暴かれた過去~そして~ 1
昨夜の嵐がうって変わって、翌朝はいい天気だった。
ほとんど休暇を取らないエルンストが、珍しく午後からの登城だと言って午前中は屋敷にいた。
ゾフィーのことも心配だったが、今は少しでもフィーアの側にいてやりたかった。
これからまた宮廷闘争に身を投じなければならない。いつ屋敷にもどれるか分からないのだ。
朝食を済ませると、「今日は百合の手入れを手伝おう」そう言って身支度を整えると、フィーアを伴って庭に出ていた。
昨晩の嵐のせいで、ほとんどの百合の花が倒れたり、折れたりしていた。
「気の毒に。あの風ではもたなかったか」
「折れてしまった花は摘んで、お部屋の花瓶に生けましょう」
「いったい何本あるんだ。家中が百合だらけになってしまうぞ」
「ご、ご主人様ーーーーー!」
コンラートが髪を乱し走って来るではないか。
やれやれ、あいつはいつも俺たちの邪魔をする。
「おい、もう歳なのだからそんなに走るな」
「これがどうして落ち着いていられましょうっ!」
「なんだ?フォーゲルザンクが領内に攻め込んで来たか?」
コンラートは苦しそうに肩で息をする。
「それ見ろ、だから走るなと・・・」
エルンストの言葉をコンラートは遮った。
「陛下がっ!皇帝陛下がお越しにございますっ」
「何!?」
さすがのエルンストも顔色を変えた。
「すぐにお召し替えを」
「分かった。フィーア手伝え」
片付けもそこそこにエルンストはフィーアを伴って自室へと急いだ。すぐに軍服に着替える。
フィーアは不安そうだ。
「心配するな」フィーアを抱き寄せる。
腕の中でフィーアを優しく諭し、そのひたいに唇を寄せると、応接間へと向かった。
皇帝が臣下の屋敷を訪れるなど、未曾有な出来事だ。
一体どうしたのだ。
胸騒ぎがする・・・。
一抹の不安をかかえながら大きく息をはき、気持ちを落ち着かせて目の前の扉を開いたのだった。




