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角を狩るモノ  作者: Samail
八章 遠野

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七十四話 祝言

朝。


上代家。


朝から屋敷が慌ただしい。

使用人たちが走り回る。

河太郎は大きな桶を運び。

わらしは小さな花を抱えて歩いている。


「……きれい。」



兵介は落ち着かない。


「俺まで緊張してきた……。」


団子屋の娘のフミがお茶を差し出す。


「どうぞ。」


「あ、ありがとう。」


フミは笑う。


「兵介さんの方が花婿みたい。」


「やめてくれ。」


兵介は照れて頭を掻く。

フミはくすっと笑った。



庭。


ムジナが白狐の隣に寝転がる。


「人間って大変だな。」


白狐は笑う。


「好きになったら、こういうもんだよ。」


「狐もやるのか?」


「やるよ。」


「へぇ。」


二匹は縁側を眺めた。



わらし。

河太郎。

二人並んで座る。


「……おめでとう。」

「おめでとぉ。」


二人は笑う。



庭先。


祝言。


豪華ではない。

家族と村人が集まる。


あやかしたちも集まる。


誰も騒がない。

ただ。

皆が笑っていた。



白無垢姿のミコト。

兵介は思わず呟く。


「綺麗だな……。」


コトも頷く。


「うん。」


反対側。

紋付姿のソウ。

ムジナが笑う。


「似合ってんじゃねぇか。」


ソウは少し照れた。


「ありがとう。」



アキが前へ出る。


「本日。」


「上代家次期当主、ミコト。」


「そして。」


「ソウ。」


「二人の門出を祝い。」


「ここに祝言を執り行います。」


静かな風。

鳥の声。



盃。


互いに受け取る。

静かに口を付ける。


風が吹いた。

社の方から。

柔らかい風だった。


わらし。

嬉しそうに手を叩く。


「……ぱちぱち。」


河太郎も真似する。


「ぱちぱちぃ。」


妖たちも笑う。

村人たちも笑う。

やがて。

大きな拍手になった。



宴。


村人が料理を運ぶ。

子供が走る。

河太郎は酒を飲み。

白狐は魚を食べ。

ムジナは団子を頬張る。


「うめぇ。」


「一つちょうだい。」


「じゃあ魚も寄越せ。」


白狐が笑う。


「ほら、交換。」


「おう。」



兵介。


フミの隣。


「ねえ、兵介さんはいいと人いるの?」


「ええ?!い、いねぇけども。」


少し沈黙。

フミが小さく笑う。


「……、そっか。」


「ああ。」


兵介は少し困ったように笑う。


「それなら、さ?」


フミは兵介の手を握った。



夕方。

宴も終わる。

縁側。


ソウとミコト。

並んで座る。

誰もいない。

ミコトが小さく笑う。


「夫婦だね。」


ソウも笑う。


「うん。」

少しだけ間。


ミコトはそっとソウの肩にもたれた。

ソウは何も言わない。

ただ。

静かに寄り添った。


遠野の山に。

穏やかな夕日が沈んでいく。






















「見つけた。」


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