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角を狩るモノ  作者: Samail
一章 角狩りの始まり

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八話 倒れない鬼

山の入口。


土は荒れ、血が乾ききっていない。

倒れた男が二人。

残った者たちが、必死に距離を取っている。


「下がれ!持たんぞ!!」


刀が弾かれる音。


その中心に――双角。


二本の角。

歪んだ人の形。

腕を振るうたび、空気が裂ける。


「来たぞ。」


振り向いた男が目を見開く。


「……角狩りか!?」


「助かった。」


ソウはわずかに眉を動かす。


「……角狩り?」


肩の上で、ムジナが小さく笑う。


「呼ばれてるぞ。」


答えない。

ただ、前を見る。


一歩。

踏み込む。

双角が反応する。

速い。


だが――


ソウの方が、わずかに速い。

刀が走る。

首筋を捉える。

斬れる。


浅い。


「……。」


踏み込み直す。


二合。

三合。

連続で斬る。


肩。

胴。

足。


確実に当てている。

それでも、止まらない。


「……硬い。」


肉は裂けている。

血も出ている。


それでも動きが鈍らない。


双角の腕が振り抜かれる。

受け流す。

そのまま懐に入る。

もう一太刀。

今度は深く。

斬れる。


しかし。


「足りない、か。」


落ちない。


踏み込みを重ねる。

間合いを潰す。

攻め続ける。


双角に考える暇を与えない。

押している。

確実に。


だが。


倒れない。


「おい……。」


後ろで、誰かが呟く。


「斬ってる……よな……?」


「当たってる……全部……。」


ソウは答えない。


ただ、斬る。

当たっている。

それでも。

足りない。


「……決め手がないな。」


小さく呟く。


双角が一歩下がる。


わずかな間。


その瞬間。


踏み込む。

狙いは首。


今度こそ――


当たる。

深い。

確実に入った。

だが。

止まらない。


「……なんだ?」


違和感。


双角の動きが、わずかにズレる。

ほんの少し。

だが、確実に。


「……?」


もう一度、踏み込む。


タイミングが合わない。

半歩、ズレる。

斬撃が空を切る。


「……。」


何かが、引っかかる。

背筋が、冷える。


双角の肩が、わずかに歪む。

骨が鳴る音。

ありえない方向へ。


「……。」


ソウの足が、止まる。


次の瞬間。


――ぱきん。


鬼が、歪んだ。

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