戯れ
政宗達が地上へ向かってみると、辺りは荒れ果て、仲間達はボロボロになり、瀕死の状態だった。牙王が冗談のつもりで言ったことが本当になってしまったのだった。
『オラオラオラーッ!! どうしたぁ? 天界ってのはこの程度なのか? 俺様一人で制圧出来んじゃね?』
空を見上げると、赤髪の堕天使が大声で笑う姿があった。この赤髪の堕天使が一人でみんなをここまで傷めつけたのだろうか……。
赤髪の堕天使はギラギラと目を光らせ政宗達を睨み付けてきた。
『お前ら、コイツ等の仲間かぁ?』
『あぁ、そうだ』
政宗達も赤髪の堕天使を睨み返した。
『そっかぁ〜、仲間なんだぁ〜。遊び相手が居なくなったと思っていたから残念だったけど……、まだ仲間がいたんだぁ〜』
薄気味悪くケラケラと笑っている。
『とにかく、ドロシーはみんなの治癒を! 俺と牙王でアイツを倒す!』
『わかった!』
ドロシーは最寄りの仲間の回復から始めた。赤髪の堕天使は少し残念そうにしていた。
『ん? たった二人で俺様と殺ろうってのか? 随分とナメられたもんだ。まぁ、良い。とっととおっ始めようっっぜっ!!』
赤髪の堕天使は政宗に向かって飛んできた。すると、牙王が政宗の前に立った。真っ向から赤髪の堕天使を受け止めようというのだ。
『ヒャハハハ! そういうの嫌いじゃないゼ!』
突っ込んできた堕天使に触れた瞬間牙王は吹き飛ばされてしまった。
『牙王っ!!』
ルナティックガーディアン随一の力の持ち主の牙王ですら、軽く触れただけで吹っ飛ばされてしまった。敵の力は計り知れない……。きっと、政宗がシールドを貼ったとしても容易く破られていただろう。
『デカイ図体のの割に脆い奴……。さて、次は貴様だぁ!!』
再び政宗に襲い掛かってきた。
全力でシールドを貼ったが、やはり容易く破られてしまい、蹴り一つで政宗は50m程吹っ飛ばされてしまった。
身体が痛みで動かない。そして、堕天使はゆっくりと近づいてくる。もう終わりだと思ったその時、何処からか声が聞こえてきた。
『戯れもその辺にしておけ。我の楽しみを奪うでない』
堕天の王と化した、雫の声だった。赤髪の堕天使は歩みを止め残念そうに唾を吐き捨てると、空高く羽ばたいた。
『俺様の名は【アックス】!! 次に会う時はもう少し楽しませろよ? 天界のウジ虫共ッ!!』
そう言ってアックスは姿を消した。
たった一人の堕天使相手に、誰一人として手も足も出なかった。政宗達は力の無さを実感せざるを得なかった……。




