私は手元のパネルを持ち上げて、しっかり映る画角に置く。
「次の次シーズンである来年の第一シーズンから〜、冒険者同士の戦闘を楽しめる特設エリアが一般開放されま〜す。その特設エリアでは、一対一のバトルから、パーティ対パーティの複数人バトルが可能で、戦闘結果に応じたスコアが配られることとなりま〜す。『毎度毎度、深くまで冒険するのが一苦労』『ソロだからちょっと効率が悪い』なんて人は、挑んでみるのがいいかもしれませんね〜」
パネルを切り替えながら詳細を説明していく。
そこまで詳しい事は触れていないものの、ルーシッドキャストの総視聴者数が増えてきた今、新しいことに挑戦していくのだろう。
今回のエキシビションマッチも、大手クラン同士であり、人気配信者が多くいることも話題沸騰の要因ではあるものの、今まで語られることが少なかった『どの冒険者が真に強いのか』という談義の火に薪を焚べる結果となった。
私としても、配信業界が盛り上がってくれる分には大歓迎だ。
「さてさてお次は〜、ばばーん!ルーシッドキャストでの配信制限を一部撤廃となっておりま〜す。パネルを見てもらえば大まかな流れは掴めると思いますが、今後はルーシッド・エデン外かつ、戦闘以外の配信が徐々に可能になっていきま〜す!…次シーズンから一部の配信者を皮切りに順次開放となっておりますので、配信者の方々やこれから配信をしたいと思っている方々の活躍にご期待くださいませ〜」
これは耳聡いクランや配信者は掴んでいた情報だ。
ルーシッド・エデンの収入は右肩上がりで、ルーシッドキャストの配信容量も、毎シーズンくらいの勢いで増量され続けている。
より自由に、より多様な配信をできるようにしようということだ。
戦闘外の分野の配信が始まるということは、既存の冒険者からすれば戦々恐々といったところだろうが、これはこれでいい刺激になるはず。
「いやぁ〜楽しみですね〜。それではルーシッド・エデンの発表は以上で〜す。コメントへの回答は、公式を通して行わせていただきま〜す」
私はパネルを伏せてから、第一マッチから第三マッチまでの振り返りをしつつ、コメントを拾っていく。
誤字脱字がありましたらご報告いただけると助かります。




