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第41話 皆殺し

「俺の家族に手を出そうと考えてた奴を誰一人として生かすつもりは無いからな」


礼治は今、自分でも驚くくらいのドス黒いオーラと凄まじい殺気を放っていた。


礼治はその場で冒頭の言葉を言い放った後、立ち上がり右手に持つ風の剣と左手に持つ水の聖杯を構える。


「うわーーー‼︎」

「ヤダーーー‼︎」

「殺されるーー‼︎」

「死にたくねーー‼︎」

「誰か助けてーー‼︎」


その瞬間、礼治が先程通った通路の近くにいた男五人がそれぞれそう叫びながら逃げ出そうと試みる。


「俺の家族の敵は生かすつもりは無いって言ってんだろうが‼︎【水刃(アクアカッター)】」


逃げ出そうとしていた男五人に礼治は水の聖杯の飲み口の方を向けた後、ゴブリン討伐戦の終了後に水の聖杯のレベルが3に上がった事で使えるようになった新しい魔法を放つ。


呪文を唱えた瞬間、聖杯から五枚の水の刃が勢いよく放たれ、逃げ出そうとした男達全員の首を跳ね飛ばす。


頭を失った身体は前方に倒れ首から大量の血を流し、数秒遅れてから上空に打ち上げられた男達の頭が落ちてきてグチャグチャと不愉快な音を出しながら地面に落ちていく。


「これで残り十二人。次は誰が死ぬ」


礼治は今もなおドス黒いオーラと殺気を放ちながら残りの男達を睨みつけるように見渡す。


「調子に乗ってんじゃねーよクソガキが‼︎コッチにはまだ十二人もいるんだぞ!おい、魔導師共!殺しても構わねえ‼︎一斉に奴に魔法で攻撃しろ‼︎‼︎」


この取り巻きのリーダー格のジルが礼治の放つドス黒いオーラに怯えながらも恐怖を押し殺し指示を出し、ジルの隣にいた杖を構える男を含む計七人が杖を礼治の方に構え呪文を唱え魔法を放ち、放たれた複数の魔法が全て礼治の方へと向かってきた。


そんな全方位から魔法が勢い良く迫っている中で礼治はそれを避けようとせず。そして。


<ドッカーン>


魔法は全て直撃し辺り一面に爆音を響かせ砂煙りを上げた。


「…ハハ…ハハハ……ハハハハハハ‼︎どうだ見たか‼︎俺たちよりも調子に乗りやがった奴らは全員死ぬんだよ‼︎ハハハハハハ‼︎‼︎」


ジルは礼治に魔法が全弾命中してからしばらくして高笑いし始めた。しかし、次の瞬間。


「【風斬(ウインドスラッシュ)】、【水刃(アクアカッター)】」


礼治が立っていた砂煙りの上がっている場所から風の斬撃と水の刃六枚が放たれ水の刃は魔導士六人の胴体や首を切断し、風の斬撃はジルの隣にいた杖を持った男の胴体を斜めに切断した。また、ジルの隣にいた男が切断された時に隣にいるジルは大量の血を浴びてしまったがそのことについてジルは反応しなかった。


何故ならジルの目の前には信じられない光景があったからだ。その光景とは。


「誰が死んだって?俺はまだ死んでないんだけど?」


砂煙りが先程の風の斬撃により吹き飛び、その中から魔法が全弾命中したはずの礼治が傷どころか服に砂埃一つも付けない状態で立っていたのだ。


「な、ななな、なんでオメェが生きてんだよ‼︎さっき魔法を全弾命中させられたお前がなんで‼︎⁉︎」


「今から死ぬお前らに教えても意味ないだろうが」


ジルの質問に答えない礼治であったがここで誰かさんの為に種明かしをすると、礼治は昨日のゴブリン討伐戦の時に全ての小アルカナの武器のレベルが上がっていた。つまりは、礼治の扱う風の剣は今回の戦いで一番使っていたのでレベルが4まで上がり、新しく【風鎧(ウインドメイル)】と【風矢(ウインドアロー)】を取得していた。

ここまでくればもう簡単。

礼治は魔法が全弾命中する直前に【風鎧(ウインドメイル)】を発動しており、風の鎧を身に纏い攻撃を防いでいたということだ。


そんなこととは露知らず残ったジルと槍を持った男を含めた五人は礼治の計り知れない力に恐怖していた。


礼治はジルに背を向けて背後にいた槍を持った男を含む計四人を睨みそして。


「【風矢(ウインドアロー)】」


風魔法で新しく取得したもう一つの魔法を唱え、次の瞬間には上空に四本の風の矢が形成され、男達四人が何かを言おうとする前に矢を放ち、男達は礼治が放った風の矢の一本ずつに心臓を貫ぬかれその場に倒れた。


男達が倒れた後、礼治は背後にいる一人残っているジルに目を向け睨みつける。


「ここ、この化け物が!こっち来んじゃねえ‼︎あっちに行きやがれ化け物が‼︎」


ジルは腰を抜かし地面に座り込みながらも礼治から離れようと必死に後退りしていた。


一方でジルに近づきながら『化け物』と呼ばれた礼治はと言うと。


「化け物だと?上等じゃねえか!大切な家族を守る為なら俺は化け物にでも魔族にでもなってやるよ‼︎」


礼治はそうジルに言い放った後、風の剣を振り上げた。


「ちょっと待っ「俺は家族の敵に容赦しないんだよ‼︎」<ズバ>。ギィヤーーーー!………」


ジルの言葉に耳を傾けずに躊躇なく風の剣を振り下ろしジルを斬りつける。


ジルは最後に叫び越えを上げて息を引き取った。


大剣男を斬りつけた俺は武器を異空間に戻した後、【隠密】を使い直ぐさまその場を去った。


礼治が路地裏から出てきた後、騒ぎを聞きつけやってきた警備兵達とすれ違ってからしばらく歩き、先程とは違う裏路地に入って【隠密】を解き、少し心を落ち着かせてからマリーと礼治が化け物になってでも守りたい家族であるフールとシルフィアがいるはずの服屋へと戻っていくのであった。

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