暴食 ー グルトニー ー
心を持たぬ殺戮兵器、ジークもかつてはそうだった。でも、今は違う。誰かの命令ではなく、自分の意思で動くことができる。主の為、仲間の為に彼は立ち上がった。
『ワタシと主の絆を見せてやろう』
ジークの目の前に、機械のパーツが突然現れた。
老婆は空間転移の魔法を分析し、いつでもどこでもパーツを転移させる事を可能にしたのだ。
そのパーツをジークは装備した。ガトリングガン、ミサイル、ビーム兵器。どれも重装備だ。
素早い敵でも手数でどうにかなると判断した。だが、それは間違いだった。
『オイラにそんなの通用しないんだな』
バーチュは腰に下げた袋から何かを取り出し、バリバリと食べ始めた。
すると、バーチュの身体は硬くなり、全ての攻撃を受けきったのだ。
『なっ!?』
これには流石に驚きを隠せないジーク。
『オイラは今、ダイヤモンドを食べたんだ。食べた物を自分の力に変える。コレが、オイラの能力【暴食】!!』
つまり、バーチュが先程、袋から出していたのはダイヤモンドだったのだ。
『それじゃ、次はコレを食べようかな』
再びバーチュは袋をあさり始め、また何かを食べ始めた。
すると、ジークの身体がバーチュに引き寄せられていった。
『何だ!? 身体の自由が効かない!?』
バーチュの目の前まで引き寄せられたジークは、身動きが取れず、ただの機械の塊にすぎなかった。
『そ〜れっ!!』
バーチュはジークに殴り掛かった。金属で出来た身体でも、バーチュの攻撃は通用した。
なんとかして離れようとするが、抵抗できない。
『オイラ、今度は磁石を食べたから、もう離れられないぞ?』
ジークの弱点を突いてきたバーチュ。
『それそれそれ〜!!』
バーチュは、サンドバッグの様にジークを殴り続けた。ジークは藻掻いた。ただ、ひたすらにもがき続けた。藻掻いた末に、ジークの身体は次第に熱くなっていった。
これも、機械特有の性質。無理な起動をし続ければ、すぐに熱を帯びてしまう。寿命が縮む事を覚悟した、ジークの捨て身の抵抗だった。
その甲斐もあり、ジークの身体の熱は走行後のバイクのマフラーの様になっていた。そのため、触れたバーチュは、
『あぢゃーーーーーっっ!! ぢゃぢゃっ!!』
とてもじゃないが、触れていられなかった。すぐに、適当な物を食べ、ジークを自分から離したのだった。
ようやく離れる事が出来たジークは、かなりボロボロの姿に成り果ててしまった。その上、オーバーヒート。しばらく動くことが出来そうに無かった。
『なかなかやるじゃねーか。でも、今がチャーンス!!』
動けないジークに追い討ちを掛けようとするバーチュ。しかし、その瞬間!
ピューッと風が吹くと、バーチュは飛ばされてしまった。
『ぎゃーー!!』
先程バーチュが食べたのは、袋に入れっぱなしだった、いつか食べたキャンディーの包み紙だったのだ。
これで少しは時間が稼げそうだ。今の内に身体を冷ますジーク。
なんとか動くことが出来るようになった。しかし、機動時間は長くはないだろう。
短期戦で決着を付けなければならない。そんな時、バーチュが戻ってきた。
『遠くまで飛ばしやがって! オイラ、もう怒ったかんなーーーっ!!』
また自分が悪いのを人のせいにして怒り出したのだった。




