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異世界で念願の店を開く転生者  作者: うさだデジ子
第一章『異世界転生』

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第10話〘初めての依頼製作――完成した黒鉄盾〙

『異世界で念願の店を開く転生者』を読んでいただき、ありがとうございます。


前回、思いがけず新たな製作依頼を受けることになったサイジョウ。


今回は、初めて依頼された盾の製作に取り掛かります。


果たして、どのような盾が完成するのでしょうか。


今回も最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。

翌日、サイジョウは朝から鍛冶工房に入り、ボランダから依頼された盾の製作について考えていた。


作業台の上には、鉄銀鉱石が置かれている。


ボランダから頼まれたのは、鉄銀鉱石を使った盾だった。


しかし、サイジョウは鉄銀鉱石だけで盾を製作するのではなく、もう一種類の鉱石を組み合わせてみようと考えていた。


(盾なら短剣とは違って、防御力と頑丈さが必要だよな……。)


サイジョウはマジックボックスの中を確認する。


そして取り出したのは――鋼鉄鉱石だった。


(鉄銀鉱石と鋼鉄鉱石。この二つを組み合わせて作ってみるか。)


鉄銀鉱石だけでも、あれほどの斬れ味を持つ短剣を製作することができた。


ならば、硬く頑丈な鋼鉄鉱石を組み合わせれば、盾として十分な強度を持たせることができるかもしれない。


サイジョウは鉄銀鉱石と鋼鉄鉱石を炉へ入れ、火力を調整する。


しばらくすると、二種類の鉱石が赤く熱せられていく。


十分に熱したところで炉から取り出し、二種類の鉱石を重ね合わせた。


(ボランダさんは、みんなを護りながら前で戦っていたんだよな。)


アラドの森での戦いが頭に浮かぶ。


大量のホーンラビットが襲ってきたとき、ボランダは大盾を構え、ナルガスたちだけでなくサイジョウを護るために前へ立っていた。


(だったら、簡単には壊れない頑丈な盾にしないとな。)


サイジョウはハンマーを強く握る。


製作に必要となる魔力消費量を確認した。


(魔力消費量は……1000か。)


サイジョウはそのまま製作を開始する。


カァン――。


カァン――。


鍛冶工房の中に、ハンマーで鉱石を叩く音が響き渡る。


熱した鉄銀鉱石と鋼鉄鉱石を何度も叩き、少しずつ一つの素材へとまとめていく。


形を整えては再び炉へ入れて熱し、取り出してはハンマーを振り下ろす。


カァン――カァン――。


サイジョウは余計なことを考えず、目の前の盾の製作だけに集中していた。


やがて二種類の鉱石は完全に一つとなり、少しずつ盾の形へと変わっていく。


盾として十分な厚みを持たせながら形を整え、縁の部分も丁寧に仕上げていく。


さらに、前線で仲間を護るボランダが扱いやすいように持ち手を取り付ける。


そして――。


サイジョウは仕上げとなる最後の一打を振り下ろした。


カァン――。


次の瞬間――。


キィィィン――。


澄んだ音が鍛冶工房の中に響き渡る。


それと同時に、黒みを帯びた一枚の盾が完成した。


サイジョウはハンマーを置き、出来上がった盾を持ち上げる。


(完成したな。)


完成した盾は黒みを帯びた金属の輝きを放っている。


鉄銀鉱石と鋼鉄鉱石。


二種類の鉱石を組み合わせたことで、見た目からも頑丈そうな盾に仕上がっていた。


サイジョウは完成した盾を様々な角度から確認する。


(見た感じは問題なさそうだけど……。)


しかし、サイジョウの頭に浮かんだのは、自ら製作した短剣だった。


普通の鉄銀鉱石を使って製作しただけだったにもかかわらず、メタルホーンラビットを何の抵抗もなく斬り、大木まで音一つ立てずに斬ってしまった。


そのことを思い出したサイジョウは、完成した盾をもう一度見つめる。


(念のため、ちゃんと性能を確認しておくか。)


サイジョウは黒い盾へ向けて鑑定を発動した。


すると、目の前に盾の情報が表示される。


【黒鉄盾】


レア度:★3


耐久:5000


【特殊効果】


敵からの攻撃を防御した際、受けた攻撃の20%を相手へ跳ね返す。


「……カウンター効果まで付いてるのか」


サイジョウは表示された内容と黒鉄盾を交互に見る。


鉄銀鉱石と鋼鉄鉱石。


どちらも特別珍しい鉱石ではない。


その二種類を組み合わせて盾を製作しただけだった。


それにもかかわらず、完成した【黒鉄盾】には高い耐久だけでなく、敵から受けた攻撃の一部を相手へ跳ね返す特殊効果まで付いている。


(20%か……。盾ならこれくらいなのかな?)


しかし、サイジョウはまだ知らなかった。


この世界でカウンター効果を持つ一般的な盾は、受けた攻撃の2%から3%ほどを相手へ跳ね返す程度である。


20%もの攻撃を相手へ跳ね返す【黒鉄盾】が、どれほど異常な性能なのか。


そんなことを知らないサイジョウは、完成した黒鉄盾を見ながら小さく頷いた。


(これなら、ボランダさんにも喜んでもらえるかな。)


こうしてサイジョウは、初めて依頼されたボランダの盾――【黒鉄盾】を完成させたのであった。

第10話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、サイジョウが初めて依頼された盾の製作に挑みました。


二つの鉱石を組み合わせて完成した【黒鉄盾】。


果たしてボランダは、この盾を手にしてどのような反応を見せるのでしょうか。


現在はメイン連載の執筆を優先しているため、こちらの作品はゆっくりと更新していく予定です。


いつも応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。


皆様からの応援やブックマーク、評価が執筆の大きな励みになっています。


今後とも『異世界で念願の店を開く転生者』をよろしくお願いいたします。

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