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角を狩るモノ  作者: Samail
七章 三人と一匹

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六四話 天狗と団子

山道。


風が木々を揺らしていた。

兵介が大きく欠伸をする。


「平和だなぁ。」


「いいことだよ。」


ソウが笑う。

ムジナは肩の上で丸くなっていた。

その時だった。


「……腹減ったー。」


上から声。

兵介が飛び退く。


「うおっ!?」


見上げる。

杉の枝。

そこに小さな何かが座っていた。


山伏姿。


背中には小さな翼。

兵介が刀へ手を掛ける。


「なんだ。」


何かは真面目な顔で答えた。


「木葉天狗だよー。」


沈黙。


兵介がぽかんとする。


「……木葉天狗?」


「そうだよー。」


頷く。


「団子、持ってないー?」


また沈黙。


ソウが首を傾げる。


「持ってないけど。」


兵介が何かを思い出す。


「あ。」


全員が見る。


「俺、持ってるな。」


ソウが聞く。


「なんで?」


「昨日、後で食おうと思って。」


木葉天狗の目が輝く。


「ちょうだいー!それー!」


兵介が困った顔になる。


「いや、別にいいけど。」


団子を渡す。

木葉天狗は両手で受け取り。


小さい身体で一生懸命たべる。


「……かわいい。」


ミコトは震えながら目をキラキラさせていた。


「おいしいねー。」


木葉天狗は喜んで食べている。


「おばあちゃんの団子はやっぱりおいしいー。」


ムジナが吹き出す。


「お前、天狗なのに団子なんか食うのか。」


木葉天狗がにこにこ答える。


「好きだよー?」


「即答かよ。」


兵介が笑う。


木葉天狗は時間をかけて食べ終える。

深々と頭を下げた。


「ありがとー。」


なんとも言えない空気が流れる。

兵介が聞く。


「その、木葉天狗って何なんだ?」


木葉は小さい胸を張る。


「太郎坊様の手下の天狗だよー。」


ムジナが小さく笑う。


「なるほどな。」


兵介が首を傾げる。


「太郎坊って昨日の……。」


「大天狗だな。」


ムジナが答える。

木葉天狗は頷く。


「あるじが、みんなに会いたいみたいー。」


ソウが聞く。


「俺達に?」


「そうー。」


木の葉天狗は少しだけ考えた。

ソウを見る。


「刀のおにいちゃんに会いたいみたいー。」


静かに風が吹く。

兵介が顔をしかめる。


「なんかしたのか?」


ソウは首を横に振る。


「心当たりはないかな。」


木葉天狗は枝の上へ飛び乗る。


「じゃあいこー?」


軽く跳ぶ。

枝から枝へ。

まるで風に乗るようだった。

兵介は口を開ける。


「……小さいのにすげぇな。」


ムジナが肩をすくめる。


「天狗だからな。」


ソウは山の奥を見つめた。


「俺たちも行こうか。」


三人と一匹は、木葉天狗の後を追って山奥へ足を踏み入れた。

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