第40話 家族の敵は
路地裏のまあまあ広めの場所で礼治は男達に囲まれており、その中にはEランクパーティーの『狼の牙』の三人がいた。
「よー久しぶりだなクソガキ」
『狼の牙』のリーダーである大剣を背負った男、ジルが前に一歩踏み出し、声をかけた。
「お久しぶりですね『狼の牙』のリーダーさんでしたっけ?今日は昼間から俺達の後をつけてきて、どういった用件でしょうか?しかもこんなに沢山の人を連れて」
そう言いながら礼治が周りを見渡して人数を確認すると、取り囲んだ男達は『狼の牙』の三人を入れて全部で十八人だった。
「それはだなクソガキ。テメエをフルボッコにしてから人質に取り、その後であの女を誘き出す餌になってもらうためだよ!」
今度は槍を背負ったフールに吹っ飛ばされていた男が喋り始めた。
「そんで女がきたら言う通りに従わなければお前の男を殺すと脅してから一昨日の仕返しとして俺たち全員であの女が壊れるまで犯させてもらうぜ」
「ついでにテメエが今日買ってた奴隷の嬢ちゃんも犯して楽しませてもらうぜ。ギャハハハハハハー‼︎」
槍男に続いて『狼の牙』の最後の一人で杖を持った男がシルフィアまでにも手を出すと言い張ってきた。
「へ〜。俺を人質に取ってフールとシルフィアを犯すね〜?」
落ち着いた顔をしていたが頭の中では既に自分の大切な家族の敵としてこの場にいる全員を潰すことを考えていた礼治である。
「因みに他の人達はどういった関係なんですか?」
それでも礼治はまだ行動には移さずに、ポーカーフェイスを保ちながら『狼の牙』と他の男達の関係について尋ねた。
「まあどうせあの女を犯し終わった後で絶望を与える為に殺す男だから教えてやるよ」
『狼の牙』のジルが礼治の質問に答える。
「俺達は普段、冒険者としては関わりはないがあることをする時はこうやって集まって全員で取り組むんだよ。それが新人潰しや調子に乗っている奴の指導とかな」
ジルはペラペラと喋り始めた。
「そんで今一番調子に乗っている奴等がお前等の二人なんだよ。お前等は今までの俺達が見てきた中で一番調子に乗っているフザケタ奴だと判断されたからな。他の奴らとは比べ物にならない位の残酷で絶望的な末路を送らせてやるよ。ギャハハハハハ」
ジルは喋り終わると背中に背負った大剣を取り出し構えた。
それが合図だったらしく他の男達も自分の得物を取り出し構える。
「そんなわけだ。オメェにはある程度怪我を負わせてから人質になってもらうぜ!」
喋り終わると同時に槍を持った男が礼治に走り寄り、槍で攻撃を仕掛けてきた。
「【疾風突き】」
男が技名を言った瞬間、突然スピードが上がり、脇腹目掛けて突っ込んできた。しかし、礼治にとって男の攻撃はあまりにも遅く、簡単に右に身体を逸らして躱す。
「まだだ!【火球】」
槍男の攻撃を避けた俺に今度は杖男が魔法で火の球を打ってきた。
「【タロットマジック】小アルカナ、金貨【土壁】」
瞬時に【タロットマジック】を発動し、異空間から土の金貨を両手に十枚ずつ取り出した礼治は飛んでくる火の球に向かって両手から三枚ずつ親指で弾き飛ばしてから呪文を唱え礼治と火の球の間に高さ二メートルの土壁を形成、火の球を簡単に防いだ。
「後ろがガラ空きなんだよ‼︎さっさと倒れやがれ‼︎」
隙をついたと思ったのか『狼の牙』と一緒にいた男達のうちの一人が斧を礼治の左肩目掛けて振り下ろそうとしていた。
「アンタラの動きなんて全部見え見えなんだよ!」
礼治は【気配察知】を常に発動している為に背後が見えなくても敵が近づいていることは手に取るようにわかる。
礼治は身体を180度方向転換させ、腰を落としてから右手を上げて男が振り下ろそうとしている斧に向け、さらに左手は斧を持つ男に向け、右手に持っている金貨を三枚弾き飛ばしてから。
「【土弾丸】」
前のDランク冒険者と戦った時に土の金貨のレベルが上がっていて、その時に新しく覚えた呪文を唱えた。
弾き飛ばした金貨三枚は土の弾丸に変わり男が振り下ろそうとした斧に当たった瞬間、斧は木っ端微塵に打ち砕かれた。
「まずは一人目!」
<ブシュッン>
斧を砕かれた男は驚愕の光景に声を出そうとした。しかし、礼治がそれを許さず左手に持っている金貨一枚を男の眉間に向けて弾き飛ばした。
金貨はまた土の弾丸に変貌して男の眉間を貫いた。
眉間を貫かれた男は血を流しながら反動で後ろ向きに倒れ死体となった。
「解除。【タロットマジック】小アルカナ、剣、聖杯」
礼治は男が倒れた後、土の金貨を異空間に戻してから今度は右手に風の剣を、左手に水の聖杯を取り出していた。
周りの男達は全員、礼治が斧を持っていた男を殺したところを見た瞬間に自身の命の危険を察知した。
なお、礼治と杖男、それから杖男の横からまだ一歩も動いていないジルとの間を隔てていた土壁は礼治が今は亡き斧を持っていた男の眉間を貫く前に崩れ落ちながら消え去っていたのでちゃんと二人にもその光景を目に焼き付けていた。
礼治は武器を取り出した後、辺りを見渡しながらある事を言い放った。
「俺の家族に手を出そうと考えてた奴を誰一人として生かすつもりは無いからな」
その言葉を言い放った礼治の顔は誰もが怯える表情であり。また、フールやテミスのドス黒いオーラとは比べ物にならないほどにドス黒いオーラと殺気を放っていた。




