表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毒キノコ転生〜地下ダンジョンに閉じ込められた最弱の魔物は、チートスキルと謀略を駆使して最強最悪の魔族を目指す〜  作者: さかなかさ
二章『虚穴の亡霊』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/21

八話 『新たなスキル』

1週間後。


ダンジョン深部に向かうことをひとまずの目標に、俺は洞窟を歩き続けた。この数日間だけで様々な魔物と出くわした。


成人男性くらいの大きさの蝙蝠。

目が5つある熊型の魔獣。

全身が鋼でできた、巨大なゴーレム。


それぞれスキルを駆使して戦闘し、蝙蝠と熊は毒で倒し切ることができた。しかし、結果は2勝止まり。


鋼鉄のゴーレムには得意の毒がほとんど効かず、相性の悪さを肌で感じた。


幸い足は遅かったので、倒すのを諦め泣く泣く撤退したのだ。



酸毒雨(アシッドレイン)…!」


今日も今日とて、向かってくる魔物と戦闘を行う。

相対するのは二足歩行のトカゲ、リザードマンだ。鉄の鎧を装備しており、その右手には剣が握られている。


「オ前、ナンダ…!ミタコトノナイ、ニンゲン…?!」



どうやら多少知性があるようで、カタコトの言葉を発している。



「やーん、ただのきのこですよぉ。」


そう適当に返しながら、この人形トカゲを倒す術を考える。着こまれた鉄の鎧のせいで、毒が効き辛い。露出しているのは頭部と尻尾の部分だが、弱点を理解しているようで、なかなか隙を見せない。


(よーし、ここは…)



おもむろに、俺はリザードマンに向かって駆け出した。

右の拳を振り上げ、肉弾戦を仕掛ける。




「…ハハ!バカニンゲン!」


リザードマンが嘲るように笑う。確かに、俺の力のステータスから、近接戦はリザードマンが圧倒的に有利だろう。だが、狙いはそこではない。


リザードマンが、長剣を構え突きを繰り出そうとする。俺はその剣をすんでで躱そうとするが__



「オワリ、ダ!!」


避けきれない。ドスッ、という音ともに、俺の胸には深々と長剣が突き刺さった。


「がっ…はっ…」


穴の空いた胸部から体液が溢れ出す。俺はそのまま、力を失いガクッと項垂れる。

リザードマンが勝ち誇ったように笑い出した。


「…なーんてな。」


刹那、俺は右手をリザードマンの眼前に突き出した。


「喰らえ…!!」



「ナッ…!?」


リザードマンが驚き、一瞬、硬直する。反応されるより早く、俺は掌から毒液を射出した。



「グギャアアアア!!!」



リザードマンは痛みに剣を手放し、その場で地面に転げ回る。




「進化してから、ある程度好きに体を変形できるスキルを手に入れてな。お前の突きに合わせて、体に穴を開けといた。」



スキル「菌糸変形」


キノコの体は菌糸でできている。見た目上は人間に近くても、内臓がある訳ではないため、かなり幅広く変形が可能だ。急に容姿が人間に近くなったのもこのスキルのお陰だろう。まさかぶりっ子美少女になるとは思わなかったが。



ズボズボッ、と俺は体に刺さった剣を引き抜く。

服に穴が空いているが、問題ない。どうやら服も体の一部のようで、痛覚はないがそのうち再生する。

人間で言えば髪の毛や爪に近い器官だ。



「ハハ、手応えは感じたろ?体液を煮凝りみてーに固めて、穴に詰めといたんだ。んー、俺ってば賢いなあ。」



べらべらと喋りながら、俺は痛みに悶えるリザードマンの方に近寄る。


フィクションなら完全に悪役のそれだが、今はこのくらいで丁度いい。…特に、知性のある人型の魔物を殺す時は。

普段のテンションでは、精神がすり減ってしまう。



「せめて俺の糧となってくれるよなぁ!?なぁ、バカトカゲ!!」



ザクッ。



俺はノリノリで手に持った長剣を頭部に突き刺し、リザードマンにトドメを刺した。


「ギャーハッハッハ!!!!…いや、ちょっと悪役すぎるか?」


高笑いまでこなしたところで正気に戻る。

あー、頭が痛い。脱走した日からずっと調子が悪い。

洞窟深くで毎日命の奪い合いをしているのだ。精神に相当負荷がかかっているのだろう。


「こんなところで止まってる暇ねぇよな…」


ルーカスの分も生きると、決めたのだ。

頭の中でルーカスの言葉を思い出す。この世界で、唯一の友。


気持ちを切り替え、動き出そうとすると。


[レベルアップ!]


久しぶりにそんな通知音が聞こえた。やはりあるあるというか、レベルは上がれば上がるほど必要経験値が増えるようだ。


経験値が可視化されている訳ではないが、着実に遅くなっているレベルアップの頻度がそれを物語っていた。


いつもと変わらぬその通知に、今日は新しいものが追加されていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【カレオバナタケ Lv.40】

 HP:112/112

 MP:123/123

 力:62 敏捷:84 知能:91

 

 ■スキル

  ・どくのからだ

  ・毒酸雨(ポイズンレイン)

・菌糸変形



[条件達成:上位スキルを1つ獲得できます。獲得しますか?]


[はい/いいえ]


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




「上位スキル?」


訳もわからぬまま、ひとまずステータス画面ではいを押す。

すると、画面に3つのスキルが表示された。





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


『もうどくのからだ』…更に強い毒液を生み出すことができる。


毒砲(アシッドカノン)』…毒液を凝縮し砲弾として打ち出す。物理ダメージを与えることが可能。


『変幻自在』…身体を自由に操作し、変形・分裂が可能となる。分裂は消費したMPに応じて効果が上がる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



画面を確認して、上位スキルという言葉の意味を理解する。


つまり、今所持しているスキルの上位互換を一つ手に入れることができるという訳だ。


これは吟味しがいがあるな。

このダンジョンを制覇し、外の世界に出るために、俺は更に強くならなければならない。


一旦、自己分析から始めよう。


まず現状、俺はその辺の魔物との戦闘ならある程度苦戦なく倒せるくらいの実力がある。

アンヘルとその部下を倒したことで、少なくとも今の階層では生きていけるくらいの強さだろう。


一方課題として、種族として相性が悪い魔物に当たった際の対処法を持ち合わせていない。


相性が悪い魔物というのは、毒が効かない魔物だ。

現状ある唯一の攻撃スキル「酸毒雨」は、動物系の魔物には有効だが、ゴーレムなどの無機物で出来たもの、またリザードマンのように鎧を着込んだものに対して決め手にかける。


そこから考えると、物理ダメージを与えることができるようになる毒砲(アシッドカノン)は非常に有用そうだが…


俺にはそれ以上に興味を惹かれるスキルがあった。



『変幻自在』だ。


「身体を自由に操作し、変形・分裂が可能となる。分裂は消費したMPに応じて効果が上がる。」


とあるが、今までの変形に加え、"分裂"が新たに可能になるとのことだ。


「分裂って、かなり無限の可能性を秘めてるんじゃないか?」



おれは頭の中にさまざまな想像を巡らしながら、スキル『変幻自在』を選択する。



[スキル置換:菌糸変形→変幻自在]



頭の中に通知音が鳴り、俺は新たなスキルを獲得したのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ