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毒キノコ転生〜地下ダンジョンに閉じ込められた最弱の魔物は、チートスキルと謀略を駆使して最強最悪の魔族を目指す〜  作者: さかなかさ
三章『マテーラ村防衛編』

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二十五話 『新たな眷属』

[ 個体名:リュドガーが、あなたの眷属に加わろうとしています。承認しますか?]



俺は初めて見る通知に少し驚く。


(眷属って、後からなることも可能なのか?)


という疑問が頭によぎる。

これまで一度も低層の魔物が仲間になることはなかった。それに、眷属の所持数には上限があったはずだ。迷宮のシステムはいまいち理解しきれない。


疑問は尽きないが、ひとまず置いておく。


先ほどの口ぶりから、リュドガーの決意は相当固いようだ。慌てる俺の顔をじっと見つめている。

この男には本当に驚かされてばかりいるな、と内心呟く。


「リュドガー。ステータス画面は見えているか?」


「あぁ、見えている。…このような表示は初めて見るが、どうやら私の願いに呼応したようだ。」


周囲のもの達を置いてけぼりにして、俺とリュドガーだけで会話が進む。


「皆、聞いてくれ。リュドガーが、ウチの眷属に加わろうとしている。異論があるものはいるか?」


俺はそう全員に問いを投げかけた。眷属達だけでなく、エルフの若者達にもだ。


ざわざわと、客間に喧騒が満ちる。ウチの眷属達も、突然の展開に驚いているようだ。

すると、アンヘルが口を開いた。


「…僕たちとしては、特に拒む理由がないように思う。眷属とその主には強い繋がりが生まれる。それは言葉なんかより遥かに固い信頼関係だ。問題は、エルフの皆さんがそのことをどう思うか、だけど。」


そう言って、エルフ達の方に視線を投げる。彼らの多くは困惑している様子だった。


すると、その中の一人が口を開いた。


「元々、我々は貴殿らの傘下につくつもりだった。…しかし眷属になるということは、リュドガー様が明確にそちらの陣営に加わると言うことを意味する。…昨日初めて会った、貴殿らの下に、だ。」



彼から溢れたのは、反対でも賛成でもなく、感情の吐露であった。見れば、苦々しい顔がこちらを見つめている。すると、リュドガーが再び口を開いた。


「私がカミラ殿の眷属になろうと、そなたらの首長であることには変わりない。」


言うと、リュドガーは俺に向かって頭を下げた。


「この集落に生きるもの達のため。そして何より貴殿のために、我が魂を使ってはくれないだろうか。」


リュドガーがそこまで言い切ると、エルフ達からはそれ以上声が上がることはなかった。


こうして、俺は7番目の眷属として、エルフ族首長のリュドガーを迎え入れたのだった。



・・・



「それじゃ、策は伝えた。あとは実行あるのみだ。」



俺がそう言うと、エルフ達は神妙な顔で頷いた。

オーガ族の連中が来るまでに獣人族との同盟を結ぶ必要がある。


「この集落から獣人族達の中心都市までは早くて片道2週間ほどかかる。急ぎ、使いのものを向かわせよう。」


「あー、そのことだが。伝令役ってのはとても大切だ。何ぶん、獣人族の首長に直談判するんだからな。」



少々伝え方が難しいが、事実だ。


ある程度の実力があった方が舐められない。となれば必然、遣いの者はカミラ陣営(こちら)で用意した方が良い。

それも、なるべくステータスの高いやつを。


「…アンタ、昨日崖の上に一人で来ただろ。それも、周囲に味方を忍ばせることもせずにだ。」


昨日の朝、リュドガーは首長にも関わらず一人で話をつけにきた。


禍々しい俺らの魔力を一身に受けながら、一つも不快な顔を見せず、堂々と、且つ友好的にこちらとの交渉を進めた。


結果として、最も穏便な形で事を進めるに至ったのだ。その行動に対し、群れを代表する1匹の魔物として、カミラは強く敬服していた。



「…俺もアレを、見習おうと思ってな。」


俺がそう言うと、リュドガーはその言葉の意図を察したのか、驚愕の表情をその端正な顔に浮かべるのだった。


・・・



「はあ、ここでやーっと半分か!想像以上に長え道のりだな!」


それから1週間後。カミラと数名の眷属、そしてエルフ達は、獣人族の首都"カームロア"に歩みを進めていた。


エルフの集落との連絡は、彼ら固有のスキル思念通話(テレパシー)で行うことになっている。


とはいえスキルの使用距離には限度がある。そこで、中継地点として、道のりに一定間隔でエルフを配置し、連絡を行う形にした。



エルフの集落には、総大将としてリュドガー、戦闘要員としてアンヘルとプラム、指揮官としてサクラを残してきた。


キング、サファイア、ルーカスの3人は、それぞれエルフ達の中継地点の護衛役を担う手筈だ。深層の魔物は野良でも強力な力を持つ。彼らの命を守るための最低限の措置だ。


「しかし、この白狼達がいて助かった。」



道中は、エルフ達が飼っている白狼という巨大な狼に乗って移動している。馬以上のスピードでぐんぐんと森の中を突き進んでくれるが、それでも首都までの道のりは遠い。


度々遭遇する魔物達を躱すのにも体力を使う。

カミラはこの1週間、夜の見張りなども含めほとんど不眠で行軍を続けていた。


(いつあの集落にオーガが現れるか分からねえんだ。こんなところでもたついてるわけには行かねぇ…)



そんなことを考えていると、行軍しているエルフ達がざわつき出した。何やら思念通話で報告が行われたようだ。そのうちの一人が、青ざめた顔で報告を行う。


「い…今し方報告がありました!村にオーガが接近、数は三十名ほど!」



「始まったか…!」


思わず歯噛みする。1週間ほどと想定していたが、嫌な予想ほど当たるものだ。だが、まだ数は10数匹だ。

辺境のエルフの集落にそこまで警戒しているとは思えない。


(上手くやってくれよ…あいつら)


俺は歩みを進めながらも、ひたすらに村の安否を願うのだった。



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