表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
角を狩るモノ  作者: Samail
五章 境界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/68

四十五話 磨斧作針

夜。


山道。


風が木々を揺らしていた。


一角が吠える。

兵介が踏み込む。


「おおおっ!!」


石の形代が淡く光る。

刀が走る。

斬る。

浅い。


だが止まる。

もう一歩。

踏み込む。

振り抜く。


首が落ちた。

血が噴き出す。


兵介はその場で肩を上下させた。


「……はぁ、はぁ。」


息が熱い。

手の中。

石の形代を見る。


黒ずんでいた。

少しだけ。


「……よし。」


拳を握る。


「俺もついに鬼を斬ったぞ……。」


嬉しそうだった。

その時。

後ろ。


「いや、お前、普通にすげぇぞ。」


声。

振り向く。


長槍を担いだ男が立っていた。

大柄。

坊主頭。

傷だらけ。


「初陣なんだろ?」


「まあな。」


兵介が鼻を擦る。


「ちゃんと仕留めたのは初めてだ。」


男が笑う。


「十分だろ。」


槍を肩へ乗せ直す。


「一角なんざ、普通は十人掛かりだ。」


兵介が少しだけ照れる。


「……そういうもんか。」


「そういうもんだ。」


男は胸を叩いた。

男の足元にも、鬼の死体が一つ。


「豪槍の忠たぁ俺のことよ。」


「豪槍?」


「言うほど豪でもねぇけどな!」


豪快に笑う。

その時だった。


奥。

風が吹く。

臭い。


忠の顔が変わる。


「……まだいるぞ。」


木々が揺れた。


一角。

一体。

二体。

三体。

さらに。

四。

五。


鬼の影。


兵介が顔を引きつらせる。


「はぁ!?」


忠も槍を構えた。


「これは、死んだ……か?」


空気が張る。


その時。

奥から、静かな足音。


ソウだった。


血が付いている。


だが。

息一つ乱れていない。

忠が目を瞬かせる。


ソウは首を傾げた。


「終わったよ。」


静かだった。

兵介が周囲を見る。

地面。

転がっている。


一角。


一。

二。

三。

四。

五。


全部、首が落ちていた。


沈黙。

忠の槍が少し下がる。


「「……え?」」


兵介も止まる。


ソウは天穿を払った。

血が地面へ散る。


「そっちは?」


兵介がゆっくり、自分の一体を見る。

豪槍も。


次に。

五体を見る。


沈黙。


やがて。


「……いや待て。」


引きつった声。


「俺、一体で死ぬほど頑張ったんだけど?」


ソウは少しだけ考える。


「ちゃんと斬れたじゃん。」


優しい声だった。


兵介は微妙な顔をした。


忠が乾いた笑いを漏らす。


「……バケモンだな、こりゃ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ