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異世界で念願の店を開く転生者  作者: うさだデジ子
第一章『異世界転生』

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第15話〘異世界生活一ヶ月――ついに完成した念願の店〙

第15話です。


異世界へ転生してから、約一か月。


開店に向けて商品の製作を進めてきたサイジョウのもとに、ついに店の内装が完成したという知らせが届きます。


前世では叶えることのできなかった念願の自分の店。


少しずつ形になってきたサイジョウの夢が、いよいよ開店へ向けて動き出します。


今回もよろしくお願いします。

異世界へ転生してから、約一か月が経った。


サイジョウは念願だった自分の店の開店へ向け、販売する商品の製作を着々と進めていた。


武器は短剣、大剣、双剣、斧の四種類。


それぞれ五本ずつ製作し、販売用として準備している。


防具も盾、鎧、マントの三種類を、それぞれ五個ずつ製作していた。


さらにアイテムも、ポーション、解毒ポーション、麻痺ポーションを五本ずつ製作している。


そして、もう一つ。


サイジョウはマジックボックスから、二種類の植物を取り出した。


それは以前、ギルド団『楓鳳凰』の護衛を受けながらアラドの森で素材採取をした際、緑色に輝いて見えた植物だった。


周囲に自分のスキルを知られないよう、それぞれ一本ずつしか採取していなかった素材である。


サイジョウが改めて確認すると、それぞれ【魔力草】と【魔水草】という素材だった。


そして固有スキルによって流れ込んできた知識から、この二つを組み合わせることで魔力ポーションを製作できることが分かった。


サイジョウは【魔力草】と【魔水草】を使い、魔力ポーションの製作を開始する。


必要な工程を一つずつ進めていき――。


しばらくして、二本の魔力ポーションが完成した。


しかし、【魔力草】と【魔水草】は一本ずつしか採取していなかったため、製作できたのはこの二本だけだった。


「魔力ポーションは二本だけか。今度素材採取に行った時に、また探してみよう」


サイジョウは完成した二本の魔力ポーションをマジックボックスへ収納する。


そして改めて、開店用に準備した商品を確認した。


短剣、大剣、双剣、斧。


盾、鎧、マント。


そして、ポーション、解毒ポーション、麻痺ポーション、魔力ポーション。


「開店用の商品も、だいぶ揃ってきたな」


この世界へ転生したばかりの頃には、何も分からなかった。


それでも少しずつ素材を集め、自分の手で商品を製作し、開店に向けた準備を進めてきた。


まだ十分とは言えないかもしれない。


しかし、自分の店に並べる商品が少しずつ増えていくことが、サイジョウには嬉しかった。


そんなことを考えていた時だった。


「サイジョウさん、少しいいですか?」


声を掛けられ、サイジョウが振り返る。


そこには、店の内装工事を行っていた職人の一人が立っていた。


「どうしました?」


「店の内装工事がすべて終わりました。一度、中を確認してもらえますか?」


「本当ですか?」


「はい」


その言葉を聞いた瞬間、サイジョウの表情が明るくなる。


「すぐに行きます」


サイジョウは職人と共に、完成した店へ向かった。


そして店内へ足を踏み入れた瞬間――。


「…………」


サイジョウはその場で立ち止まった。


店内には商品を並べるための棚が綺麗に配置されている。


武器や防具を置くための場所も整えられ、客が店内を見て回れるよう十分な空間も確保されていた。


サイジョウはゆっくりと店内を見渡していく。


自分が職人たちへ伝えた希望。


頭の中で思い描いていた店。


その一つひとつが、目の前に形となって完成していた。


(……完成したんだ。)


前世では、長年勤めていた会社を辞め、念願だった自分のカフェを開く準備を進めていた。


しかし、その夢が叶う直前に命を落とした。


結局、自分の店で客を迎えることはできなかった。


だが今――。


異世界へ転生し、再び夢を追い始めた自分の目の前には、完成した店がある。


サイジョウは店内を見渡しながら、静かに笑みを浮かべた。


「理想の店になった……。これが、自分の店なんだな」


その言葉を聞いた職人も嬉しそうに頷いた。


「気に入っていただけたようで良かったです」


「はい。本当にありがとうございます」


サイジョウは職人へ頭を下げた。


念願だった自分の店。


まだ開店したわけではない。


それでも、完成した店内を見ているだけで、ようやくここまで来たのだと実感することができた。


その時――。


「どうやら、ちょうど完成したみたいね」


店の入口から声が聞こえた。


サイジョウが振り返る。


「エルフィさん?」


そこには、商業ギルド長エルフィが立っていた。


「こんにちは、サイジョウ」


「こんにちは。どうしてこちらへ?」


「店の内装工事がそろそろ終わる頃だと思って、様子を見に来たのよ」


「そうだったんですね。ちょうど今、職人さんから完成したと聞いて、中を見せてもらっていたところです」


「それなら、いいタイミングだったみたいね」


エルフィは店内へ入り、周囲を見渡す。


「いい店になったわね」


「はい。自分が思い描いていた店になりました」


サイジョウは嬉しそうに答える。


するとエルフィは店内を確認したあと、サイジョウへ尋ねた。


「ところでサイジョウ。開店用の商品はどれくらい準備できているの?」


「だいぶ揃ってきましたよ」


「商品の価格はもう決めたのかしら?」


「いえ。前に教えてもらった短剣とポーション以外は、まだ決めていません」


「やっぱりそうだったのね」


エルフィは小さく笑う。


「実は店の様子を見るついでに、開店用に製作した商品の価格も確認しようと思って来たのよ」


「本当ですか? 助かります」


サイジョウは早速、販売用に製作した商品をエルフィへ見てもらうことにした。


まず取り出したのは武器だった。


短剣、大剣、双剣、斧。


それぞれをエルフィへ見せていく。


短剣は、以前エルフィに見てもらった物と同じだった。


鉄銀鉱石を使って製作した短剣である。


「この短剣は前に見せてもらった物と同じね」


「はい」


「それなら600Gで大丈夫よ」


「わかりました」


続いてエルフィは、大剣、双剣、斧を確認する。


「この三つは何を使って製作したの?」


「鉄銀鉱石と鋼鉄鉱石です。ボランダさんに製作した盾と同じ組み合わせですね」


エルフィは一つずつ確認していく。


三種類の武器には、それぞれ武器の威力を5%上昇させる性能が備わっていた。


「また普通の素材から随分いい物を作ったわね……」


「そうなんですか?」


「ええ」


エルフィはそれぞれの武器を確認しながら価格を決めていく。


「双剣は2500G。大剣は4500Gくらいでいいと思うわ」


「斧はどうですか?」


「斧は7500Gね」


「わかりました」


サイジョウは教えてもらった価格を一つずつ覚えていく。


短剣は600G。


双剣は2500G。


大剣は4500G。


斧は7500G。


これで販売用に製作した武器の価格が決まった。


「次は防具ですね」


サイジョウは武器を片付けると、今度は防具を取り出した。


最初に見せたのは盾だった。


エルフィは盾を見ると、すぐに気付く。


「これはボランダに製作した【黒鉄盾】と同じ物ね?」


「はい。同じ物を販売用にも五個製作しました」


エルフィは以前確認した【黒鉄盾】の性能を思い出す。


高い耐久に加え、敵からの攻撃を防御した際、受けた攻撃の20%を相手へ跳ね返す特殊効果。


普通の盾とは明らかに違う性能を持っている。


そして次にサイジョウが取り出したのは鎧だった。


「こちらが鎧です」


エルフィは鎧を受け取り、その性能を確認する。


装備した者の防御力を10%上昇させる性能。


それだけでなく、鎧そのものも非常に頑丈に作られていた。


「この鎧もかなり頑丈そうね」


「はい。自分でも確認してみたんですが、強い攻撃を受けても簡単には傷が付かないみたいです」


ただし、鎧が傷付かないからといって、装備している者まで無傷になるわけではない。


攻撃によるダメージそのものは受ける。


それでも、強力な攻撃を受けるたびに鎧が損傷することを考えれば、十分すぎる性能だった。


そして――。


「最後は、このマントです」


サイジョウは一枚のマントを取り出した。


エルフィはそれを見た瞬間、先ほどまでとは違う表情を見せる。


「サイジョウ……このマント、何を使って製作したの?」


「シルクと結晶鉱石です」


「結晶鉱石?」


「はい。父上の形見として残されていた鉱石です」


サイジョウはそう説明した。


実際には神様から与えられた物だったが、この世界では父クラウディルから遺された形見ということになっている。


エルフィはマントを手に取り、慎重に確認する。


使われている【結晶鉱石】は、レア度★5という高い品質を持つ鉱石だった。


そして、その結晶鉱石とシルクを融合させて製作されたマントには――。


【完全魔法防御】


通常の魔法攻撃を防ぐ性能が付与されていた。


ただし、奥義に分類されるほど強力な魔法までは防ぐことができない。


それでも、通常の魔法攻撃を防ぐことができる性能は十分に強力なものだった。


「…………」


エルフィはマントを見つめたまま、しばらく黙り込んでいた。


「エルフィさん?」


「……あなた、本当に次から次へと凄い物を出してくるわね」


「そうですか?」


サイジョウは不思議そうに首を傾げる。


その姿を見たエルフィは、小さく息を吐いた。


武器と防具の確認を終えると、最後にサイジョウは販売用のアイテムを取り出した。


ポーション。


解毒ポーション。


麻痺ポーション。


そして二本だけ製作した魔力ポーション。


ポーションについては以前、一本500Gで販売することが決まっている。


エルフィは続いて解毒ポーションと麻痺ポーションを確認した。


「普通の解毒ポーションなら300Gくらい。麻痺ポーションなら350Gくらいね」


「はい」


「でも、あなたが作った物はそれだけじゃないわ」


サイジョウが製作した解毒ポーションは毒状態を回復するだけでなく、HPを20%回復する効果を持っている。


麻痺ポーションも同じく、麻痺状態を回復すると同時にHPを20%回復する。


「この性能なら、どちらも500Gでいいと思うわ」


「わかりました」


そして最後に、エルフィは二本の魔力ポーションを確認する。


「これは2000Gくらいね」


「普通の魔力ポーションはいくらなんですか?」


「1500Gくらいよ」


「それなら、これも2000Gで販売します」


こうして販売用に製作したアイテムの価格も決まっていった。


サイジョウは店内を改めて見渡す。


完成した店。


少しずつ揃えてきた武器、防具、アイテム。


そしてエルフィに教えてもらいながら決めた商品の価格。


一か月前、この世界へ転生したばかりの自分には何もなかった。


それが今では、念願だった自分の店が完成し、そこへ並べる商品まで揃い始めている。


まだ開店までに準備しなければならないことは残っている。


それでも――。


(もう少しだな。)


サイジョウは完成した店内を見渡しながら、小さく笑みを浮かべた。


前世では叶えることのできなかった、自分の店を開くという夢。


その夢が今、この異世界で少しずつ現実のものになろうとしていた。


こうしてサイジョウは、完成した念願の店を前に、開店の日が近付いていることを改めて実感するのであった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


異世界へ転生してから約一か月。


販売用の商品も少しずつ揃い、ついにサイジョウが思い描いていた念願の店が完成しました。


そして、様子を見に来たエルフィに開店用商品の価格も確認してもらい、開店への準備はさらに進んでいきます。


前世では叶えることのできなかった自分の店を開くという夢まで、あと少しです。


皆様からの応援やブックマーク、評価が執筆の大きな励みになっています。


今後とも『異世界で念願の店を開く転生者』をよろしくお願いいたします。

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