切り札
再びアックスに圧倒され始めた政宗。さっきは油断していた訳ではない。ただ反応出来なかったのだ。スピード負けは、戦いにおいて致命的だ。
政宗は右手に炎を集中させ、アックスに殴りかかった。しかし、その右手はアックスの硬い水晶の羽に弾かれてしまった。
だが、殴った所が薄くだが黒く焦げていた。どうやら、ノーダメージという訳ではないらしい。これで、少しは勝機は見えた。
『ど、どうだぁ!! コ、コレが俺様の実力だぁーっ!!』
本人は翼が傷付いた事にも気付かずに、自分の力に驚き動揺していた。
『今度は俺様からいくぜっ!!』
アックスの翼から水晶の羽根が政宗目掛け放たれた。
政宗はシールドを貼った。今までのシールドなら破壊されていただろう。だが、今は違う。黒い炎を纏った政宗のシールドもサラマンダーの力に影響され、更に強度が増していた。
水晶の羽はシールドに弾かれ床に刺さった。床は石で出来ていたが、弾かれ落ちただけで刺さる程に羽は鋭かった。もし、今のを防がなかったら危なかっただろう。
『スゲーな!! 俺の羽!!』
アックスは驚き、自分の羽を指で軽く撫でた。すると、その指からは血が出てきた。
『イッテ!! 羽鋭すぎじゃね!?』
この時、姿を変えてから一番のダメージを受けたのだった。このアホみたいな行動を、政宗は一部始終、呆れ顔で見ていた。
(俺達、こんな奴にやられたのか……)何だか悲しくなってきた。
たしかにアホみたいな行動だが、実力が有るのもまた事実だった。
『楽しく成ってきやがった!! テメーもそう思うだろ?』
政宗は、その言葉に賛同出来なかった。何故なら、そろそろ体力の限界を感じていたからだ。
サラマンダーの力は強力だが、強力が故に体力の消費も激しかった。流石に、そろそろ決着を付けなければならなかった。
『悪いが、こう見えて俺は忙しいんだ。本気でいかせてもらう!!』
シールドで大剣を創ると、刀身に黒い炎を集め始めた。政宗は腰を落とし、限界まで身体を捻った。
政宗の炎はメラメラと激しく燃え、まるで炎が生きている様だった。
『コレが、俺の切り札だぁーーっっ!!』
【炎魔 黒龍旋!!】
大剣を思いっ切り振り抜き、アックス目掛け炎を放った。炎は龍の様に空を駆け巡り、アックスの周りをグルグルと囲み、螺旋状に何処までも上昇していった。
『グアアァァッッ!!』
アックスの身体は激しく燃え盛り、その場に崩れ落ちた。翼は灰となり消え去ると、アックスの姿は元に戻った。
『俺……様は……負……けな……』
必死に身体を起こそうとするが力が入らない。ボロボロのアックスは、執念を見せるが気を失ってしまった。
ようやく堕天使の一人、アックスを倒す事が出来たのだった。




