第33話〘商業ギルド長への相談――国王直属の【四大商人】〙
いつも本作をお読みいただき、ありがとうございます。
前回は、【翠黎翼】のギーゼ、ガルザ、ゼノロド、アヤナギから、それぞれが使う武器について話を聞き、新たなオーダーメイド武器の製作依頼を受けたサイジョウ。
『ディルサイドウ』での日々が続く中、サイジョウには以前から少し気になっていることがありました。
そこで今回は、そのことについて確認するため、ある場所へ向かうことになります。
サイジョウが気になっていることとは何なのか。
今回も最後までお楽しみいただけましたら幸いです。
翌日――。
『ディルサイドウ』は、この日も朝から多くの客で賑わっていた。
サイジョウは店内の様子を確認すると、ベルティとウルティへ声をかけた。
「ベルティさん、ウルティさん。少し商業ギルドへ行ってきます」
「商業ギルドですか?」
「はい。エルフィさんに少し相談したいことがあるので」
「分かりました。お店の方は私達に任せてください」
「ありがとうございます。それじゃ、行ってきます」
二人に店を任せると、サイジョウは『ディルサイドウ』を出て商業ギルドへ向かった。
先日、ヴァランからナルバスについて話を聞き、ナルバスが国王陛下の専属商団の商団長であることを知った。
さらに、ヴァランから信用できる人物だと聞いたことで、ナルバス本人に対して抱いていた不安はなくなっている。
しかし、サイジョウにはまだ気になっていることがあった。
ナルバスから依頼されたポーション二十個と魔力ポーション五個。
そして、短剣十本。
特に気になっていたのは、自分が製作した短剣を十本も渡すことだった。
自分が製作した武器を悪用されるようなことにはしたくない。
それに、この世界へ来てからまだ日が浅いサイジョウは、大きな商団についても詳しく知らなかった。
そこで商業ギルド長であるエルフィに、ナルバスが率いる商団について相談することにしたのである。
商業ギルドへ到着すると、そのまま受付へ向かう。
「すみません。エルフィギルド長にお会いしたいのですが」
「エルフィギルド長ですね。少々お待ちください」
受付嬢は一度奥へ向かい、しばらくすると戻ってきた。
「ギルド長がお会いになるそうです。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
サイジョウは受付嬢に案内され、商業ギルド長室へ向かった。
扉をノックすると、中からエルフィの声が聞こえる。
「入りなさい」
「失礼します」
部屋へ入ると、エルフィと秘書が待っていた。
「いらっしゃい、サイジョウ。今日はどうしたのかしら?」
「実は、エルフィさんに少し相談したいことがあって来ました」
「私に相談?」
「はい。ナルバスさんのことなんですが」
「ナルバス?」
エルフィが聞き返すと、サイジョウは先日『ディルサイドウ』を訪れたナルバスについて話し始めた。
ナルバスが大商団『バルヴェル』の商団長であること。
そして、ポーション二十個と魔力ポーション五個、さらに短剣十本の製作を依頼されたことを説明した。
「それでヴァランさんから、ナルバスさんが国王陛下の専属商団の商団長だと聞きました」
「なるほど。それで私のところへ来たのね」
「はい。ヴァランさんから話を聞いて、ナルバスさんが信用できる人だということは分かりました。ただ……」
サイジョウは少し言葉を止めた。
「短剣を十本も渡すことになるので、やっぱり少し気になっているんです」
「気になる?」
「製作した武器を悪用されるようなことにはしたくないんです。それに、商団についてもほとんど何も知らないので……」
サイジョウがそう話すと、エルフィは納得したように頷いた。
「そういうことだったのね」
「はい。なので、エルフィさんなら何か知っていると思って相談に来ました」
「それなら、まず国王陛下の専属商団について説明した方がよさそうね」
「お願いします」
エルフィはサイジョウを見ながら話し始めた。
「国王陛下の専属商団は、『バルヴェル』だけではないのよ」
「他にもあるんですか?」
「ええ。この国には、国王陛下の専属商団が全部で四つあるわ」
「四つ……」
「『バルヴェル』の他に、『ヴェルーレン』『トラーリス』『クラヴァン』。この四つね」
サイジョウは、国王陛下の専属商団が『バルヴェル』だけではないことを初めて知った。
すると、エルフィが続ける。
「私達は、その四つの専属商団のことを【四大商人】と呼んでいるのよ」
「四大商人……ですか?」
「ええ。ナルバスが率いる『バルヴェル』も、その一つということね」
国王陛下の専属商団である『バルヴェル』『ヴェルーレン』『トラーリス』『クラヴァン』。
その四つが【四大商人】と呼ばれる存在であることを、サイジョウはエルフィから初めて知った。
(国王陛下の専属商団が四つあって、その一つがナルバスさんの『バルヴェル』なのか……)
ヴァランから話を聞いた時にも驚いたが、エルフィから【四大商人】について教えてもらったことで、サイジョウは改めて国王陛下の専属商団という存在の大きさを知ることになった。
そんなサイジョウへ、エルフィが声をかける。
「だから、あなたが心配しているようなことはないと思うわ」
「製作した短剣が悪用されることもないんですか?」
「ええ。国王陛下から認められている商団なのよ。信用を失うようなことをするとは考えにくいわね」
エルフィの言葉を聞き、サイジョウは少し安心する。
すると、エルフィはサイジョウへ一つの提案をした。
「それでも不安なら、ナルバスに短剣やポーションを渡す時、私も一緒に立ち会いましょうか?」
「エルフィさんがですか?」
「ええ。あなたが安心できるなら、私は構わないわよ」
そこまで言ってくれるとは思っていなかったサイジョウは、少し驚きながらエルフィを見る。
そして少し考えると、エルフィへ答えた。
「それじゃ、お願いしてもいいですか?」
「もちろんよ」
「ありがとうございます、エルフィさん」
エルフィが一緒に立ち会ってくれるのであれば、サイジョウとしても安心してナルバスへ依頼された商品を渡すことができる。
こうしてエルフィへ相談したことで、国王陛下の専属商団である【四大商人】について知ったサイジョウ。
さらに、ナルバスへ依頼された商品を引き渡す際には、エルフィにも立ち会ってもらうことになった。
ヴァランに続き、エルフィからも『バルヴェル』について話を聞いたことで、サイジョウが抱いていた不安もなくなった。
こうしてサイジョウは、ナルバスへ依頼された商品を安心して引き渡すことができるのであった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、ナルバスから依頼された短剣やアイテムについて気になっていたサイジョウが、商業ギルド長であるエルフィへ相談するお話となりました。
エルフィから話を聞き、国王陛下の専属商団が全部で四つ存在し、その四つが【四大商人】と呼ばれていることを初めて知ったサイジョウ。
さらに、ナルバスへ依頼された商品を引き渡す際には、エルフィにも立ち会ってもらうことになりました。
エルフィへ相談したことで不安もなくなり、安心してナルバスへ商品を引き渡せることになったサイジョウ。
今後、サイジョウと『ディルサイドウ』がどのような出来事を迎えることになるのか。
次回もお楽しみいただけましたら幸いです。
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これからも『異世界で念願の店を開く転生者』をよろしくお願いいたします。




