第84話 姫さまよりも女王様!?②
曽根崎と坂巻は、ばつの悪そうな顔で俯いている。
俺はシリコンの棒を持っていた。
「心愛。こんなもの俺に見せて何がしたかったんだよ!」俺はシリコンの棒を振った。
「えーと…この形を見たら男にもどりたくなるかなーって…」
「ならんわ!気持ち悪い!」
「…え?ならない?気持ち悪い?」
「そうだよ!って、え?」
なんで、気持ち悪いと思った?自分にもついていたものが…?双頭だから?
「しのぶさん…?」曽根崎は俺に不安げな表情を見せる。
「えっと…あれ?俺、私?…男…?」
この感覚、なんだ…?
「しのぶさん、やはり心も女に…?」
「…大丈夫です。それより曽根崎さん!なんでこんなもの持ってるんですか!?」
「…あの…それは…隠してたんですが…姫が勝手に…」曽根崎はうつむいている。
「だからなんでそもそも持ってるんですか!?」
スケべな曽根崎の事だ。俺と付き合えたら使うつもりだったのだろう。
「それはその、わ、私が…女性とお付き合いした時に買ったもので…」
「えっ」俺は思わずシリコン棒を手から離した。ボトリと音を立ててシリコン棒は床に落ちた。
「すいません…」曽根崎は俯いたまま謝罪する。
使用済みだった。触っちゃった…
「…と、とにかく!こういうのはやめてください!今日はお客さんが来るので帰って…」
「しのぶさん…?」
真理衣の声だ。またこの展開…。
「その…これはこの人達が持ってきて…」俺が引きつった顔で振り返ると、真理衣は先日とは比べ物にならないほどの、黒い笑みを浮かべていた。
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「へえ、良い体ですね2人とも」
曽根崎と坂巻は下着姿で正座している。
「あの…私はいいので、姫を許してはくれまいか…」曽根崎は俺の隣でソファに座る真理衣を見上げている。
「だめよ」真理衣はますます黒い笑みを浮かべ、足を組み直す。
真理衣のスーツのスカートは短めで、叱られているというのに曽根崎は真理衣の脚に見惚れている。
「真理衣ちゃん…曽根崎さんに、その…見られてるよ、脚…」俺は真理衣に耳打ちした。
「何見てんのよ!いい根性してるじゃない!ほんとは最初から男なんじゃないのあなた!」
真理衣は曽根崎の頰にシリコン棒をグリグリと押し付ける。
「あぁ…すいません…」曽根崎は恍惚の表情を浮かべる。
「真理衣ちゃん…曽根崎さん嬉しそうだよ…」
「…この人はダメね。こっちの子にしましょう。あなた方はなんでこんなことをしようとしたの?しのぶさんが怯えてるじゃない」真理衣はシリコン棒を坂巻の鼻先に突きつけた。
「えー、そのー…」
「はっきり答えなさい!」
「はい!その、しのぶ君の心を男に戻そうと思って…」
「姫は良かれと思って…私の提案した方法も試したいのだが…」
「…」真理衣は黙っている。
「…真理衣ちゃん?」
「…なんだ、そんな事?」真理衣はシリコン棒を放り投げた。
「えっ?」2人は驚いて真理衣を見上げる。
「私の前世はね。男だけど…どっちもイケたのよ!」
「えええ!?」
「だから私はしのぶさんがどっちでもいいの。それより、ダメよ?しのぶさん。女の子はちゃんとお家に鍵掛けなきゃ…」真理衣は俺の顎を持ち上げ、キスをする。
「んん…」
なんか上手くなってるぅ…
「しのぶさんは私のものよ。次にこの人に変な事をしたら全裸で街を歩かせるから」
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曽根崎と坂巻は服を着て逃げ帰っていった。真理衣はまるで女王様だった。恐ろしい…
「そういえば真理衣ちゃん、媚薬の話はどうだったの?」
「ああ、それはね…後で話すね。それよりこれ、試さない?」真理衣は自分がさっき放り投げたものを手に持っていた。そして、いつのまにか俺は真理衣に押し倒されて動けなくなっていた。
「え?あっ…ええっ!?あっ…アー!」




