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あなたを勇者にしてあげる 〜転生したと勘違いしている御曹司と偽世界を冒険中。なお全世界配信されてるから迫られても困ります〜  作者: nandemoE


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影の追跡者 ~ シャドウ・トレイサー ~


 私たちは大通りから一本それた道に逃げ込み、肩で息をしていた。


「ハァ……ハァ……なんとなく逃げちゃったけど、本当にこれでよかったニャ……?」


 冷静になって考えてみれば私たちの行いは勇者像を壊して逃げたという悪質なものだった。


「みんなすまん……まさかあんなことになるとは……」


 ナオトは私たちに頭を下げた。


「ちょっと驚いて逃げてしまったけど、勇者が器物破損はまずいんだぜ……ちょっと戻って謝ってくる」


「それなら心配はいらないさね」


 ナオトが踵を返したところで私たちに声を掛けてくる存在があった。


「やっぱりあんたたちだったのかい」


 大通りから差し込んでくる光を背後にして立っていたのはネルクたち裏方三人組だった。


「さっき公園で見かけてね。何やら騒ぎだったんでアタイらも追ってきてみたわけさね」


 ナオトはバツが悪そうに頭をかいた。


「ちょうど今、そのことで謝りに行こうと思ってたんだぜ……」


「あぁ、それくらいなら気にすることはないさね。勇者像ならマフォーが魔法で直しておいたからね」


「あれくらい、ボクの魔法なら余裕っしょ!」


 マフォーは笑顔とグッドポーズで答える。


「マジか! 魔法ってすげーなぁ」


 ナオトは驚いていたが、魔法で直したことにするため、おおよそ今頃はスタッフさんが物理的に修理をしているはずだ。


「騒いでいた民衆にも、拙者たちから現勇者として必要な調査だったのだろうと話しておいたから安心するでござる」


 スムスも含めて裏方三人組の万全サポート、ありがたい限りである。


「みんな……ありがとう。この礼はいつかきっとするぜ!」


 ナオトの表情はいつものように明るく戻っていた。


「いいのさ。これも冒険者同士の助け合いってやつさね」


「その代わり拙者たちがピンチのところを見かけたら、今度は助太刀を願うでござるよ?」


「ま、ボクたちAランクパーティーに限ってそんなピンチはないけどね~」


 裏方三人組はひとことずつ言ってすぐにその場を去ろうとする。


 また昨日のようにフェードアウトできなくて困ることを懸念しているようだ。


 さすがに一本道の街道でなければ脇道に曲がればよいだけだとは思うが……。


「ありがとうだぜ! こんなに世話になっちまったんだ、ぜひこれからも仲良くさせてほしいんだぜ! え~っと……たしかネルクたちのパーティー名は……すまん。なんだっけ?」


「えっ!? アタイらのパーティー名かって……?」


 裏方三人組は顔を見合わせる。


 たしか昨日会ったときに一度聞いてはいたが、そこまで強く私の印象に残っていなかった。


 そしてそれはネルクたちも同じだったようで、あのときとっさに答えたパーティー名だったのだろう。改めて聞かれるとパッと思い出せないようだった。


 まずいぞ。自分たちのパーティー名も思い出せないとなると不自然だ。しかもAランクパーティーともなればそこそこは名が通っていてもいいはずなのに。


「シャドウ……シャドウ……ニャ?」


 私はおぼろげながらも記憶をたどり、なにか思い出すヒントにでもなればと単語をひねり出す。


 たしか影のように私たちについてくる裏方三人組を表すのにはピッタリの名前で、ちょっと中二病みたいな名だったはずだ。


「あっ! 思い出したぜ! たしか影の追跡者(シャドウ・トレイサー)だったな!」


 ナオトが手を打ちながら言う。


 そうだ。たしかにそんな中二病みたいな名前だったはずだ。


「そ、そうだね……これでも少しは名の通ったパーティーなんだ。忘れてもらっちゃ困るさね」


 実は名乗った本人が一番忘れていた説が濃厚だ。


「そうかぁ~……あんたたち、Aランクパーティーだったのかぁ……どおりですごいわけだぜ。影の追跡者(シャドウ・トレイサー)……いい名前だ。影の追跡者(シャドウ・トレイサー)……響きもいいぜ」


「そ、そうだろう? しっかり覚えて、もう忘れるんじゃないよ」


 なんだろう。裏方三人組はすごくくすぐったそうに、モジモジと身をよじっていた。


影の追跡者(シャドウ・トレイサー)……私も忘れないニャ!」


 モジモジ。


「ふむ。二度も世話になったからにはワシらも影の追跡者(シャドウ・トレイサー)の名がさらに広まるよう協力せねばな」


 モジモジ。


「俺たちもいつか影の追跡者(シャドウ・トレイサー)のように立派なパーティーになるッス!」


 モジモジ。


「「ありがとう! 影の追跡者(シャドウ・トレイサー)!」」


 モジモジ。


 そしてマフォーなんか両手で顔を覆い隠してしまっていた。


 わかったぞ! 実はその中二病くさいネーミングが恥ずかしいんだな!?


 私はピンときてしまった。


影の追跡者(シャドウ・トレイサー)! 最高のパーティーだぜ!」


 私たちがその恥ずかしい名前を連呼するので、ネルクたちは人目を気にするようにキョロキョロと辺りを見回していた。


「や、やめておくれよ。さすがにアタイらも照れくさいじゃないか……」


 かわいそうに。これ、世界中の人が見てるのに……。


「ま、まあ、アタイらのことはいいんだ。そんなことより、あんたたちはこれから勇者パーティーとして注目を集めるんだ。今後は変な行動するんじゃないよ?」


 ネルクはさっさとこの場を逃げたそうにしている。


「あぁ、わかったぜ。影の追跡者(シャドウ・トレイサー)


「わ、わかればいいさね。それじゃあ、アタイらはもう行くよ。こう見えて忙しいんだ。じゃあね……!」


 そう言って影の追跡者(シャドウ・トレイサー)の三人は、顔を赤らめ、そそくさと去っていった。


「いやぁ~。いい先輩って感じだぜ。影の追跡者(シャドウ・トレイサー)


 もうやめてあげて……彼らだって顔を晒しているのよ?


 きっと今夜あたりから世界中でネタ動画になっちゃうから。


 恥ずかしげもなくそんな中二病みたいな名前を名乗ったら、『影の追跡者(シャドウ・トレイサー)キリッ!』とか、ネット上のオモチャみたいになっちゃうから……。


 助けに来てくれた彼らに対して無自覚に酷い扱いだよなぁと、私はのんきにそんなことを考えていた。


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