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毒キノコ転生〜地下ダンジョンに閉じ込められた最弱の魔物は、チートスキルと謀略を駆使して最強最悪の魔族を目指す〜  作者: さかなかさ
三章『マテーラ村防衛編』

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十七話 『2年後』

カミラがこの世界に来て、2年の月日が経とうとしていた。


「おー、凄え人数。また俺ら狙いの冒険者か?」


冒険者の死体の山。その上に、一人の少女が立っている。一見異様な光景だが、俺は特に気にせずその少女に話しかけた。


「…それもこれも、半年前にアンヘルの阿呆がとちった所為(せい)ですぅ。あんな冒険者、すぐに殺しておけばこんなことにならなかったのにぃ。」


死体の山の上で、そう不満気にぼやく少女。

この世界でカミラが最初に生み出した眷属、サクラだ。

戦闘を重ねるうちに種族進化を重ね、今では昔のチビキノコだった時の面影は全くなく、ピンクの髪が特徴的な美少女の姿になっていた。


ちなみにこれは俺の前世の記憶に起因している。多分ショート動画で見た地下アイドルがモデルだ。自身の性癖が丸見えしているようで少し恥ずかしい。


「しかしサクラも強くなったもんだ。今じゃこのくらいの冒険者、一人でもどうにかなっちまうんだもんなぁ。」


俺は思わず感心する。

俺ことカミラがこの迷宮に転生して、既に2年の歳月が経とうとしていた。


この2年、俺は眷属と共に様々な成長を遂げた。

もはやこの迷宮の浅層に俺らの敵はいない。

それは人間も含めてだ。


薬の調合を担当しているルーカスが、地下にある迷宮都市「アーケロン」に独自の薬を流すと、都市の冒険者たちはたちまちその虜になった。


そうして得た金で俺たちは充分な魔道具と装備を仕入れ、いよいよダンジョンの深層に望まんとしていた。

 


今、種族進化やレベルアップを経て、俺のステータスはかなり強化されていた。

久しぶりに、自分のステータスに目を通す。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【白傘幽鬼(アガリクス・ラルバ)Lv.74】

 HP:389/389

 MP:420/428

 力:175 敏捷:156 知能:114

 

 ■スキル

  ・もうどくのからだ

  ・冥毒砲(ネクロカノン)

・変幻自在

  ・鉄菌金剛土

  ・腐蝕王水

  ・精神分裂

  ・腐生還元(リサイクル)


 ▪️獲得称号「族長の才」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



Lvも84となり、種族もさらに進化した。見た目は変わらず白髪の少女のままだが、心なしか上背が少し伸びたような気がする。


白傘幽鬼(アガリクス・ラルバ)の種族特徴としては、肉体の変形が以前より更に自在に可能になったという点だ。


一瞬にして体の一部を菌糸レベルまで分解し再構築できる。この体になってから、物理攻撃はほとんどすり抜けさせてかわすことが可能になった。

まるで本当の幽霊みたいだ。


最も炎や魔法ダメージはしっかり喰らうため、完全に無敵というわけではないのだが。



「カミラ。周辺の調査が終わった。やっぱりこの低階層じゃ、どこを探しても僕たち以上の魔物はいないんじゃないかな。」



背後から話しかけられる。振り向くと、真っ白な肌に、赤黒い髪の、一人の青年が立っていた。細い黒縁の丸眼鏡をかけている。


「調査ご苦労さん、ルーカス。…そろそろ挑戦の時が来たって感じだな。」



おれはその青年__ルーカスにそう声をかけた。


「あぁ。僕たちもいよいよ、アーケロンを抜けたその先__深層に挑戦する時が来たんだ。」



・・・



この2年間での眷属たちの成長は、迷宮での暮らしを圧倒的に楽なものにした。


彼らは度重なる戦闘を経て種族進化を遂げた。

6匹いた眷属も今ではほとんど全員が人間の姿を手に入れている。


ちなみに全員が全員人間の姿に近い種族になっていくのは、偶然ではなく、親元が元人間の俺だからだと結論づけた。


人間の姿であることは迷宮内でも大いに役立っている。

アンヘルは、今では薬売りとしてアーケロンの裏ルートに潜り込み、様々な手法で金を稼いでいる。


たまに抜けているが、明るい性格で人の懐に入り込むのが上手い。



ルーカスはダンジョン内を鋭い観察眼でくまなく調査し、危険な魔物やダンジョン特有の魔法アイテムの発見に大きく貢献している。また独自のスキルで様々な毒を調合し、アーケロンで売り捌くための薬を作成している。


サクラは小柄な体ながら俊敏性を生かして、戦闘面も含む全体のサポートを行っている。

口調からは想像がつきづらいが、存外に器量が良く、知能の数値では測りかねるマネジメント能力を発揮していた。



「しっかし、虚孔の亡霊ね…たいそうなあだ名をつけられたもんだと思ったが、こと亡霊っていう部分で見たらあながち間違いじゃねえかもしれねえな。」


育ち切った眷属たちを眺めながらそう呟く。



ここ半年、冒険者たちの間では"虚孔の亡霊"が話題になっている。

浅層に現れた、真っ白な子供の亡霊達。

討伐すればギルドから巨額の報酬が出る。

そんな噂が流れて以降、俺たちはかなりの頻度で冒険者に襲われるようになった。


初めの頃はもちろん冒険者達と対立することに抵抗があった。眷属達に強いているわけではないが、元人間としてやはり彼らの命を奪うことへの忌避感は強い。


そうはいっても、冒険者達からすれば俺たちは討伐対象の魔物達だ。眷属の命の安全もあるため、襲ってくる者に関しては容赦なく反撃させてもらうことにしている。


もっともその中でも、サクラだけはやや好戦的な考えではあるのだが。




「近頃はちょっと有名になりすぎてるね。白い肌に白い服ってだけですぐバレる。」



そうルーカスがぼやく。

実際迷宮都市(アーケロン)内部を歩く時は厚手のフードを被り、なるべく肌と顔の露出を抑えることをやむなくされた。


「まあ、そんな悩みとももうおさらばだ。アーケロンに行ってる連中が帰ってきたら、改めて深層攻略の段取りを確認しよう。」


俺はそうルーカスを宥めると、それぞれ仕事を割り振った眷属達の帰りを待つことにした。


数刻の後、最初に戻ってきたのはアンヘルだった。容姿は幼い少年の姿をしている。

どことなくコボルトの体毛を思わせる、灰色の髪をくしゃくしゃと掻きながら、俺の元に向かって歩いてくる。


「カミラのだんなぁ。うちのサファイアが、ちょっとやらかしまして。」


「おー、おかえりアンヘル。サファイアがなんだって?」


サファイアはアンヘル隊の副長だ。2年前は青い傘を持つ毒キノコだったが、今ではかつての俺と同じカレオバナタケに進化を果たしている。


「あいつ、近頃娼館にハマってやして。それもムチ打ちだの蝋燭垂らしだの、ちょいと過激な方のやつ。」



「何してんだアイツ。」


いや、キノコの時からマゾ気質だとは思ってたが…まぁ、自分の仕事さえきちんとこなしていればその辺は特に咎めるわけではないが、後ろで話を聞いているサクラの雰囲気が明らかに剣呑になっている。

あいつ死んだんじゃないか?


「へぇ…そんで持って…今日の昼過ぎもそこに通ってたらしいんですが…()()()の際に興奮のあまり、体液を吹きこぼしたらしく…」



「おーおーおーおー!!マッズいなあおい!」


毒キノコ族の体液はただでさえ猛毒だ。そんなものが振り撒かれれば死人が出る。


「幸い、奇跡的に怪我人は出なかったらしいんですが。毒液で娼館の建物自体がぐずぐずに溶けちまって、そりゃもう大騒ぎ。迷宮都市中に噂が広まって、それが例の亡霊の噂と結びつきまして…」


なんだかもうしっちゃかめっちゃかだ。つまり、サファイアの正体が虚穴の亡霊とバレてしまったということだろうか。


「それで?あのアホは今どこに?」


「へぇ、大勢の冒険者に狙われてまして____現在も、交戦中でございやす。」



1時間遅れてしまった…無念です

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