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暴かれた過去~そして~ 2

「大変お待たせ致しました、陛下」

 

 一礼してゲオルグの前へ出る。


「休みの所、すまぬな」


 ゲオルグはソファーに腰かけ、その横にはファーレンハイトが直立不動の姿勢で控えていた。


 何があったのだ。普段冷静なエルンストの心臓が珍しく高鳴る。


「さっそくだが、お前の所にはそれはそれは美しい侍女がいると兵士たちの噂でな。忍びで会いに来たのだ」


 口から心臓が飛び出るほどエルンストは驚いた。

 ゾフィーの元に通わせたのが仇になったのか?

 エルンストは内心焦った。しかし、落ち着かなければ。

 戦場でもそうだが慌てていては、妙案は浮かばない。


「当家にそのような侍女がおりますかどうか」


 はぐらかしにかかる。

 ゲオルグの横で控えているファーレンハイトも眉間にしわを寄せている。おそらく、内心で焦っているのだろう。


「すぐにその侍女をここへ呼べ。ハニーブラウンの髪に、グレーの瞳――」

 

 間違いなフィーアだ。

 女好きのゲオルグのことだ。まさかフィーアを側室にするとでも言い出す気なのか。


「どうしたのだ、早く呼べ」

「お探しの侍女は、先ほど買い物に出かけた様子。大変申し訳ございません」


 ゲオルグの口元が歪んだ気がした。


「何を言っている。さっきそこの庭に居たではないか」


 エルンストの背筋が凍った。

 フィーアを知っていてわざと言っているのだ。誤魔化せないと悟ると、コンラートにフィーアを呼びに行せたのだった。



 姿を現したフィーアはゲオルグと視線を合わせるのを避けているようだった。伏し目がちにエルンストの横に並んだ。


 後方に控えているコンラートは緊張のあまり震えているように見える。


 ここでフィーアが奴隷と知れたら、べーゼンドルフ家の爵位はく奪、領地没収。領民には迷惑をかけるが仕方ない。俺はフィーアを選んだのだから。


「娘、名は何と言う?」

「フィーア・フォン・モーデルにございます、陛下」


 フィーアは深く頭を下げた。


「ほー、そうであったか?」


 口元を歪めておもむろに立ち上がると。ゲオルグはフィーアの顎をつかんで強引に上を向かせた。

 フィーアはとっさに視線をそらしたが、ゲオルグはそれを許さなかった。

 顎をつかんだまま、フィーアに顔をよせる。


「余はてっきり、フィーア・フォン・シュタインベルグだと思っていたぞ」


 時間が止まった。

 その場にいた誰もが、我が耳を疑った。

 張り詰めた空気が室内を支配していた。


 フィーア・フォン・シュタインベルグ――だと!?


 エルンストはフィーアから視線が離せなかった。

 

 沈黙を破って声を上げたのは、コンラートだった。


「フィーア、まさかっ!?」

 

 ふらふらとよろめくと、近くにあったマントルピースに手をついて、危うく転倒を免れたほどだ。


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