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ルーシッド・エデン ―ライバー冒険者の面接に全落ちした私は、実績作りのためにダンジョンを攻略する―  作者: 野干かん
交錯する足々

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33話 練習戦 2

「さて、それではエキシビションマッチに向けた練習を始めたいと思うのだが…まずはお互いにどれほど人と戦えるかを確認したいと思う」

「半分にでも分けて、戦ってみるってことか?」


 アタシ、ノクサラが質問をしてみると、フロランは顎に手を当てながら遠くを眺め、口元を緩めた。


「そうだ。一〇対一〇で本番と同じ形式で戦ってみよう。メンバーの振り分けは…二人のリーダーを立てて、交互に指名するとしよう」


 フロランは自身を蒼陣営、ヴァン・フェール第二のリーダーを紅陣営とした。

 先に選ぶのは紅陣営。

 彼はヴァン・フェール第二のアルセルを指名した。

 同じパーティのメンバーの方が選びやすいということか。


 こういった場でアタシがリーダーを請け負ったら、まず最初に選ぶのは誰だろう。

 …やっぱりコハクか。連係が取りやすいし、多少の無茶を頼みやすい相手だ。

 アザレアは…信頼していないわけではないが、勝ちに直結しない分、優先度は落ちる。


「では蒼陣営は、コハク・ホタビノさんを選ぼう」

「え?私ですか?」

「そうだ。コハクさんの地形に対する強さは、ここでの強みになる。期待しているよ」

「はいっ」


 意外だ。

 まずは挨拶がてら、同じパーティのメンバーを揃えるものとばかり思っていた。

 順繰りとヒッポフォロスたちの顔を見てみれば、大半が驚きを露わにしている。


 驚いていないのは…アルセルとアコアか。

 こいつら、妙にコハクに信頼を置いてる気がするんだよなぁ。なんかちょっと、面白くない。


 そんなことはさておき、交互の指定が続いていくと、紅陣営はヴァン・フェール第二を揃えつつも、他のパーティからもメンバーを選びつつ、アタシとアザレアを加えた。


 対して蒼陣営、こちらは第一と第三が半端に混じりつつ、コハクとアコア、セーラが加わった足並みの揃ってなさそうな組み合わせだ。

 最初のコハクで、次にアコアを取りつつ、中盤でセーラを入れていたから、本命は最初の二人なんだろう。

 普段のパーティが揃ってない分、連携力が落ちるはずだが、大丈夫か?


 …コハクと離れちまったが、対戦相手として実力をみてやる機会と思っとくか。


―――


 各陣営に分かれていくと準備時間が設けられる。

 初回は二〇分で、各試合の間は一〇分。

 本番はもっと長いらしいが、今回は練習なので巻き気味だそうだ。


「一〇対一〇ということで規模は半分。今回の模擬戦ではこちらから見て右半分を使用して行うこととなった。明確な線引きはないが、あまり左に寄りすぎないよう心掛けてくれ」


 アタシたちが返事をすると、第二のリーダーは話を続ける。


「人相手に戦えるかどうかは、試合をしながら確認するとして、無理そうであれば申し出てほしい。これに関しては、気持ちでどうこうできない部分もあるだろうから、十分に配慮してエキシビションマッチに挑みたいと考えている」

「今からメンバーの変更とかってできるのか?」

「無理だろう。…だから拠点防衛に回ってもらうことになる」


 エキシビションマッチ自体、初めての試みであり、試験的な催しであることは明確だ。

 今回は仕方ないことなんだろうな。


「まず一回目は、我々ヴァン・フェール第二の五名と、第一の二人を交えて攻勢に出ようと思う」

「ではわたくしと、ノクサラ、アザレアで防衛を担当するということですのね」

「頼む。前衛一人、魔法使い二人で、防衛には十分な戦力だと考えている」

「あいよ」

「承知しました」


 第三のヒッポフォロスは後衛の魔法使い。妨害をしっかりと敷ければ、多少の相手なら問題はないだろう。


「そうだ。コハクなんだが、離れすぎてないエリアなら、島を跳び越えて移動すると思う。攻撃隊はコハクの奇襲を警戒した方がいい」

「…彼女は、どれくらいの距離を跳べるのだろうか?」

「どれくらいだ…?ウッドピラーで高さと距離を稼いだりするよな?」

「そう、ですねぇ。一〇バシス(10メートル)くらいの距離なら、かるく跳躍している印象です」

「身軽だ…」

「見た目に反して身体能力は化け物級だからな。戦闘中に宙返りしたりするし」


 ヒッポフォロスたちは自身の足元に視線を向けた後、苦そうな表情を浮かべている。

 まあ、できないわな。宙返りなんて。


「では攻撃隊と防衛隊は各自話し合いをし、この試合に備えてくれ」


―――


 試合が開始すると、攻撃隊は颯爽と駆け出していく。

 アタシも攻撃側にいきたかったが、ヒッポフォロスと同程度の機動力を維持するのは難しい。

 今回は防衛に専念しよう。


 エリア模様は、中央が森林で、右側が草原。

 ただ、その二つのエリアには亜種エリアとも呼べる、類似しつつも変化のある島が付随し、ルート選びは重要だろう。


 防衛隊というのは敵が見えるまでは暇だ。

 とはいえ気を抜いてられないのも悩みどころ。


 アタシたちは魔法の組み合わせや、構造について話し合いを進めていると、森林エリアの方で何かが動いたように見えた。

 まさかなぁ…?


「…誰か来るぞ、魔法の準備をしとけ。『ヴァッサーフェアツァウベルン』」

「はい」

「かしこまりましたわ」


 警戒を露わにしながら鎧に水属性を付与すると、コハクが単騎で森林エリアから飛び出してきた。

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