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乳がんとともに  作者: 蒼井 つばさ


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16/17

休薬明け。再調節の開始。新たな日常。

3週間の休薬が明けて、分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)が再開した。


2段階減で再開するものとばかり思っていたが、1段階限から再開。

だが、次の診察日までの間、やはり副作用が強く出ていた。

生活にも支障が少なからずあったことから、調整を繰り返していた。


ようやく内服量が2段階減で安定したのは、3月になってからだった。


この2段階減で、ある程度副作用の症状も落ち着いた。

採血の結果も安定して来たということで、この量で落ち着くこととなった。


主治医曰く

「大体、下痢の症状は1年くらいで落ち着いてくる人が多い。」

とのことだったが、私の場合は服用開始から2年以上経った今でも、その日の体調や食べたものなどによっては続いている。


この分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)は、体調や症状で自己判断で中断してもいいと言われている。

胃の調子や、娘経由の感染症などで体調が思くない時はきっちり飲み飛ばす。


最近になって副作用が出やすい状況がなんとなく掴めてきた。

お酒を飲んだ時

辛いものを食べた時

刺身などの生物を食べた時…など


そういうものを摂取した時も飲み飛ばすようにしている。


そうして、一応の体調の波を整えているのだ。


抗がん剤を終えてから半年ほど。

落武者のようだった頭も、髪が随分と生えそろってきていた。


抗がん剤前後で髪質が変わると言う話は、この頃参加し始めていたLINEのオープンチャットからの情報で知っていた。

実際、私もその例には漏れなかったらしい。


抗がん剤前は、どちらかというとサラサラストレートだった髪。

多少の癖はあったものの、周りから褒めてもらえることの多かった自慢の髪だった。


ところが、生え揃ってきた髪はクルクルの剛毛。


最初はさほど気にならなかった。

野球少年のような長さで、癖なんてあってもあまり関係がなかったのだ。

だが、伸びてくるとその癖毛具合が目立つようになった。


例えるなら、アフロヘアのようになっていた。

その髪が私は大嫌いだった。


だが、抗がん剤と戦い抜いた末の勲章でもあるはずなのだ。


4月。

娘は第一志望だった保育園に入園した。


入園式はないが、“にゅうえんおめでとう”の看板は立ててくれている。


一旦帰宅した後、自宅で待っている私を迎えにきてもらい、もう一度保育園へ向かう。

しっかりメイクもして、ウィッグもかぶり、少しでも“綺麗なママ”を装った。


園がお世話になっているカメラマンさんも、私が行く時間を空けていてくれたらしい。

その看板の前で、3人でとってもらう事もできた。


この頃から、園の方でも私に色々配慮してくださっていてありがたい限りなのだ。


慣らし保育は、基本夫にお願いしていた。

私は初めての給食の日に、夫の送り迎えで参加させてもらえた。


私の心ばかりのワガママだった。


本当は、全て夫に任せてしまった方が、園としても楽だったはずなのだ。

それでも、少しでも園活動に関わりたいという、私のささやかなワガママだった。


そして5月のこと。


以前からCVポートを留置している右腕が浮腫んで痛かった。

腕が空気で満パンになっている風船のようで、今にも破裂しそうなほどだったのだ。

そんな症状が続いていたため主治医にも相談した。


その結果、しばらく使うことがなさそうだからということで、一旦抜去することになったのだ。


それからようやく、ひどい浮腫からは解放された。


…ある程度は。

だが。


多少のむくみはそれから2年が経った今でも持続はしている。

あの頃の、今にも破裂しそうな痛みを伴うほどではないが。

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