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ストイック  作者: ドライサーの小説の翻訳作品です
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第49章

 

 その最初の夜、もっと遅くなってからベレニスの寝室で、クーパーウッドは後見人と被後見人という自分たちの役割を一緒に続けた方がいいと自分の意見を述べた。

「だって、ベヴィ、すでにステインや他の人たちは、そういう関係だと思い込んでいますからね」

「私があなたと別れるつもりかどうか、さぐろうとしているんですか?」ベレニスは尋ねた。

「まあ、当然ですよ。私はあなたがそれを考えているかもしれないと思いました。このステインという人物は、確かにあなたに提供できるものを全部持っていますからね」

 クーパーウッドはベレニスのベッドの端に座っていた。部屋は、引かれたブラインドに反射する月明かりに、わずかに照らされただけだった。ベレニスはベッドに座って枕にもたれかかりタバコを吸っていた。

「あなたほどではありません」ベレニスは言った。「もしあなたがこれまでに本当に関心を持っていたならですけど。でも、あなたが知らなければならないとすれば、私はあなた自身が私に押し付けた問題以外は何も考えていないってことです。私たちは協定を結んだのに、あなたはそれをめちゃめちゃにしたんですよ。この状況で私に何を期待するのかしら? あなたにはあらゆる自由を与えて、私は何も求めないとでもいうの?」

「あなたに嫌な思いをさせたり害になることは何も考えていません」彼の口調は攻勢だった。「私はただ、あなたがステインに関心を持つつもりなら、あなたが新しい状態に落ち着くまで、この後見人と被後見人の関係を続ける方法を考えなければならないと言っているだけです。考えようによっては」クーパーウッドは十分に正直な気持ちで付け加えた。「あなたがステインのような男性の妻の座に収まるのを見られたらうれしいですよ。その一方で、私たちが立ち上げた計画があります。あなたがそれに参加しないとなれば、ベヴィ、率直に言って、私はあまり関心が持てなくなります。続けるかもしれないし、続けないかもしれません。すべては私の感じ方次第です。ローナ・マリスと組んだので、私が自分にとって価値のある条件を簡単につくれるとあなたが考えるのはわかります。でも、私はそれをそう見ません。ローナはただの小さな出来事です。さっき話したとおり、情動であって心が通ったものではありませんでした。もしあなたが私とニューヨークに行っていたら、これは決して起きなかったでしょう。起きてしまった以上、私がやるべきなのは、あなたとできる最高の仕事のやり方を決めることです。だから、何をするべきかは、あなたが言わなければなりません」クーパーウッドは立ち上がって葉巻を探しに行った。

 こう率直に迫られてベレニスは、クーパーウッドが言ったすべてのことに、自分が激しく悩まされていることに気がついた。何しろ、ベレニスはクーパーウッドをとても大事に思っていた。彼女にとっては彼の問題も仕事も、自分のものよりも重要だと言ってよかった。ベレニスの人生も、将来も、それとは対照的だった。彼女が三十五歳や四十歳になったときに、彼がいる可能性はわずかだった。クーパーウッドが待つ間、ベレニスは黙ってそこで横になって考えていた。大きな不安がないわけではなかったが、やがて答えた。そうね、続けるわ。もちろん、続けます、とにかく当分の間は。クーパーウッドの未来の動きや決断について、彼や彼女に何が言えただろう? 

「あなたのような人は誰もいないわ、フランク」ベレニスはここで言った。「とにかく、私にとってはね。もちろん、ステイン卿のことは好きです。でも、本当はまだよくわかっていません。それは考えても仕方がないことですから。それでも、面白い方だわ……本当に魅力的で。もしあなたが、あなたとの半分の人生を私に任せるつもりなら、彼が本当に私と結婚すると仮定すると、私が彼を無視するのは現実的でないようにも思えるわ。そうなると、あなたに頼ることは、考えるどころじゃなくなるのよね。もちろん、あなたのもとにとどまって、私たちが計画したすべてのことをあなたと一緒にやりとげるために全力をそそいでもいいのよ。それって、私が自分を完全に信頼しているからでしょ。私はあなたに、私の青春、私の理想、私の熱意、私の愛情をささげるわ。そして見返りは何も期待しません」

「ベヴィ!」クーパーウッドはベレニスの発言の無私無欲に驚いて叫んだ。「まさか、本気じゃありませんよね!」

「じゃあ、どこが嘘なのか教えてください。もし私が続けるとして、それだとどうなるの?」

「うーん」クーパーウッドはベッドの向かいの椅子に座りながら言った。「あなたは重大な問題を提起していますね。私はあなたほど若くはありません、それに、もし私と一緒にい続けたら、確実に晒し者になって世間から爪弾きになる大きな危険を冒します。これは否定できません。私があなたに残せるものはお金しかありません。私たちが今夜何を決めるかに関係なく、すぐにその準備をする、と今私はあなたに言うことができます。それを上手に管理すれば、あなたの残りの人生を贅沢に過ごせますよ」

「わかってるわ」ベレニスは言った。「あなたが誰かを大事にするときに寛大な人だってことは、誰も否定できません。それには疑問さえ抱いていません。私の悩みは、あなたには本当の愛が欠けていることと、自分が後で愛をなくして取り残されるだけでなく、自分の愛の代償を別の形で払うことになるのがかなり確実なことなんです」

「あなたの問題はわかります、ベヴィ、私を信じてください、悪いようにはしません。それに私は、あなたが自分でやりたいと思う以上のことを、あなたに求める立場にありません。あなたは自分にとって最善だと思うことをやらなくてはなりません。でも、私はあなたに約束します、ベヴィ、もし私と一緒に続けてくれるのなら、あなたに誠実でいるように心がけると。そして、あなたが私と別れて誰かと結婚すべきだと思うのなら、干渉しないと約束します。これでいいでしょう。前にも言いましたが、私はあなたのことをとても大事に思っています、ベヴィ。わかってますね。あなたは私にとって恋人というだけでなく我が子同然なんです」

「フランク!」ベレニスは彼を自分のそばに呼び寄せた。「私があなたから離れられないことはわかっているでしょ。できないのよ、少なくとも精神的にはね」

「ベヴィ、大事なお嬢さん」そしてクーパーウッドは両腕で抱きしめた。「またあなたと一緒にいられるとは、うれしいかぎりだ!」

「でも、一つ解決しておかなければないことがあるのよ、フランク」ベレニスは乱れた髪を静かに整えながら、口を挟んだ。「このヨットの招待の件なんだけど。この件はどうしましょう?」

「まだわかりませんが、ベヴィ、でも、彼があなたに大きな関心を持っている間は、私に特に敵意を向けることはないでしょう」

「とんでもない人ね!」ベレニスは笑いながら叫んだ。「たとえ、芯まで染まった悪党だったとしても……」

「いやいや、ただの若い野心家のアメリカ人ビジネスマンが、イギリス資本の森で自分の道を見つけようとしているだけです! それは明日話し合いましょう。今は、あなた、あなたのことだけを考えたい……」

 


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