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植人  作者: NAO
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新たな歩み

【地球と月の中間地点の宇宙空間 ラグランジュポイント】


『月の番人』の能力で最も強い能力は「他者への思念導入」である。齢40億年を超える(当人は眠っていたので自覚がない)が故の能力である。


 彼は地球に居る同胞から伝えられた映像を思念に乗せて火星隕石群に向けて流し始めた。


 流石に齢40億年は「あのPV」にも動じる事は無かった、表面上は。


 多分、ハレー彗星が地球に最接近して自分も巻き飲まれるのではないか!?と思った位には内心でビビっていたのかも知れない。


 『月の番人』の思念波が火星隕石群を包み込む。


 蝋燭を頭に翳した女性が髪を振り乱して五寸釘や出刃包丁を持って襲い掛かる思念が隕石群に伝播し始めると、隕石群は恐慌状態に陥った。


 余りの恐怖に自我を失って月面に衝突したりあらぬ方角に飛び去ったりした隕石が続出し、隕石群はラグランジュポイントの手前で停止してしまう。


 『月の番人』は別の思念波を流す。


 それはドングリ光太郎と夏乃が談笑する姿であり、二郎と三郎が渋谷の街で植人と会話したり、NYで警官と植人が出会ったり、植人と人類が社会の中で融合していく様をそのまま見せたのである。


 この映像は秘かに光太郎と夏乃が久島兄弟にだけ依頼して集めた映像であり、久島二郎と三郎が『月の番人』へ最後に届けた映像である。


 映像は伝えていた。


「人類は新たな歩みを始めようとしている」と。


 ラグランジュポイント手前の隕石群は、『月の番人』の言わんとすることを理解したのだろう。

 1つ、また1つと火星へ戻っていく。



 202X年12月4日、地球を目指していた火星隕石群は月面を過ぎた付近で大きく進路を反転させて火星へ戻って行った。



 同月5日、世界中の''訪問者''が一部を除いて突如人類の前から姿を消した。


 僅かに英国のケルト、ロシア連合のチクシュループ婆、久島一郎だけが残った。


 久島曰く「役目を果たしたので本来の場所に戻った」と。

 御池も信州の祠に戻った


 翌年202X年1月1日、再びG8が開催される。植人を中心とした宇宙開発の加速と惑星間航行可能な宇宙船の開発、建造が決定された。


 宇宙船の目的地は「火星」である。ケルトと久島の提案であった。

「今度は人類が火星に出向く番だ」と。



 202X年4月1日、国際宇宙ステーションから人類初の有人惑星間航行宇宙船「つばめ」が火星に向けて発進した。


 乗組員は光太郎と夏乃の二人だった。


 同日、地球上から久島一郎とチクシュループ婆の二人が人類の前から姿を消した。


 NASAは宇宙船「つばめ」の後方に2つの小惑星が宇宙船に寄り添うように付いて行くのを観測した。


 宇宙船「つばめ」は2年後の202X年に火星へ到着する予定である。

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございましたm(__)m


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