ユキはご立腹の様でした。
数ある物語の中から、本作を手に取っていただき、心より感謝申し上げます。
この小さな物語が、あなたの日々にほんの少しでも彩りを添えられますように。
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なお、全く別ジャンルの物語も公開しております。気分転換に違う世界を覗いてみたいときは、ぜひそちらもお楽しみください。
ユキは、黙って黙々と魔物を倒していたが、この状況とマキの猫かぶりモードに苛立っていた。
自分が自由に立ち回れないことやAランクの情けない姿も見てしまったことも重なってしまったためだ。
ユキは、集団行動は苦手。
わがままで自分勝手な性格。
マキの事もあり信頼し、ある程度制御はできていたが、他の人に対しては、あたりが厳しいし、容赦もない。
そろそろリミットのようだった。
「もう。マキやろうよ。この人達ができないなら、私たちでやろう。
町で待機している人達も無理そうみたいだしさ。ねえねえ。」
ユキは、怒り気味でマキに不満をぶつけてきた。
「そうはいっても…」
マキも困った様子。
「向こうには、エメダもいるけど、この魔物を倒せるレベルじゃない。
このまま隠し通して倒せる魔物でもないのはわかるでしょう。ここで、やられるわけにはいかない…」
「でも…」
「でも、じゃない。しっかりしてよ。町を復興させるんでしょう。こんな奴も倒せないで、町を救えるの。カーズウルフ倒せるの?
少しは、ナイト達を信頼しているんでしょう。悪いようにはならないはずよ。手遅れになる前に…」
ユキは、マキに必死に問いかけ説得する。
ナイト達からすれば、マキとユキが言い争いをしているように見えた。
この状況下で少し精神的な影響の現れかと感じでいた。
「こんなところで、喧嘩しないの。私たちも協力するから、みんなで乗り切りましょう。」
ヒリギは、すこしほんわかした様子で止めに入る。
ユキは、それを睨みつける。
「わかったわ。ユキちゃん。そう、怒らないで。」
マキは、これ以上揉めてしまうとユキの制御を失ってしまうと思った。
そしたら、勝てるものも勝てなくなってしまう。
「ユキちゃんの言う通りね。出し惜しみできる状況じゃなくなった。ただ、それだけの事ね」
ユキに納得してもらうように語る。
それを聞いていたサウザンドは、かなり驚いた様子だった。
「出し惜しみ?!」
この状況からこんな言葉だ出てくるとは思っていなかったようだった。
変なところに反応している。
先ほどまでの魔法が全力だと思っていたからだ。素人そのものの魔法の打ち方。魔力量もそこまで高くない、なのに、出し惜しんでいたのか。
サウザンドだけ少し胸が高鳴っていた。
マキの猫かぶりモードが一気に解除された。
「ナイトさん。覚悟してくださいね。ふふふ。」
不気味な笑みを浮かべナイトへ近づく。
そして、真剣なまなざしでナイトを見つめる。
「なんだ、なんだ。何をされるんだろう。マキちゃんってこんな子だっけ?」
ナイトは、兄と同じことを言っている。
マキのギャップに戸惑っている。
「ヒリギさんも、サウザンドさんもナイトさんをしっかりサポートしてくださいね。ミスったら爆死しちゃいますよ。」
マキは、冗談半分脅し半分で二人に忠告する。(死ぬことはありません。疲れ果てるだけです。)
ヒリギは、その豹変ぶりにびっくりし、ただただうなづくだけだった。
「でも、サポートってなにするんだろう。」
サウザンドも息をのむ。
「とりあえず、あの手でいきましょう。」
マキは、何かを言い出すとユキは反応する。
「あの手?ってどの手?」
そりゃわかるわけがない。
小声で(ナイトを強化するのよ。あまり目立たないように、討伐はナイトの仕事ってことよ。)
と説明する。
「わかった。」
見てる周りは分からないが、何やら分かったようだ。
マキは、ユキの手をつかみ魔力を渡す。
ほんの一瞬ではあるが、マキの魔力は増大し、気のせいかというぐらいほんと一瞬だけ、気づけば、ユキの魔力がすごい事になっている。
サウザンドは、それを見逃さないでいたが、黙っていた。
ユキは、その魔力を使い
「成長魔法。グロース」
とりあえず、1段階の強化魔法をユキがナイトへかける。
「ん?成長魔法?」
サウザンドも知ってはいたようだったが、何故という顔をしている。
前にもあったが、成長魔法は植物を成長させるだけの魔法と思っていた。この場面で使っても何も変わらない。
ナイトが成長?背が伸びたとしても戦況は何も変わらないからだ。
とサウザンドは、一瞬思ったかもしれないが、次の瞬間目を輝かさせていた。
溢れんばかりの魔力で強化されたナイトの姿を見たからだ。
ナイトは、魔力に鈍感なところもあり、あまり意味は分かっていないようだが、サウザンドはベテラン魔導士。
自分がかけていた強化魔法は何だったのか?と考えさせるほど雲泥の差の効果が目に見れた。
ヒリギもまた、驚き過ぎてナイトをぺたぺた触っている。
「ナイト大丈夫なの?」
「うん?何も変わらんがな?」
ナイトはさすが、魔力鈍感男。
ユキは、続ける。
「驚くのはまだ早いよ。さらに部分強化だ!」
さらに成長魔法を部位ごとに掛け始める。
腕には力が上がるように、足には素早さが上がるように、体には防御力が上がるように、そして、速さを追えるように、目や頭にも魔法を掛ける。
「いったいどれほどの魔力をつかっているんだ。」
サウザンドは、自分基準ではあるものの魔力量計算を始めている。
「ざっと見積もっても10000も魔力をつかっているのか・・!?」
ブツブツ計算しながら、つぶやいている。隣で聞いていたヒリギは、もう気絶寸前。強力な魔力に充てられたこともあるが、1万という数字にもびっくりしている。
サウザンドの魔力量は、エルフということもあり3000程度であるが、三倍以上。
ヒリギも同程度の魔力を持ってはいるが、戦闘中に失われているため、この段階でこの量の魔力を絞りだせるわけではない。
マキもユキも魔法を使ってサポートして消費していたにも関わらず、ユキは目測ではあるが10000以上の魔力を消費することになり、サウザンドはもう計算不能になっていた。
「おお!全然さっきと違うな。力がみなぎる。サンキューな!なんだか、これなら倒せそうだ。」
ちょっと楽天的なナイト、魔力鈍感がこれほどとは芸術の域だ。
もはや、ハイオーガなんか一撃で倒せるレベルまで引き上げてしまっていた。
「ちょっとやり過ぎちゃったかも。てへへ」
マキは、猫かぶりモードに戻る。
「ユキも死ぬかと思った。そんなに大量に渡さないで~」
魔法かけただけだが、息切れを起こすユキであった。




