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第28話 VSゴブリン軍団 "帰還"

「これで最後だ!」


<ズバーン>


「ギィ…ギャ……<バタン>」


ゴブリン軍団が初心の森から現れてから約二時間が経った頃、ゴブリン軍団の最後の一匹をAランク冒険者のロイドが金の斧で斬り裂いた。

斬り裂かれたゴブリンは掠れた声を出してそのまま倒れた。


『ヨッッシャーーーーー‼︎』


最後のゴブリンが倒れたと同時に戦場で戦っていた冒険者や警備兵達が一斉に大声で叫び戦いに参加していた者達は勝利を喜んだ。


「やっと終わった。それにしても随分長く感じたな」


そんな中で礼治は自分が最後まで倒れずに戦えていたことに安堵し、また街を守れたこととマリー達との約束を守れたことに心の底から満足していた。


「良くやった‼︎」


<バシン>


「イッテ⁉︎」


そんな余韻に浸っていると突然声が聞こえ、同時に背中に衝撃が走りつい声を出してしまった。

背中をさすりながら後ろを振り返るとそこにはこの街の冒険者ギルドのマスターであるエネドラが悪戯に成功した近所のガキンチョが喜んだ時のような笑った顔をしており、右の手のひらを挙げて振っていた。


「イキナリそれは酷いと思いますよギルドマスター」


「なんだ?背中を叩かれるよりゴブリンキングの時のように私の精霊魔法で殴った方が良かったか?」


礼治の反論にエネドラは右手で拳を作り地面を殴ろうとする動作をとった。


「ギルドマスター…。そんなんされたら俺死にますよ?戦闘が終わった後にギルドマスターから殺されるって冗談の域を超えてますよね?」


エネドラの動作を見た礼治はこの人には色々な意味で一生勝てないと悟った。


「礼治様〜〜〜〜‼︎」


すると今度は背後から礼治を呼ぶ声がしたので振り返とそこには全速力で走り、こちらに凄い勢いで迫ってくるフールがいた。

そんな勢いで走ってくるフールを受け止められる自信がコレッポッチも無い礼治はフールには可愛そうだが避けようとした。しかし、避けれなかった、いや足が動かなかった。

動けない礼治が足下を見ると足が砂によってガッチリとホールドされていたのだ。


この時もしやと思い礼治はエネドラの方を向くと案の定そこにはニヤニヤと笑うギルドマスターがいた。


やっぱりと思いながらも必死に足に力をいれて砂から足を引き抜こうとしたがビクともしなかった。


そうこうしている間にフールはどんどん迫ってきており、後一メートルのところで砂のホールドが解けたが、回避はできずフールは抱きつくという名の強烈なタックルをかまされた礼治はそのまま勢いよく後ろに倒れ、頭を強く打ってしまった。


「いったたー…」


地面に頭を強く打ったものの倒れこんだ地面のところだけが凄く柔らかく大した怪我を受けずに済んだ。

多分これもエネドラの仕業だろうと礼治は悟った。


「礼治様!私は礼治様から任された任務をしっかりと果たしました!なのでご褒美のデートは決定ですよね!ね⁉︎」


フールは礼治の胸板に顔を擦り付けたい後、キラキラした目で自己報告とご褒美の確認をしてきた。


「ああ、ありがとうフール。勿論頑張ってくれたからご褒美はあるよ」


礼治は頑張ってくれたフールに対してちゃんとご褒美があることを伝える。


「ありがとうございます礼治様。礼治様だーい好きです♡」


礼治の返事に満足し、満面の笑みを浮かべてから再び顔を俺の胸板に押し付け、ありのままの気持ちをぶつけるフール。

二人がそうこうしていると他の大アルカナたち家族が二人の側に集まってきた。


「ハァー。まさかとは思っていましたがフール様のレイジ様に対する愛がこれほどまでとわ」


「おーい、フールの姐御。そろそろレイジの兄貴から一旦離れろ。レイジの兄貴が動けねえだろうが」


礼治に抱きつくフールを見たテミスは呆れており、サタンはフールによってガッチリとホールドされている礼治に助け舟を出す。


「っは、すす、すいませんでした礼治様!すぐに退きます‼︎」


サタンの言葉で礼治を押し倒していることに今更気付いたのか?フールはすぐに礼治の上から退いて離れていった。


「ほいよレイジの兄貴」


フールが離れた後にサタンは立ち上がろうとする礼治に手を差し伸べ、礼治はサタンの手を握り立ち上がる。


「よっと。ありがとうなサタン。俺が退いてって言ったらフールは絶対落ち込むから本当に助かった」


「ハハハハハ。そんなことだろうと思ったぜ」


立ち上がった後、助け舟を出したサタンに礼を言うとサタンは何故か笑っていた。


「異空間でもフールの姐御はレイジの兄貴が呼ぶのをずっと待ってるしさ。後約束の時間が一秒でも過ぎたら何かがあったんじゃないのかって心配する始末だしな」


サタンからの異空間で呼ばれるのを待つ間のフールについて教えてもらい、これからは時間内にフールを呼ぼうと心から誓う礼治であった。


「ねえねえレイジ兄」


「どうしたトラン?」


今度はトランが声をかけてきた。


「ボクもねレイジ兄から任された回復役としていーーっぱい頑張ったんだよ」


トランは大きく胸を張り誇らしげに自分の頑張りを報告してきた。


「そうだな。今回はトランのお陰で誰一人欠けることなく勝つことができたからな。すごいぞトラン」


礼治はトランの頑張りを褒めた。


「本当にありがとうな」


その後しゃがみこみトランの頭を撫でた。


「へへへへへ////」


トランは礼治に褒められたことと頭を撫でてもらえたことが嬉しかく、とてもいい笑顔を浮かべた。


「みんなもありがとな。お陰で誰も犠牲者を出さずに済んだ」


トランを褒め終えた礼治は立ち上がってから周りにいる他の大アルカナ達にもお礼を言った。


「ほっほっほっほっほぉー。なーに礼には及ばんよレイジ殿。儂等はレイジ殿の家族じゃから家族を助けるのは当然じゃわい」


「そうだぜレイジ。私はいつだって弟の味方だからさ。これからもどんどん家族を頼りな」


「「レイジ兄さんの為なら俺(私)もいつでも力を貸すぜ(よ)」」


「ハハハ。本当に家族は良いもんだな。暫く忘れてたよ」


大アルカナの家族達の言葉に礼治は自然と笑顔になる。


「よし。これより偵察班を初心の森に向かわせ、残りの者は帰還する。街に着くまでは油断をするなよ!いいな‼︎」


『ハイ‼︎』


エネドラの指示がとおり、数人の偵察班を残して残りの冒険者や警備兵はグループを幾つか作りながら街の南門に向かって歩き始めた。


「じゃあ俺達も戻ろっか?」


「「「「ハイ」」」」

「「「「オウ」」」」


礼治達も少し遅れてから家族全員で街に戻り始めた。


礼治達の帰りを待つ人々がいるアルバスの街へと。

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