二郎と三郎
【太陽系第3惑星 衛星『月』地表上】
久島二郎と三郎は月面上に立って、火星方面の宇宙を眺めていた。
「抹茶旨かったのう」
「羊羮は至高の存在じゃ」
「光太郎は面白い奴じゃったのう」
「夏乃と末長く生きるのじゃぞ」
やがて、
「じゃ、行こうかの」
どちらともなく声を掛けて、月面を飛び立った。
JAXAの月面探査衛星「かぐや」6号は月面から二筋の閃光が火星隕石群に向かったのを観測した。
種子島宇宙センターは二筋の閃光について最後までどのような現象だったのか解析出来なかった。
しかし、閃光が発した地点で科学的に説明出来ない小さな縄文杉の苗木が2本、根付いて居るのが発見された。
英国のケルトは後年月面に着陸し暫し杉の苗木と対談したが直後に地球圏から消息を絶った為、どのようなやり取りが有ったかは誰も分かっていない。
世界各地の天文台は地球に接近していた火星の衛星「フォボス」「ダイモス」が急速に進路を変えて太陽系中心部に向かったのを、観測した。
2つの衛星はどんどんと加速するとやがて彗星の様になり、水星付近を過ぎたところで太陽から沸き上がった巨大コロナに直撃されて消滅した。
翌日早朝、光太郎の枕元に「御礼」と書かれた差出人不明の2通の封筒が置かれていた。
封筒の中に入っていた手紙を読んだ光太郎が無言で手紙と小袋を夏乃に手渡した。夏乃がそっと小袋の封を切ると、それぞれの小袋には一粒ずつ小さい種が入っていた。
二人は小さい小さい種を優しく手に取りながら二郎と三郎の最期の想いを感じるとその場で静かに泣くのだった。
ここまで読んで頂き心から感謝しますm(__)m




