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オズと召喚士  作者: 森ハム
第2章 〜 神様地上生活編 〜
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不死鳥 ー前編ー

 男はある理由で旅に出ていた。その途中で立ち寄った洞窟を抜けると、岩山に囲まれた小さな国が有った。出入り口はその洞窟だけ。さもなくば、空を飛んで行くしかない。まさに、隠れ里の様な国だった。

 食料が底を付き、男は何日か飲まず食わずの生活が続き倒れてしまった。

 次に男が目を覚ました時、目の前に幼き少女が座っていた。

『あ、目が覚めた?』

 少女は微笑んだ。男が起き上がると、濡れた布が額から落ちた。

『……これは、君が?』

 コクンと頷く少女。男は立ち上がろうとするが力が入らない。

『……お腹空いてるの? 良かったらコレ食べて!!』

 そう言って少女は自分のサンドイッチと飲み物を取り出した。男は少女から食べ物を奪うみたいで気が引けたため、断ろうとした。だが、気が付けば手にサンドイッチを既に持っていた。あまりに空腹だったせいで、無意識のうちに食べようとしていたのだろう。

 少女は無邪気な笑顔で、早く味の感想を聞きたそうに、まだかまだかと男を見ていた。それを、見てしまっては食べずにはいられない。

 男は大きな口でサンドイッチを食べ始めた。あっという間に平らげると、少女は身を乗り出して聞いてきた。

『どう? 美味しかった? ねぇ、美味しかった?』

 食べるのに必死で味なんてわからなかった。しかし、何かを期待している少女に圧倒された男は、本当の事を言えない。

『うん……美味しかったよ』

 すると、少女はパァーッと笑顔で両手を上げ喜んだ。

『やったぁー!!』

 少女は興奮して男の上に跨り、顔を近付けた。

『コレね、コレね、ユーフォニアが作ったんだよ。初めてね、一人で作ったの。それでね、折角だからお外に来たの』

 少女の名はユーフォニアというらしい。

『ありがとう、ユーフォニア』

 男がユーフォニアの頭を撫でながら御礼を言うと、少女はとても嬉しそうに照れながら笑っていた。

『ユーフォニアね、いい子いい子されたの初めて〜』

 少女は初めて頭を撫でられてご満悦。

『お弁当作った甲斐が有ったなぁ〜。やっぱり中身をブチブチにして良かった〜』

 ブチブチ? 確かに少し変わった食感だった様な気がした。

『……中身ってどんなのだったの?』

 男が恐る恐る聞くと、少女はゴソゴソと鞄をあさり出した。

『コレだよ』

 ニコニコと笑う少女が手に持つ物は、紫色した何かの幼虫だった。ていうか、少女はコレを食べようとしていたのか……?

 男はソレを見て、今にも吐き出したかったが、喜ぶ少女の目の前でできるはずが無かった。気持ち悪いのをグッと堪えていたら、いつの間にか気を失い倒れてしまった。

『姫様ぁ〜〜〜!!』

 遠くから男の声がした。声は少しずつ近付いてきた。

『姫様、ココに居られましたか。困ります、勝手に城を抜け出されては……』

『……ごめんなさい』

 ユーフォニアはこの国のお姫様だったのだ。

『さぁ、姫様帰りますよ』

 城の男が少女の手を引くと、

『待って、この人も連れてってあげて』

 倒れた男を見て城の男の顔は強張った。


 男が目を覚ますと、そこはフカフカのベッドの上だった。起き上がろうとするが、上手く身体が動かない。それだけ男は衰弱していたのだろうか……。否、よく見ると男は縄で縛られて横たわっていた。

『クソッ! 何なんだよコレはっ!?』

 男はもがくが、縄が緩む気配は無い。しばらくして、三人の兵達が部屋に入ってきた。その内の一人は手に槍を持っている。

『立て! 王がお呼びだ!』

 乱暴に男を連れて行く兵達。

『何だよ!? ボクが何したっていうんだ!?』

 兵達は男の言葉に耳を貸す気が無いらしく、遠慮なしに引きずって王の元へと連れて行った。

 王の姿を見て驚いた。王は赤い羽に覆われた鳥人だったのだ。

『貴様は何者だ? 我の力を欲する愚かな人間よ』

 王の問に対し、男は訳がわからなかった。前にも似たような事が有ったのだろうか? どうやら、他の何者かと勘違いしているらしい。

『言っている意味がわかりません』

 男は正直に答えた。だが、それを信じる者は誰一人居なかった。

『とぼけるな! この不死鳥(フェニックス)の不死の力を求める意外にココへ人間が来るハズ無かろう!!』

 王は不死鳥(フェニックス)だったのだ。

 王は男の言い分を聞かなかった。

『我の炎で灰と化せ!!』

 王は片手を前に出し、掌から炎を出した。万事休すと思ったその時、バタンと大きな音を立て扉が開いた。

『お待ち下さい、お父様!!』

 突如現れたのはユーフォニアだった。先程出会った無邪気なユーフォニアとは大きく違い、凛とした態度で王に向き合った。

『何しに来た、ユーフォニア』

 ユーフォニアは王と男の間に立ち、両手を広げた。

『何のつもりだ?』

 王は男を庇うユーフォニアに問い掛ける。すると、ユーフォニアは凛々しく答えた。

『お父様こそ、どうなさるおつもりですか? この方は私の友人です。この方を殺すと言うのなら、私を殺してからにして下さい』

 王とユーフォニアは互いに睨み合った。王は観念したのか、炎を消し腕を下げた。

『不死身のお前を殺せる訳が無かろう……。縄を解いてやれ』

 その言葉に兵達は、耳を疑い呆然と立ち尽くしていた。

『早く解けと言っているのがわからぬかっ!!』

『はいっ!!』

 兵達は王に怒鳴られ、急いで男の縄を解いた。

 男はユーフォニアの前でしゃがみ込んで、頭を撫でて例を言った。

『ありがとう、二度も命を助けて貰ったね』

 ユーフォニアは無邪気な笑顔を再び見せると、王は咳払いをして男に訪ねた。

『人間よ、名は何と申すか?』

 そういえば、ユーフォニアにも自己紹介をしていなかった。

『ボクは【ゼブラ】、旅人です。ここにたまたま迷い込んでしまい、姫様に命を助けて頂きました』

 深々と頭を下げるゼブラ。

『疑ってすまなかった。ココ何年か、我が力を狙う輩が多くてな……。詫びと行ってはなんだが、そなたを客人として持て成そう』

 王がパンパンと手を叩くと、兵達はゼブラを客室へと案内させ窓際に立って背を向けた。

『お父様、ありがとうございます』

 王に礼を言うと、ユーフォニアはゼブラを追い掛け、客室へと向かって走り出した。

(とうとうユーフォニアにも友人が出来たか)王は人知れず涙を流し、娘の幸せを喜んでいた。


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