鎖に繋がれた体
ロッドと呼ばれた人物は暗い部屋の中、小さな灯りに照らされ、部屋にはベッドすら無く、全身を鎖で拘束され、手には手枷…そして口枷がされていた。その風貌は髪の毛は肩まで伸びていて、何処か危険な雰囲気を放っている。身体一つ満足に動かせないはずだが、そこに存在するだけなのに何故か息が詰まりそうになる。
すると不意に声をかけてきた、顔を下に向けたままで。【久しぶりだな…ホルト。元気そうだな、そっちの見ない顔は新米か?】かすれた声で細身の看守もといホルトに話しかける。黙れ犬、気安く私の名を呼ぶな!とロッドに向けて負けじと圧をかける。すると、やれやれといった感じで、ゆっくりと顔を上げた。その顔立ちは優しそうな顔つきであり、とても犯罪者には見えない、年齢で言えば30代くらいだろう。【まあ、そんなに怒るなよ…早く飯をくれよ、俺ァ腹減ってんだ。こんな体じゃ何も出来ないだろ?】しかし当の本人は全く意に介さず、飯の催促をするのだった。
ホルトの後ろに控えていた後輩がこの事態に先輩に教えて貰った事を実践するのだった。貴様!誰に物を言っているのだ!!私達は神様だぞ!?そんな態度を取っていいと思っているのか!?息を切らせながらロッドの目と鼻の先まで詰め寄る。さっき先輩の言った"忠告"はもう頭の中にはなかった。【…「ビーン」って名前なのか。ふ〜ん、前の看守はバーンって言ったかなぁ〜。看守をしている自分を神と信じて疑わず、罵ってきて。俺に詰め寄ってきたから、指を噛み千切ってやった。奴は泣き叫びながら俺に罵倒してたぜ、お前もそうなりてぇかァ?。
口枷でよく分からないがロッドのその表情は冗談では無さそうで、それを聞いたビーンは背筋が凍り、顔が真っ青になった。実は前任者が辞職したため、その枠に入ったのが自分であったのだ。詳しい内容は他の職員にはぐらかされて聞けずにいたが、その理由が今になって知ったのだった。それを聞いてその場で若干及び腰になる。
【ま、そんな話より飯だ、早くくれよ。】再度催促を促した、ホルトも渋々といった感じで飯を渡す事にした。ほら、有り難く食えよ。鉄格子の隙間から投げ入れる様に、『カタツムリ入りのスープ』を目の前に差し出した。【おい、何だ…これは?ネズミだってもっといいもん食うぞ?】一切食欲の湧かない物を渡され血相を変えて抗議する。お前にはこれで十分だ、薄汚い犬めが!飯を恵んで貰えるのを感謝しろよ。鉄格子を挟んで睨み合いが始まる。【おい、せめて俺の手枷を外せよ、食えねぇだろーが!】ホルトに目を向け食ってかかる、それに対して、犬は顔を地面に擦り付けながら食えよ!。とお互い牽制し合ったのち、一旦冷静になり要件をロッドに伝える。来月お前は"ハウンド"の参加に選ばれた。それを伝える為に来たんだよ。とても栄誉ある事だ、条件付きではあるが…ここから出られるんだからな。
ハウンドとは、この監獄に収監されている囚人達同士で殺し合いをする…一種のコロッセオだ。ルールは毎回違うがやる事は同じ、他者を蹴落とし"生き残る"事だ勝者は願いを何でも叶えて貰えるため、参加を望む受刑者もいる。しかしその実態は一部始終をモニター中継され、金持ち連中の賭け賭博の娯楽として消費される。開催日は毎月4日。誰が選ばれるか分からない。今月はロッドが選ばれたのだった…。
この命令は上の者からのお達しだ。明日から一時的に拘束を外す、一週間の仮釈放がある。その間に…精々自分のした事に後悔して、残された時間に感謝するんだな。今からムカつくお前が死ぬのが楽しみだ。と言い残し2人の看守はその場を後にしようとした時、【フッハハッッ!バカな奴等だ、仮釈放だってぇ!?俺はお前らの手じゃ殺せない、俺をハメやがった…。あの女が生きていて俺を恨んでいる限り、俺が苦しむのを望んでいる…。だから俺は死ねない…奴を殺すまではッ…】口枷で表情は分かりにくいが、不敵な笑みを浮かべ、宣戦布告する。【俺がここを出たらお前らの命はないと思えよ!!どんな手を使っても。俺をここに閉じ込めた奴等ァ゙、絶対にッぶっ殺してやるからなァ!顔は全員覚えてる!!絶対ッに、逃げられると思うなよッォ゙ォ゙!!】と鎖に繋がれながら、その目には確かに2人を捉え、睨みつけながら看守達に宣言したのだった。




