↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乳がんとともに  作者: 蒼井 つばさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/22

病状の安定。治療や環境の進歩。

リハビリ環境が変わり、少しずつ歩ける距離も少しずつ伸びてきた4月。


少し前から体調を崩していた。

その原因が、どうやら肺炎だったらしい。

診察時にはほぼ治っている状態ではあったが、炎症の値が上がっており、分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)が4週間休薬することになった。


自分である程度調整して飲まない期間もあったのだが、いざ医師からストップがかかると

『あぁ…。またか…。』

と不安になるのだ。


それくらいで?


そう思う人もいるだろう。


それくらいでも。

一喜一憂するのだ。


それが、自分の命を繋ぐ手がかりなのだから。


そんなことがあった、その年の7月のことだった。


それまでずっと骨のためにと、定期的に打っていた注射。

それがもう必要ないだろうということになったのだ。


それと同時に言われたことがあった。


「卵巣機能が上がっています。」


正直、少しだけ嬉しかった。

もう諦めていたことだった。

でも心のどこかに、まだ“ふたりめ”を望む気持ちがあったのだ。


だが、その次の瞬間


「なので、女性ホルモンを抑える注射をします。」


と、いとも容易(たやす)くその希望を打ち砕かれたのだった。


そして、8月のお盆の時期。

随分前に結婚して上京していた友人が帰省していていた。

折角だから会おうと言ってくれていて、遠出が難しいため我が家へ来てくれた。


乳がんの進行状況や、ホルモン剤を飲んでいることはある程度話していた。

彼女は私の年齢も知っている。


そんな彼女から、話の流れでこんな事を言われたのだ。


「つーちゃん。本当にふたりめはないの?」


頭を殴られたような感覚だった。

笑顔は保ちつつ、一瞬目の前が真っ暗になる。


「んー。ないっていうか、無理だからね…。」


そう答えるのが精一杯だった。


長年の付き合いではあったが、一瞬軽蔑をしてしまいそうになった。


子どものことなんて、ただでさえデリケートな問題だ。

話題に出すことはタブーなのが、今の時代普通のこと。

それが私の解釈だった。


そんな話題を振られたからだろうか。

ないものねだりなのだろうか。


未だに、第二子を諦めたくない気持ちが捨てきれない。


決して口には出さない。

言ったところで叶わない願いなのである。

たとえ叶ったとしても、それは自分の命と引き換えになるだろう。


そんなことは夫が許さないし、主治医も許可はしないだろう。


それがわかっているのである。


胸に残る気持ちを整理して、心の奥へしまい込んだ。


そこから約4ヶ月

日々の買い物や、リハビリの成果だろう。

随分歩行速度も上がってきた。

そのこともあり、歩行器を電動アシスト付きからアシストなしに変更することにした。


はじめはアシストなしに慣れず、なかなか安定しなかった。

だが毎日使っていると、すぐにそれにも慣れた。


安定して歩けるようになり、荷物が少なければ歩行機ではなく杖でも外出できるようになった。


夏に打つようになったホルモン注射も、体調や採血的にも問題ないとの診断だった。

そのため、年が明けた2026年の1月には半年毎の薬剤に変更することになった。


全てが順調だと思った。


だからこそなのだ。

Stage4でも今こうして元気に過ごせている自分のことを発信する。

そうすれば、それが今まさにStage4の乳がんを告知された人への希望になれたらいいと思った。


だから、この『乳がんとともに』の執筆を決めたのだ。


…そう。

全てが順調だと思っていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。