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乳がんとともに  作者: 蒼井 つばさ


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3/13

入院。更なる身体の変化。

「すぐにベッド用意するね!」


そう言われ、その時点で検診にも至らなかった。

そのまま助産師に車椅子を押されながら、入院病棟の方へ回されたのだ。


私が最初に案内されたのはFMICU。


FMICUとは母体・胎児集中治療室の事で、所謂ハイリスク妊婦などの全身管理の必要な妊産婦が入る病室である。

特殊な病棟だからということもあり、夫は産科病棟入り口の自動ドア前でシャットアウト。


病室でも、車椅子からベッドにはどうにかこうにか移乗した。


…助産師に手助けられながらではあるが。


当時はコロナがまだ5類引き下げ前で、色々な制限などが厳しかった。

コロナの検査をし、陰性の確認がとれ、ベッドに空きができるまで二泊ほどした。


その時はまだ一応起き上がることもできていた。

助産師に手伝ってもらいながらではあったが、シャワーを浴びることもできていた。


用を足す時はナースコールを押し、助産師に車椅子でお手洗いまで連れて行ってもらわないといけなかったが、それでも自分でなんとかできていた。


そんな入院生活が始まり、特に産科の一般病棟に移ってからは、私の性格上同室の妊婦さんたちのことや、忙しそうな助産師たちのことが気になった。

なかなかナースコールを押すことはできなかったし、押したとしてもできるだけ早く切り上げるようにしていた。

おまけに、極力お手洗いへ行く回数を減らしたいという思いから、必然的に摂る水分量も減っていた。


ただでさえ妊婦で便秘になりやすい上、元から便秘気味な方でもあった。

その上で、その色んな要素が重なったからか、重度の便秘を起こしていたようだ。


ある日、いつも通りお手洗いに連れて行ってもらい、便座に座る。


が、お通じが出そうで出ない。


代わりに額には脂汗が滲む…。


様子を見にきてくれた助産師に何度か声をかけられる。

“大丈夫”だと答えていたが、そのうちどうにも大丈夫ではなさそうだと自覚した。

そうして、何度目かに声をかけられた時に状況を話すと


「もう摘便しよう。」


と助産師に判断され、摘便をすることになったのだ。


そうして摘便をしてもらうと少し楽になった。

それからは、どうにか少しずつお通じにも困らなくなっていった。


のだが。


その摘便事件後から、酷い眩暈に襲われるようになったのだ。


動くたびに視界がぐわんぐわんと揺れる…。


ベッドから起き上がる時

退位を変える時…。


そんな状態が数日続き、助産師の前で眩暈が起こる度

「眩暈がする…。」

と言っていたら、ある日前触れもなく耳鼻科に連れて行かれた。

耳鼻科医師の診察を受けることになったのだ。


問診などの診察の結果は、耳石(じせき)が濃厚とのことだった。


耳の奥に出来た小さな石灰がポロリと外れ、三半規管の中に入る。

その“石“が、動く度にコロコロ転がって眩暈を起こすのだという。


治療方法は特になく、時間とともにその石が自然と三半規管の外に出ていくのを待つしかないらしい。


とはいえ、耳鼻科医はメニエール病を疑っていたようなので、安心した事には代わりないのだが…。

起き上がる度、体位を変えるたびに襲われる眩暈は、本当に辛かった。


眩暈が治ったのは、耳鼻科診察から数日後のことだった。


それでもまだ、なんとか自分で起き上がり、自分で車椅子に移乗し、自分で洗髪台や診察台に上がる…。

そういうことができていた。


ただ、ベッドから起き上がるのに脂汗をかきながら、3〜5分ほどかかるようにはなっていたが。


大袈裟ではなく、本当に。

背中や腰の痛みで起き上がるのも一苦労だったのだ。



それでも、まだできていた。


そう、できていたのだ。

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