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異世界で念願の店を開く転生者  作者: うさだデジ子
第一章『異世界転生』

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第24話〘念願の店『ディルサイドウ』――ついに迎えた開店の日〙

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


いよいよサイジョウが念願だった自分の店を開店する日を迎えます。


現世では叶えることのできなかった夢が、異世界でどのような形で始まるのか。


そして『ディルサイドウ』を訪れる最初のお客とは。


それでは、本編をお楽しみください。

翌日――。


いよいよ、店の開店日を迎えた。


サイジョウは朝から店内を見て回り、開店前の最後の確認をしていた。


店内には様々な種類のアイテムが並べられている。


一つ一つの数は少なく、それぞれ五個ずつ。


その代わり、冒険者たちが様々な状況に合わせて選べるよう、アイテムの種類を多くする方針にしていた。


武器や防具についても確認し、サイジョウは店内を見渡す。


「これで大丈夫かな。アイテムは種類を多くして、一つ一つの数は少なくする方針にしたし。あとは開店を待つだけ……いや、その前にこの店の名前を決めないとな」


これまで開店の準備を進めてきたが、肝心の店の名前をまだ決めていなかった。


サイジョウは少し考える。


現世では、自分の店を持つという夢を叶える直前に命を落とした。


そして異世界へ転生し、形こそ違うものの、もう一度その夢を叶えようとしている。


一度途絶えてしまった夢が、この異世界でもう一度動き始める。


「再び始まる……再始動か」


サイジョウはその言葉を口にしながら考えていく。


そして――。


「決めた。この店の名前は『ディルサイドウ』にしよう」


自分にとっての新たな始まり。


そして現世で叶えることのできなかった夢が、この異世界で再び動き始めるという思いを込め、サイジョウは店の名前を『ディルサイドウ』に決めた。


用意した看板に店の名前を入れ、入口へ掲げる。


すると、その看板を見ていたカルロゼが驚いたような表情を浮かべた。


「まさか、再び同じ店の名になるとはな」


その隣でザキヴァルも看板を見上げる。


「クラウディル様も、きっと喜んでいるでしょうね」


「え? 同じ店の名前?」


サイジョウが二人を見る。


しかし、開店の時間も近づいていた。


サイジョウは二人の言葉を気にしながらも、今は開店を迎えることへ意識を戻した。


ベルティとウルティも準備を終え、店内にある商品を最後に確認している。


サイジョウは入口の前へ立った。


「それじゃ、開店しますか」


扉へ手を伸ばす。


その手が、一瞬だけ止まった。


現世では、自分の店を開くことを夢見て会社を辞め、念願だった喫茶店の開店準備を進めていた。


しかし、その夢を叶えることはできなかった。


それが今――。


異世界という全く違う場所で、アイテムや武器、防具を扱う店として叶おうとしている。


「今日から、この店が俺の店なんだな」


サイジョウは小さく笑みを浮かべる。


そして、ゆっくりと入口の扉を開けた。


こうして――。


サイジョウの店『ディルサイドウ』は、ついに開店の日を迎えた。


とはいえ、開店したばかりの店だ。


サイジョウ自身、最初からそれほど多くの客が来るとは思っていなかった。


「最初はゆっくりやっていけばいいか」


そう考えていた、その時だった。


店の入口から人の声が聞こえてくる。


「サイジョウ、開店おめでとう」


「え?」


声の方を見ると、そこにいたのはナルガスだった。


その後ろにはボランダ、レイア、ミューラの姿もある。


【楓鳳凰】の四人だった。


「ナルガスさん。それに皆さんも」


「開店初日だからな。祝いに来たんだ」


「ありがとうございます。まさか皆さんが最初のお客さんになるとは思いませんでした」


サイジョウは嬉しそうに四人を店内へ迎え入れた。


『ディルサイドウ』の最初の客は、これまで何度も関わってきた【楓鳳凰】の四人となった。


店へ入ったナルガスたちは、すぐに並べられている商品へ目を向ける。


ナルガスがアイテムの棚を見ながら驚いた。


「凄い種類だな」


「ありがとうございます。種類は多くして、一つ一つの数は少なくしているんです」


するとミューラも棚を見ていく。


「一つ一つの数は少ないけど、これだけ種類があれば、討伐する魔物に合わせて必要なものを買えるのがいいわね、レイア」


「確かにそうね、ミューラ。魔法をメインに戦う私には助かるわね」


二人の言葉を聞き、サイジョウは自分が決めた販売方法が冒険者たちにとって役に立ちそうだと分かり、安心する。


そんな中、ナルガスが持ってきていたものをサイジョウへ差し出した。


「そうだ、サイジョウ。これも持ってきた」


「これは?」


「前に話していただろ。俺たちが依頼で手に入れた素材や鉱石をサイジョウに渡すって」


「ああ、あの時の」


以前、【楓鳳凰】の四人から提案されたオーダーメイドの話。


依頼などで手に入れた素材や鉱石をサイジョウへ渡し、その代わりに四人が必要とする武器や防具を製作してもらう。


もちろん、製作に必要な代金は別に支払うという約束だった。


「ありがとうございます。確認しておきますね」


「ああ。また必要な武器や防具があったら相談させてもらうよ」


「分かりました。その時は持ってきてもらった素材や鉱石を確認しながら、一緒に考えましょう」


ナルガスは頷くと、改めて店内の商品を見て回った。


ボランダも武器や防具を確認し、レイアとミューラは並べられたアイテムを一つずつ見ていく。


そして四人は、次に受ける討伐依頼で必要になる対策用のアイテムや回復系のアイテムなど、合わせて十品を購入することになった。


サイジョウにとって、自分の店で初めて商品を販売する瞬間でもあった。


購入された商品を確認し、四人へ渡していく。


「ありがとうございます、ナルガスさん」


「こっちこそ助かるよ」


ナルガスは購入した商品を受け取る。


「また落ち着いた頃に来るよ。これから他の冒険者や商人たちも来ると思うからな。じゃあ、頑張ってくれ」


「はい。ありがとうございます」


「また来るわね、サイジョウ」


「私も必要なアイテムがあったら買いに来るわ」


レイアとミューラもそう言い、ボランダと共に店を出ていった。


サイジョウは四人を見送る。


「最初のお客さんがナルガスさんたちか……」


開店して最初の商品を購入してくれたのが、これまで何度も関わってきた四人だったことが、サイジョウには嬉しかった。


そして【楓鳳凰】が帰ったあとも、店には少しずつ冒険者たちが訪れた。


アイテムを購入する者。


並んでいる武器や防具を見ていく者。


豊富に用意されたアイテムの種類に興味を示し、どれを購入するか考える者。


開店前は、それほど多くの客は来ないだろうと思っていたサイジョウだったが、【楓鳳凰】の四人を含め、初日だけで十数人の冒険者が『ディルサイドウ』を訪れた。


そして時間が過ぎ――。


開店初日の営業を終える時間を迎えた。


最後の客を見送ったサイジョウは、店の入口を閉める。


店内へ戻ると、朝より少なくなった商品が目に入った。


「初めての営業だったけど……無事に終わったな」


サイジョウは店内をゆっくりと見渡した。


現世では、あと少しのところで叶えることのできなかった夢。


自分の店を持ち、自分が用意した商品を客へ販売する。


その夢が今日、この異世界で本当に叶った。


しかし、これは終わりではない。


『ディルサイドウ』の店主として過ごす日々が、今日から始まったのだ。


サイジョウは静かに笑みを浮かべる。


こうして――。


異世界で念願だった自分の店『ディルサイドウ』を開店したサイジョウ。


店主として歩んでいく新たな日々が、ついに始まったのであった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は、サイジョウが念願だった自分の店『ディルサイドウ』をついに開店することができました。


そして最初のお客として【楓鳳凰】の四人が訪れ、無事に開店初日の営業を終えることができました。


次回は、『ディルサイドウ』の店主として新たな日々を歩み始めたサイジョウ。


どのような出来事が待っているのでしょうか。


皆様からの応援やブックマーク、評価が執筆の大きな励みになります。


今後とも『異世界で念願の店を開く転生者』をよろしくお願いいたします。

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