第12話〘初めての価格相談――復活した特製ポーション〙
第12話です。
開店に向けて少しずつ準備を進めるサイジョウ。
今回は製作した商品について相談するため、商業ギルド長エルフィのもとを訪れます。
今回もよろしくお願いします。
異世界へ転生してから、二週間が経った。
サイジョウは念願だった自分の店を開店するため、販売するアイテムや武器・防具の製作を少しずつ進めていた。
店内の改装が進む中、開店へ向けた準備も着々と整い始めている。
そんな中、サイジョウはあることを確認するため、商業ギルドへ向かっていた。
商業ギルドへ到着すると、そのまま受付へ向かう。
「すみません。エルフィギルド長にお会いしたいのですが」
「エルフィギルド長ですね。少々お待ちください」
受付嬢は一度奥へ向かい、しばらくすると戻ってきた。
「ギルド長がお会いになるそうです。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
サイジョウは受付嬢に案内され、商業ギルド長室へ向かった。
扉をノックすると、中からエルフィの声が聞こえる。
「入りなさい」
「失礼します」
部屋へ入ると、エルフィと秘書が待っていた。
「いらっしゃい、サイジョウ。今日はどうしたのかしら?」
「実は、製作した物を見てもらいたくて来ました」
「あなたが製作した物? それは気になるわね」
サイジョウは椅子へ座ると、マジックボックスから一本のポーションを取り出した。
「まずは、これなんですが」
「ポーションね。あなたが作ったの?」
「はい。アラドの森で採取した普通の薬草を使って製作しました」
エルフィはサイジョウからポーションを受け取ると、すぐに鑑定を行った。
すると――。
エルフィの表情が一変した。
「……え?」
何度も表示された内容を確認する。
【ポーション】
レア度:★3
効果:HP50%回復
「サイジョウ……本当に普通の薬草から作ったの?」
「はい。普通の薬草ですけど……何かおかしかったですか?」
サイジョウが不思議そうに尋ねると、エルフィはもう一度ポーションを見つめた。
しかし、次第にその表情は驚きから嬉しそうなものへ変わっていく。
「ふふっ……本当に親子なのね」
「え?」
突然そう言われ、サイジョウは首を傾げた。
「エルフィさん、どういうことですか?」
「この性能のポーションを普通の薬草から作れるのは、クラウディル一族くらいなのよ」
「クラウディル一族だけ……?」
「ええ。あなたのお父様が作っていたポーションも、普通の物とは比べものにならない性能だったわ」
「そうだったんですね……」
サイジョウは頷きながら、心の中では別のことを考えていた。
(神様……そんな設定までしていたんですか……。)
自分が大商人クラウディルの息子という設定だけでも驚いたというのに、製作能力まで親子で似ている設定になっていたらしい。
サイジョウは改めて、神様が用意した設定の細かさに驚いていた。
「それでエルフィさん、一つ聞きたいことがあるんですが」
「何かしら?」
「このポーションは、いくらくらいで販売するのがいいでしょうか?」
「値段を決めていないの?」
「はい。この街へ来てまだ二週間ですし、商品の相場もほとんど分かっていなくて……」
「なるほど。それなら私に聞きに来て正解ね」
エルフィはポーションを机の上へ置いた。
「まず、この街で普通に販売されているポーションは一本100Gくらいよ」
「100Gですか」
「ええ。そしてポーション・上級になると700Gくらいね」
「そんなに違うんですね」
「それだけ性能が違うということよ」
エルフィはサイジョウが製作したポーションへ視線を向ける。
「そして、あなたが作ったこのポーション。回復性能だけならポーション・上級に匹敵するわ」
「えっ!?」
サイジョウは驚いてポーションを見る。
「これがポーション・上級と同じくらいなんですか?」
「ええ。ただ、ポーション・上級と同じ700Gにする必要はないと思うわ。私なら500Gくらいで販売することを勧めるわね」
「500G……」
サイジョウは少し考える。
自分では適正な価格が分からない以上、この街の商売を知っているエルフィの意見はありがたかった。
「わかりました。それじゃ、このポーションは500Gで販売します」
「それがいいと思うわ」
こうして、サイジョウが初めて製作したポーションの販売価格は500Gに決まった。
この世界へ来て二週間。
アイテムを製作することはできても、その商品がどれほどの価値を持ち、いくらで販売するのが適正なのか。
サイジョウには、まだ分からないことがたくさんある。
それでも、分からないことは少しずつ教えてもらいながら覚えていけばいい。
サイジョウはそう考えていると、今回持ってきたもう一つの製作品を思い出した。
「そうだ。エルフィさん、もう一つ見てもらいたい物があります」
「まだあるの?」
「はい」
サイジョウはそう答えると、マジックボックスへ手を伸ばした。
ポーションに続き、サイジョウが次にエルフィへ見せようとしている物。
それは、自ら製作した一本の短剣だった。
こうしてポーションの販売価格を決めたサイジョウは、次に自ら製作した短剣をエルフィに見てもらうのであった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
初めて商品の販売価格について相談したサイジョウ。
そして、エルフィにとって懐かしい特製ポーションが再び作られることになりました。
次回は、もう一つの製作品である短剣をエルフィに見てもらいます。
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今後とも『異世界で念願の店を開く転生者』をよろしくお願いいたします




