怒る少女とメガネの騎士
先程まで、確かにユーフォニアの心臓は停止していた。傷口から炎が出たと思ったら、傷口は塞がり心臓が動き出した。ジャンヌはまだユーフォニアが不死身だという事を知らない……。
ユーフォニアは再び炎を纏った。改めて見ると、その姿はとても美しく幻想的で、戦闘中でなければ見とれてしまう程だった。
しかし、幼き故に戦い方はお粗末で、バカの一つ覚えの突進ばかり。だけど、威力は凄まじく、隕石を相手にする様だった。
それでも、技量はジャンヌの方が数倍上手。威力を殺し、攻撃を無効化するのは容易かった。
何度かそれを繰り返した時、等々嫌気が差したユーフォニアは、怒り任せに炎を放出した。
『もぉ〜、つまんない! つまんない! つまんない〜っ!!』
辺りの気温は一気に上昇し、ジャンヌが手に持つ剣も熱を帯び、持つ事もままならなかった。
それを見ていたゼブラは戦いの最中に抜け出して、ユーフォニアの元へと急いで飛んで行った。
『お鎮まり下さい、【姫様】!!』
とっさの行動でユーフォニアを姫様と呼ぶゼブラ。
『もぉ〜っ!! 頭にキタ〜!! 全部燃えちゃえ〜!! 全部消えちゃえ〜!!』
今のユーフォニアにはゼブラの声も届いていない様子。
『かくなる上はっ!!』
ゼブラは心の中で謝罪をし、呪文を唱えた。すると、空は曇り始め、ユーフォニアに目掛け雷を落とした。
雷はユーフォニアに直撃!!
ユーフォニアからは炎が消え、再びその身体を地に落とした。
何が何だかわからない牙王とジャンヌ。
しばらくすると、ユーフォニアは目を覚ました。
『あれ? 私、どうしたの?』
キョトンとするユーフォニアにゼブラは片膝を付き、頭を下げた。
『申し訳ありません。貴方には一度死んで頂きました』
ボーッとする頭をフル回転させ、彼女は先程までの出来事を思い返していた。
『そっか、またやっちゃったんだ……。止めてくれてありがとう、ゼブラ』
天使の様な少女の微笑みに顔を赤く染め、ゼブラは再び頭を下げたのだった。
ようやく、息を切らせながら走り、牙王は追い付いた。
『……突然……どうしたんだ……?』
『………』
何か言えない理由でも有るのだろうか? その問にゼブラは沈黙していた。
ゼブラがゆっくりと立ち上がると、こう言った。
『それも踏まえ、我々に勝つ事が出来たら教えます』
『そちら側に付くのにも、何かしら理由が有るのだな?』
ゼブラは沈黙した。しかし、何も語らずとも、その真っ直ぐな瞳が物語っていた。
その姿勢に牙王は心を打たれ、漢として恥じぬ戦いをしようと心に決めた。それに釣られる様に、ジャンヌの心の迷いも消えた。
残す時間もあと僅か、決着の時は近づいていた。
ー 制限時間 残り3分 ー




