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植人  作者: NAO
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白鳥

【メキシコ ユカタン半島  パナマ運河跡】


 かつては大西洋と太平洋を繋ぐ要衝として栄えていたこの地域は、第三次世界大戦直後に出来た巨大なクレーターと僅かに残った港湾施設の残骸や難破した船舶がクレーター端に打ち上げられて廃墟と化している。


 この地域の人々はデブリ落下の衝撃と直後に起きた東西太洋から押し寄せた大洪水の犠牲となっており、動く者の居ない死と静寂の世界と化している。


 デブリの痕跡としてクレーター内に出来た湖には東西の太洋から流れ込んだ海水がぶつかり合って赤茶色の渦を巻いている。


 ポピガイによるデブリ攻撃で破壊されたパナマ運河跡のクレーターの畔で、南米には似つかわしくない1羽の「白鳥」が顕現すると北を目指して飛び去って行く。



【ロシア社会主義人民共和国連邦 首都モスクワ市  クレムリン 地下司令部】


 ポーランドから久し振りに戻ったポピガイは、激しい戦いで使い果たした能力を休めるために個室のベッドで横になりながら、静かに考えていた。


 今やロシア以外の国と火星の同胞達が敵に回ってしまった。


 はっきり言ってこの状況は''詰み''だろう。

 しかし、私自身はこのまま報いを受けても良いがマカロフはどうなるのだろうな。


 彼は西側への怨みからこの戦争を起こした。


 始めのうちは、同じ人類で切磋琢磨するから悪くないと思っていたが、どうやら事態は逆効果になってきた。

 同胞が参戦してきたからだ。シュタインハイム、メルトリンガー、ケルト、ボスムトゥイ、バリー、チャップと爺、クイーン姉弟、それにミイケとクシマ。


 これでは人類を使った火星同胞同士の代理戦争であり、人類自ら意識して戦うのとは訳が違う。

 この戦争を一先ず終わらせて、別の方法を模索すべきか?


 そう想っていると、急激に強烈な思念が接近してきているのをポピガイは感じとった。


「来たか」


 クレムリンを守備する警備兵の前に、曇天の空から1羽の白鳥が舞い降りた。


 優雅な白鳥に警備兵が見とれていると、白鳥が突然光り輝き老婆に変身した。


「ふぇっふぇっふぇっ。すまんの、こんな婆で」


 腰の曲がった老婆が唖然としている警備兵を一瞥する。我に返った警備兵が自動小銃を構えて老婆に照準を合わせようとする。


「小童めが。ちょっと原初の姿で反省せい」


 老婆に一瞥されただけで警備兵はその場で崩れるように溶解してしまうのだった。


「さて、奴はどこじゃ?」


 クレムリンの中に入って行く老婆だった。

ここまで読んで頂きありがとうございましたm(__)m


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