第28話〘三人で作る新たな長剣――四日間にわたる武器製作〙
いつも『異世界で念願の店を開く転生者』を読んでいただき、ありがとうございます。
前回はS級ギルド団【翠黎翼】と共に【ヴェゼリア洞窟】を訪れ、ヴァランの新たな長剣に必要となる鉱石を無事に採掘することができたサイジョウ。
さらに、洞窟で遭遇した【サイレントバーグル】との戦いでは、S級ギルド団【翠黎翼】の実力を目の当たりにすることとなりました。
今回は、採掘した鉱石を使い、カルロゼ、ザキヴァルと共にヴァランの新たな長剣の製作へと取りかかります。
それでは、第28話をお楽しみください。
翌日――。
サイジョウは『ディルサイドウ』の工房へ入ると、ヴァランの新たな長剣を製作するため、アイテムボックスから素材となる鉱石を取り出していた。
最初に取り出したのは【黒鉄鉱石】。
これまでの武器製作でも使ってきた、サイジョウが真っ先に選んだ鉱石だった。
続いて、昨日【ヴェゼリア洞窟】で採掘してきた【翡翠極銀鋼鉄鉱石】と【メタリックミスリル鉱石】を取り出し、作業台の上へ並べていく。
三種類の鉱石を前に、サイジョウは昨日目にしたヴァランの戦い方を思い返していた。
長剣を振るう時の動き。
攻撃を終えてから、次の動作へ移るまでの流れ。
実際にヴァランの戦いを見ることができたことで、新たな長剣をどのように製作するのか、そのイメージも少しずつ形になり始めていた。
そんなことを考えていると、工房の扉が開いた。
入ってきたのはカルロゼとザキヴァルだった。
「サイジョウ様、今日からヴァラン様の長剣を製作されるのですか?」
「はい。昨日、必要な鉱石を採掘することができたので、今日から製作を始めようと思っています」
カルロゼとザキヴァルは、作業台に並べられた三種類の鉱石へ目を向ける。
「サイジョウ様。よろしければ、今回の長剣も私達と一緒に製作しませんか?」
「私もカルロゼと同じ考えです。今回もサイジョウ様と一緒に製作させていただけないでしょうか?」
二人からの申し出を聞いたサイジョウは頷いた。
「もちろんです。カルロゼさん、ザキヴァルさん。今回も三人で製作しましょう」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます、サイジョウ様」
こうしてヴァランの新たな長剣は、サイジョウ、カルロゼ、ザキヴァルの三人で製作することになった。
製作を始める前に、サイジョウは二人へ昨日のことを話すことにした。
「カルロゼさん、ザキヴァルさん。昨日、採掘へ向かう途中でヴァランさんの戦いを見ることができたんです」
「ヴァラン様の戦いをですか?」
「はい。それで、実際に戦っているところを見て気づいたことがあります」
サイジョウは昨日目にしたヴァランの動きを思い返しながら説明していく。
「ヴァランさんは長剣を振る時、時々力任せに振ることがありました。その時だけ、攻撃した後から次の動作へ移るまでに隙ができていたんです」
「なるほど……」
カルロゼはそう言いながら、作業台に並べられている鉱石を確認する。
「でしたらサイジョウ様。【雷属性結晶鉱石】を加えてみてはいかがでしょうか?」
「【雷属性結晶鉱石】ですか?」
「はい。今回製作する長剣に使う素材として、加えてみるのも良いと思います」
カルロゼからの提案を聞いたサイジョウは、【雷属性結晶鉱石】をアイテムボックスから取り出した。
すると今度はザキヴァルが、並べられた鉱石を見ながら口を開いた。
「サイジョウ様。今回の長剣ですが、ヴァラン様の身体と長剣が一体になったようなイメージで製作してみてはいかがでしょうか?」
「身体と長剣が一体になったようなイメージですか?」
「はい。長剣だけを動かすのではなく、身体の動きに長剣がついてくるようなイメージです」
ザキヴァルはさらに続ける。
「それと【雷属性結晶鉱石】を使うのでしたら、昨日採掘された【純雷鉱石】も加えてはいかがでしょうか? 【純雷鉱石】は【雷属性結晶鉱石】と相性が良い鉱石です」
「なるほど……それなら二つを組み合わせることができますね」
サイジョウは二人の提案を聞きながら、作業台の上に並べられた鉱石を見つめる。
【黒鉄鉱石】。
【翡翠極銀鋼鉄鉱石】。
【メタリックミスリル鉱石】。
【雷属性結晶鉱石】。
そして【純雷鉱石】。
全部で五種類。
「分かりました。この五種類の鉱石を使って、ヴァランさんの新たな長剣を製作しましょう」
三人の意見がまとまり、ヴァランの新たな長剣の製作が始まった。
一日目――。
最初に行うのは、五種類の鉱石の加工だった。
【黒鉄鉱石】【翡翠極銀鋼鉄鉱石】【メタリックミスリル鉱石】【雷属性結晶鉱石】【純雷鉱石】。
それぞれ性質の異なる鉱石を、長剣の素材として使える状態へ加工していく。
サイジョウが鉱石を加工し、その状態をカルロゼとザキヴァルも確認する。
「サイジョウ様、こちらはもう少し加工した方が良いと思います」
「分かりました。もう少し調整してみます」
三人で一つずつ状態を確認し、必要があれば再び加工する。
一種類ずつ慎重に作業を進め、五種類すべての鉱石を加工し終えたところで、一日目の作業を終えた。
そして二日目――。
この日は、昨日加工した五種類の鉱石を使い、長剣のベースとなる素材を作ることになった。
サイジョウは五種類の鉱石を前にすると、【錬金】を使ってそれぞれを組み合わせていく。
しかし、ただ五種類を一つにすればいいわけではない。
「昨日話した、ヴァランさんの身体と長剣が一体になるようなイメージですね」
「はい、サイジョウ様」
「ヴァラン様が長剣を振る時の隙を減らせるように、三人で調整していきましょう」
サイジョウは二人の意見を聞きながら【錬金】を続けていく。
一度状態を確認しては調整し、再び三人で確認する。
「カルロゼさん、ここはどうでしょうか?」
「先程より良くなっていると思います」
「ザキヴァルさんはどうですか?」
「私も良いと思います。ただ、もう少し調整してみても良いかもしれません」
「分かりました。もう一度やってみます」
三人は何度も意見を交わしながら、五種類の鉱石を一つの素材として形にしていった。
そして二日目の作業を終える頃――。
ようやく三人が納得できる、長剣のベースとなる素材が出来上がった。
三日目――。
いよいよ、長剣そのものを形にしていく。
二日目に作り上げた素材を加工し、用意した型へ流し込んでいく。
今回製作するのは、ヴァランがこれまで使っていたものと同じく、通常より少し長い長剣。
三人は型へ流し込まれていく素材の状態を確認しながら、慎重に作業を進める。
やがて型から取り出された素材は、一本の長剣として大まかな形を見せ始めた。
「ここからですね」
「はい、サイジョウ様」
まだ長剣として形になっただけで、完成したわけではない。
サイジョウは長剣を確認しながら、さらに加工を加えていく。
カルロゼとザキヴァルもその状態を確認し、気づいた部分があればサイジョウへ伝える。
「サイジョウ様、もう少しこちらを調整してみてはいかがでしょうか?」
「分かりました」
「こちらは今の状態で良いと思います」
「では、この部分を調整してみますね」
三人で確認と調整を繰り返しながら、長剣を少しずつ完成へ近づけていく。
そして三日目の作業を終える頃には、長剣はほとんど完成に近い姿となっていた。
四日目――。
製作を始めてから四日目。
工房の作業台には、完成間近となった一本の長剣が置かれていた。
この日は三人で、最後の調整を行う。
サイジョウは長剣を手に取り、昨日までに加工した部分を一つずつ確認していく。
カルロゼとザキヴァルも同じように状態を確認する。
「カルロゼさん、どうでしょうか?」
「私は良いと思います、サイジョウ様」
「ザキヴァルさんは?」
「私も問題ないと思います」
二人の言葉を聞いたサイジョウは、もう一度長剣全体を確認した。
四日間。
三人で何度も意見を交わしながら、加工と調整を繰り返してきた。
そして最後の調整を終え――。
ついに一本の長剣が完成した。
「完成しましたね」
「はい、サイジョウ様」
「ようやく完成しましたね」
サイジョウは完成した長剣を手にすると、【鑑定】を発動した。
【雷帝虎徹剣】
レア度★6
攻撃400
耐久6000
【雷斬刃】
【雷抜刀】
奥義【雷帝斬鉄剣】
「【雷帝虎徹剣】……」
サイジョウは鑑定結果を確認しながら、完成した長剣を見つめる。
今回の製作で消費した魔力は30000。
【黒鉄鉱石】。
【翡翠極銀鋼鉄鉱石】。
【メタリックミスリル鉱石】。
【雷属性結晶鉱石】。
【純雷鉱石】。
五種類の鉱石を使い、カルロゼとザキヴァルと共に四日間かけて製作した長剣。
採掘へ向かった際に実際にヴァランの動きを見ることができたからこそ、その時に気づいたことを今回の製作へ活かすことができた。
そしてカルロゼとザキヴァルの提案も加わり、三人が納得できる一本を完成させることができた。
サイジョウは完成した【雷帝虎徹剣】を見つめる。
あとは、この長剣をヴァランへ渡すだけだ。
こうして――。
サイジョウ、カルロゼ、ザキヴァルの三人による四日間の製作を経て、ヴァランの新たな長剣【雷帝虎徹剣】が完成したのであった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
今回はカルロゼ、ザキヴァルと共に、ヴァランの新たな長剣の製作へと取りかかったサイジョウ。
五種類の鉱石を使い、三人で意見を交わしながら四日間にわたって製作を続け、ついに新たな長剣【雷帝虎徹剣】を完成させることができました。
完成した【雷帝虎徹剣】を、ヴァランはどのように受け取るのでしょうか。
次回は、完成した長剣をヴァランへと引き渡します。
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今後とも『異世界で念願の店を開く転生者』をよろしくお願いいたします。




