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オズと召喚士  作者: 森ハム
第2章 〜 神様地上生活編 〜
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制限時間 ー タイムリミット ー

 コツコツと牙王に歩み寄ってくるゼブラ。牙王は身構えるが、ゼブラは攻撃を繰り出す気配は無かった。むしろ、牙王の攻撃を待っているかの様だった。牙王は、後ろへと少しずつ距離を取る。ゼブラの歩みは止まらない。

(まったく、行動が読めねー……。知的な奴の考えはホント理解できないな……)

 ただ、浸すら力任せの筋肉バカには、このタイプは天敵だ。しかし、相手が何を企んでいるのかはわからないが、攻撃しなければ始まらない。

『どうしました? 何もしてこないんですか?』

 ゼブラは立ち止まった。

『イマイチ、お前さんと戦う理由ってのが、見いだせなくってね』

 確かに、直接危害を加えてきた訳では無い。本当は、戦うつもりだったが、戦わずに済むのであれば、それに越したことは無い。

『なるほど、それが理由ですか。でも、私はあなた方の敵ですよ?』

 攻撃を誘っているのか、自らを敵と名乗った。

『敵かどうかは俺が判断する。だが、警戒は怠らないってだけさ』

 少しでも時間を稼ぎたかった。未知なる敵の力を見定める為、自分が敗北した時に切り札である政宗の体力回復の為、理由は色々と有ったが、この男の無防備さに恐怖を感じていた。

『仕方がありませんね……戦う理由が無いなら作りましょう!』

 ゼブラは空の魔法陣に術式を加えた。

『今、新たな術を加えました。10分以内にボクに勝たなければ、術は発動し、一生あなた方はこの世界から出る事は出来ません』

『早まりおって……』

 いきなり無理矢理戦う理由を作られてしまった。オマケにタイムリミット付き。牙王は焦りを感じ始めていた。無防備の相手に攻撃を仕掛けるのは簡単だ。だが、その裏には何か潜んでいるのではないか? という疑念を取り払う事も出来ずにいた。

 牙王は捨て身の覚悟でゼブラに殴りかかった。

 ゼブラは避ける仕草も見せずに、その攻撃をまともに受けたのだった。次の瞬間、痛みを訴えたのはゼブラではなく、攻撃した側の牙王だった。

『グアアァァッッ!! ……貴様、何をした!?』

 悲鳴を上げる牙王を見て、ゼブラはクスクスと笑みを浮かべていた。

『僕はただ、アナタの攻撃を受けただけですよ』

 何が起こったのか牙王には理解出来なかった。確かに牙王の拳は確実にゼブラを捉えていた。それなのにゼブラではなく、自分自身を痛めつける結果になるのか……。

 その謎を解く為に、再び牙王はゼブラに攻撃を仕掛けた。

『うああぁぁぁっっ!!』

 やはり、ゼブラではなく牙王がダメージを受けてしまった。

 今度はゼブラの動きを良く見ていた。しかし、ゼブラは何一つ牙王へ攻撃を仕掛けてはいなかった。

 この時、一つの仮説が浮かんだ。それを確かめるべく、牙王はもう一度ゼブラに殴りかかったのだ。ただし、今度は力を極力抑えて。すると、その攻撃した箇所と同じ所に軽く殴られた感覚があった。これで、謎は解けた。

『なる程な、貴様を攻撃すれば全て自分に返ってくるということか……。それ故に、貴様は何もせずにいたという訳か』

 ゼブラは手をパチパチと叩いた。

『その通りです。ボクの能力(ちから)は【写し身】。その名の通り、攻撃した相手は自分にダメージを負わせてしまうのです。最も、コレを発動していると、僕自身も相手に攻撃すると返ってきてしまいますが』

 何もせずに立っていた理由が判明した。相手にだけ攻撃をさせれば自分は傷付かずに済むということ。

 制限時間(タイムリミット)が有る限り、牙王は何もしないで過ごす事も出来ない。術式を追加する前に始めておけば良かったと後悔した。

『おやおや、何もしてこないんですか? まぁ、残り8分そのままでもボクは一向に構わないんですけど……ねっ!!』

 牙王の顔面目掛けゼブラは蹴りを喰らわした。

 ゼブラの話によれば、ゼブラ自身に返るはずなのだが、牙王の額からは血が流れていた。

『何故、貴様に返らない!?』

 ゼブラは笑った。

『そんなの簡単ですよ。マニュアルなので、ボクが攻撃する時だけ発動しなければ良いだけの事なのです』

 このままでは一方的にやられるだけだ。何とかして、活路を見出さなければ……。

 しかし、考える暇もなく、制限時間(タイムリミット)は刻一刻と迫っていた……。

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