熱いハート
ようやく動ける様になったジークの元へ、バーチュが戻ってきた。
そのバーチュは自分を追い込みキレだした。
『喰ってやる! 何もかも! 全てオイラにしてやる!』
怒り狂うバーチュに対し、ジークは冷静な言葉を告げる。
『自分の行いを人のせいにしてはいけない。……そう、ワタシも……』
命令とはいえ、過去に多くの命を奪ったジークは罪を感じていた。だが、その罪を誰かに擦り付けたり、拒もうともしなかった。彼は全て受け止めようとしていた。
『ウルサイ! ウルサイ! ウルサーーーイ!!』
叫びながら、ドンッと大きく腕を横に振り、木を薙ぎ倒すバーチュ。
『オイラは悪くない! 全部他のヤツがいけないんだ! オイラをイジメたヤツもそう! オイラをフッたあの女もそう! 全部ぜんぶゼ〜ンブッ、アイツ等がいけないんだーーー!!』
バーチュは薙ぎ倒した木を貪り始めた。すると、バーチュの指がつるの様に伸び、ジークの身体に巻き付いた。
『オマエも喰ってやる!!』
指が縮みジークを引き寄せる。そして、ジークの肩にかぶり付いた。すると、バーチュの身体は鋼鉄の身体へと変わっていった。
『凄い! 疲れる事の無い、この身体なら何でも出来そうだ! ハーハッハッハッー』
高笑いをするバーチュのスキをつき、離れるジーク。
食べられてしまった側の腕は使い物に成らない。そう判断して腕を切り離した。
バーチュはギンッと目を光らせ、ニヤッと笑うと、ジークに向かって走り出した。
『アナタの様な人は、ワタシが必ず止めて見せます』
ジークもバーチュに向かい走り出した。
しかし、パワーもスピードもバーチュの方が上だったため、ジークの身体は吹っ飛ばされてしまった。
『機械って凄いなぁ。オイラ感動しちゃったよ』
自分の身体を眺めながら興奮している様子。
『ワタシは……』
ガタガタの身体をゆっくりと起き上がらせようと、ジークは力を振り絞った。
『ん? まだオメー動けたのかぁ』
バーチュはゆっくりとジークに歩み寄った。
『ワタシ……は……』
(また、ぶっ壊れたら容赦しないんだから!)
『ワタシは、負けないっ!』
カッとジークの目が光った。
『ウオォォーーーーッ!!』
ジークが叫ぶと目の前に新たなパーツが現れ始めた。
ガシャンと音を立てながら、ソレ等が装着されていく。
手には紅く染まった熱を帯びた刀。胴体を守る白と赤のアーマー。翼を型どった様なブースト。【Gー9 SIN】
この装備を造った時、老婆が言った。
『絶対に死ぬんじゃないよ。お前を造り直すのは簡単だ。でも、お前はお前しかいないんだ。それに、罪を償いたいんだろ? 死んだらそれも出来やしないよ』
笑いながら語りかけてくれた。その言葉がうれしかった。約束を果たせないかもしれない。だけど引くことは出来ない。仲間のため、自分のため、そして目の前の敵のため。ジークは、バーチュに人のせいにせず、自分の罪は自分で背負わせたかった。自分と向き合って欲しかったのだ。
『ワタシは逃げない!! 例え全てを失っても、ワタシは逃げずに立ち向かう!!』
刀を構えると、ジークは飛び出した。
『逃げれば良いものを……』
ジークの胸は、機械と化したバーチュの腕に貫かれていた。
ジークの目の光は消え、機能が停止。いわゆるシャットダウン状態だ。
次の瞬間、停止したはずのジークの腕が動き出し、胸を貫いたバーチュの腕を掴んだ。
『クッ、離せっ、離せっ!!』
バーチュは抵抗するがジークは、決して離さなかった。ジークの目は、チカチカと切れかけの蛍光灯の様に点滅している。それでも尚、なんとか力を振り絞り、刀をバーチュに突き刺した。
『マ……スター……』
ジークもバーチュも、両者共に動きを止め、この戦いは幕を閉じた……。




