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あなたを勇者にしてあげる 〜転生したと勘違いしている御曹司と偽世界を冒険中。なお全世界配信されてるから迫られても困ります〜  作者: nandemoE


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ナオトと愉快な仲間たち


 近くまで来るとハルクの身体はとても大きく、威圧感がある。


「ミオラ、さっきから妙にギルド内が騒がしいじゃねえか。もしかしてこいつらがなんか問題でも起こしてんのか?」


「あ、いえ、違うんです。別にこの人たちが何かしたわけではなくて……」


「問題を起こしてなきゃいいんだがよ」


 そう言いつつ、ハルクは私たちを品定めするような目で見て、ナオトの剣に目を留めた。


「お前さん、もしかしてその剣はアルミームソードか」


「そうだぜ」


「ってことは勇者か……今日はどうしたんだ。うちに何をしに来た?」


「俺たちは冒険者登録をしに来たんだ」


「なるほどな……ミオラ。こいつらの登録はもう済んだのか?」


「はい。ちょうど今、済みました」


「どれ、ちょっと結果を見せてみろ」


「わかりました」


 ハルクはミオラから数枚の紙を受け取り、それらに目を通したあと軽く笑った。


「なるほどな。これはまたとんでもねえパーティーが来たもんだ。騒ぎになるのもわかるってもんだ」


 ハルクは私たちをもう一度順番に見た。


「Aランクのロイヤは何度か見かけたことくらいあるが、ほかのメンバーは軒並みヤベェ……伝説の賢者ナイト、Sランク。無名のシーフ、SSランク……どこに眠ってたんだこんな村娘みたいな奴……それに勇者。まさかの勇者がFランクとはな……」


「え、Fランクで悪かったな」


 ナオトはふて腐れたように唇を尖らせていた。


「いやいや、違うんだ兄ちゃん。この結果はある意味で仕方がねぇんだ。なんせ勇者の力なんて規格外。水晶玉が反応しなかったんじゃねぇ。もはや完全に認識ができてねぇレベルだったんだろうよ」


 あーなるほど、と私はそこでようやく合点がいった。


 ハルクはナオトだけがFランクという最悪の流れを救済しに出てきてくれたのだ。


 水晶玉が認識できないレベルなのにステータスは測れたのか? とか言っちゃ駄目な場面だ。


「本来なら勇者ってだけでレジェンド。さしずめLランクってところだな。すまんがウチでは実力を測りかねるってこった。当然、総合的に言ってパーティーもSランクだ」


 ハルクの言葉にギルド中が大いに湧く。


「うおぉぉぉ! Lランク! そんなの聞いたことねーぞ!」


「パーティーも最初っからSランク! 伝説もんだ!」


「どうなってんだ勇者パーティー! レベル違いすぎだろー!」


「これには先輩風を吹かせてたAランクパーティー、影の追跡者(シャドウ・トレイサー)も真っ青だな!」


 一部の風評被害を含みながらも、そんな声援を受けてナオトは落ち込んだ様子からみるみる元気を取り戻した様子だった。


「すまんな兄ちゃん、本当ならもっとすごいのかもしれねぇ。が、実力を図りきれない以上、とりあえずパーティーとしてはSランクになっちまうが、それで許してくれねえか」


 下手に出つつ持ち上げてくるギルドマスターの最後のひと押しもあって、ナオトの表情は完全に元どおり。


「わかったぜ! 俺たち四人はSランクパーティー、期待に応えてガンガンモンスターを倒していくぜー!」


 いやぁよかった。


 パーティー登録に来て、パーティーが崩壊しないで本当によかった。


 そんなふうに私が思っていると。


「いやぁ。どれだけ実力があっても低ランクから始めるラノベがほとんどだと思ってたけど、イースはわりとそこんとこ緩いんだな~」


 いったい誰のための苦労だと思ってんだ……!


 私たちの感情はジェットコースターのように乱高下していた。


「そ、それで……? みなさんパーティー名はどうなさるおつもりですか……?」


 おそるおそるミオラが尋ねてくる。


 もうさっきから台本どおりにいかなくてハラハラしているのだろう。


「う~ん……そうだなぁ……せっかくだし影の追跡者(シャドウ・トレイサー)とか見習ってカッコいい名前にするんだぜ……?」


 ナオトが腕を組みながら考え始めるが、彼に任せるのは不安しかない。


「ミオラさん、『ナオトと愉快な仲間たち』でいいニャ! とりあえず仮のパーティ名ってことで、あとで改めて登録にくるニャ!」


 私はナオトの言葉を遮るように咄嗟に適当な名前を挙げていた。


 私たちまで影の追跡者(シャドウ・トレイサー)のように恥ずかしいレッテルを貼られたら堪ったものじゃない。


「お、おいリリアン……こういうのはほかのメンバーの……」


「なんニャ? もしかして『ナオトとリリアンの愛のパーティ』のほうが良かったニャ?」


「い、いや、別にいいんだぜ……? 俺は登録上の問題は気にしないからな……」


 ナオトは私の眼力の前に怯んだ様子だった。


「村長もロイヤも、それでいいニャ?」


 二人にも意見を言わせるつもりのない勢いで私は聞いた。


「お、おう……そうじゃの」


「オレも異論はないッス……」


「決まりニャ」


 そして私たちのパーティーは仮の名前で登録された。


 本当のことを言うと、私にとってはパーティ名なんてどうでもよかった。


「お、おい。見たかよあの嬢ちゃん……今、あのパーティを全員、目で黙らせたぞ……?」


「そういやSSランクだったんだよな……パネぇ……」


「可愛い見た目に騙されるな……盗めないシーフって時点で普通じゃねーんだ……」


「不盗のリリアン……もはや伝説だな……」


 なんか、人知れず私にだけ変な二つ名もついてしまった。


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