第81話 神の背任行為①
真理衣に出勤を止められたので、俺は今日も有給を消化して休日。こんなに簡単に取得できるものなのか…さすがは清光商会…ホワイトだ。
前職にも休みはあったが、いつも仕事の事を考えていた。前の勤め先…黒田サービスでは売り上げが命より重かったからだ。
売れなければ面談という名の解雇通告。売れてもさらなる売り上げを求められる。
その点ホワイト企業は、仕事から離れた時は楽だ。業績があがらなくとも何も言われず、会社が潰れる心配も無い。その代わり、いかに頑張っても年功序列、学閥、血族などが絡み、出世は難しい。
そういえばこの身体…しのぶの母親も、しのぶをゴリ押しで清光商会に入社させたんだったな。彼女にも、たまに連絡すべきだろうか。
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特に何も思いつかないので、とりあえず部屋の掃除をして、一服。ニコチンのない電子タバコだが、気持ち的にひと段落イコール一服なのだ。
午前10時でやる事が無くなった。
暇だ。真理衣にメッセージを送る。
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★しのぶ
ひまー。
★まりぃ
早っΣ('◉⌓◉’)
★しのぶ
転生前は常に働いてたから…課長はどう?
★まりぃ
何か考え込んでるの。もう少し探ってみる
★しのぶ
あまり危ない事はしないでね
★まりぃ
りょ♡
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「なーにニヤついてんのしのぶちゃん。お仕事は?」
「うおっ!?」
ナターリャが背後に立っていた。
「カノジョと仲良くなったのね。良かった良かった」
「良かったじゃないよ…エルヴィンはどうだったんだ?」
「それがね…」
女神ナターリャは、捕らえたエルヴィンを天界で隅々まで調べた。そうしてわかった事は…
エルヴィンは喜多嶋や大村、津島と同じ、常夜の生まれで推定200歳、異世界への転移回数、約20回。
各世界で技術や魔法を習得しては転移する、ということを繰り返していたらしい。
「なんでそんなやつが野放しだったんだよ…」俺は根本的な疑問をナターリャに投げた。
「それなのよ…実はね…あー。聞かれるとまずいわね。ちょっと待って」
そう言った途端、ナターリャは大人の姿に戻り、部屋の四隅に向かって1センチサイズの、光の玉を飛ばした。すると、部屋の壁が薄っすらと光り始めた。
「これでよし。えーとね。常夜とその世界の管理神に、背任疑惑が上がってるの」
「背任…!?」
無数にある世界。
それを管理するのは当然神なのだが、神は複数いるらしい。ちなみに、彼らには上司がいるため、唯一神を信じる宗派にとっては神たちのトップこそが唯一神、という事の様だ。
神は通常、複数の世界の管理を任される。そして、そこに住まう生きとし生けるものの魂の行く末を見守るそうだ。自分の管理外の世界へ転生させたり、転移してしまった際には他の神へその旨を伝える。
ところが、常夜の管理神はそれを意図的に怠っていた、という疑惑が出てきたらしい。
「まーそんなわけで、その背任疑惑がハッキリするまで、常夜を密かに監視する様に上から指示があってね」
「へぇ…神様の仕事も、企業の活動みたいだな…」
「そーなのよ。大変なんだから。それでね、エルヴィンは一度常夜に戻って、力のある外法師をそそのかしたのよ」
「じゃあ、髑髏斎はエルヴィンの手下…?」
「いいえ。髑髏斎はエルヴィンより上手だったみたい。自分が死んだ時に、#よりによって__・__#この世界に生まれる様、仕組んでいたみたいなの」
「…ん?この世界に何かあるの?」
「…人間であるあなたに、それは言えないわ」
「なんだよそれ?」
何を隠している…?
「そうね…言える事があるとしたら…」
ナターリャは少し俯いて何か考えた後、口を開いた。
「転生、転移、魔法、外法、魂…それらの技術が一切無い世界は、ここだけなのよ」




