表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/60

47.とても怒られました

「どうして勝手に、城の外に出たりなんかしたんだ!」


「ごめんなさい……」


怒りのヌェイリブさんに、私は頭を下げた。


お昼寝をしている筈の私を、城の侍女の人が確認しに行ったら、ベッドはもぬけの殻。

中庭にも姿が無い。

城中、大騒ぎになったのだとか。


もしかしたら家に行ったのかもしれないと、ロッチアは馬に乗って下級層を目指している途中で、あの騒ぎに出くわした……のだそうだ。


「本当に無事でよかった……」


ホッとした顔で机に両肘をついて顔を埋めたヌェイリブさんを見て、私は眉を下げた。


とても心配をさせてしまったらしい。

何も言わずに出かけた事は悪い事をしたな……と思うのだが、でもそうしたくなるのには理由がある。


それは、私がちょっと出掛けたいと伝えると、必ず誰かが一緒に付いて来るからだ。

マノアさんのいる家に行きたいと伝えただけで、十人位の騎士達に一緒に行くと言われた時には唖然とした。


なんとなく、皆さんの本来の仕事の邪魔をしている様な罪悪感が拭いされず、行くのを諦めた経緯がある。


今回は邪紋が消えたと言う事件があったから騒ぎになってしまったが、元々下級層には私の家があるんだし、今まで生活をしていた場所なんだから、そこまで心配しなくても……と、思わなくも無い。


シーンとした空気の中、ヌェイリブさんの横にいた少しお怒り気味のカリム殿下が口を開いた。


「直ぐに騎士達が制圧したから良いが、下級層は暴動が起こる寸前だったのだぞ。もう少し注意して貰わないとな。以後気を付ける様に!」


「はい、ごめんなさい……。気をつけます」


私はカリム殿下にも、ペコリと頭を下げた。

暴動が起こって怪我をする人達がいたら、それはそれで問題だった。

また少し簡単に考えすぎていたと、心から反省をした。


シュンッと私が落ち込みを見せる部屋に、マノアさんが入室をして来た。

私を見たマノアさんの顔に、穏やかな笑みが浮かぶ。


「サナ。もう体の方は大丈夫?」


「うん、もう大丈夫!」


マノアさんは、ニコリと微笑んだ私に歩み寄ると、お弁当を手渡した。


「サナも食べてね」


「ありがとう、マノアさん!」


久しぶりのマノアさんの手料理だ。

落ち込んでいた私の心が浮上する。

私の喜ぶ顔を見てにこやかに笑ったマノアさんは、ヌェイリブさんへと歩み寄った。


「はい。お弁当」


「ん?俺の分もあるのか?暫くは忙しくて食べる暇が無いから、要らないって言っただろ?」


「ええ。でも、やっぱり心配で……」


振り返ったマノアさんは、ロッチアにもお弁当を手渡した。


三人一緒のお弁当がちょっと嬉しい。

そして、お腹がとても空いていた。

私とロッチアは、少し早いお昼にする為に、テーブルの上にお弁当を置いた。


私はマノアさんがお茶の支度をしてくれているのを見て、急いで手伝いに行く。

二人で仲良く、お茶の用意をし始めた。



サナとマノアが笑顔で談笑していると、カリムの元へと騎士が報告にやって来た。


「失礼致します。下級層にて、邪紋喪失を確認した市民及び、薬を飲んだ者達を、全員城へと連れて参りました」


「そうか、分かった。私も今からそちらへと行こう」


カリムが騎士と一緒に部屋から出て行ったのを見たロッチアが、慌てて後を追った。

廊下へと出たロッチアに気が付いたカリムは、振り返った。


「ロッチア。お前はサナの側にいろ。もう二度とサナの側を離れるな!分かったな」


「ハッ!」


「……それで、その後サナとはどうなんだ」


「それは……まだ……」


口籠もったロッチアに、カリムは深いため息をついた。


「何をのんびりしている!いつアイツがサナを連れ戻しに来るか、分からない状況なのだぞ」


「……申し訳ございません」


「アイツが来る前に、なんとしてでもサナとの仲を取り戻し、お前のものとするのだ。ヌェイリブに、お前とサナが良い仲であったと聞いたからこそ、お前に任せたのだぞ。お前が出来ぬと言うのなら、私がする」


「それは!」


「嫌ならさっさとしろ!もう時間はないのだからな。アイツがここに来てしまったら、サナはアイツと共にここを出て行くだろう。そうなれば、全てが終わるのだ!この砦を守る為の決断ならば、私は迷ったりはしない!」


「分かりました。俺が必ず、サナを手に入れてみせます」


「時間は無い。後二日だけ待ってやる。いい加減、覚悟を決めろ!」


「はい」


頭を下げてカリムを見送ったロッチアは、グッと拳を握り締めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ