強くなる為に
堕天使アックスに破れた政宗達。一人の敵に手も足も出なかった。
ドロシーの治癒により傷は癒えたが、いつも陽気な彼らも流石に堪えた様で静まり返っていた。
敗因は、【 圧倒的な力の差 】。天と地が逆さまになろうとも、覆すことの無い真実。それを実際に体験したのだ。
みんな黙り込み下を向いていた。そんな中、ジークは言った。
『ワタシは未だに恩を返せていません。どうか、今一度チャンスを与えていただけませんか?』
こういう時のメカの心は頼りになる。めげる事を知らないからだ。
その言葉に、一人、また一人と勇気づけられていった。
『チャンスって具体的に? 今のままじゃアイツにすら勝てないんだぜ?』
政宗のその一言に皆、再び悔しさが込み上げてきた。
『ワタシの前の主を今一度呼び出していただきたい』
その真相は解らないが、ジークの前の主の老婆をドロシーは呼び出した。この時、政宗のトラウマも記憶の底から呼び出された事は、言うまでもない……。
『おやおや、また会えたねぇ』
老婆はジークに近寄りそっとジークの顔に手を当てた。
『何か有ったのかい? 辛そうな顔をしているよ?』
老婆は表情を変えることの無い機械の心を読み取ったのか、そんな事を言った。
『ワタシは力が欲しい。かつての戦争の様に戦う為ではありません。大切な人に恩を返したい……守りたいのです』
その言葉を聞き、老婆は嬉しそうに微笑んだ。
『オマエが私に頼み事をする日が来るなんてねぇ。長生きはするもんだねぇ』
すると、老婆はドロシーに問い掛けた。
『何処か部屋を借りれるかい? それと、コレを用意して貰いたいんだが……』
老婆はメモを書き、ドロシーへ渡した。メモには工具や、機械の部品等の名が書かれていた。
ドロシーは部屋とメモに書かれている物を用意すると、老婆は腕まくりをして首を回した。
『さて、張り切ってやるとするかね。しばらく完成まで時間が掛かるけど、それまで中には入らない様にしておくれ』
そう言うと、ジークは老婆と共に部屋へと入っていった。
『俺達も、このままじゃあいけないな』
すると、政宗はレイに頭を下げた。
『俺に剣を教えてくれ!!』
レイは政宗に負けた。だが、刀を封じられさえしなければ、純粋な剣術でならば、政宗に負ける事は無かっただろう。だからこそ、レイに頼みこんだのだ。
『私も私の修行をしたいのだが……』
レイは困っていた、それでも政宗は頭を上げなかった。
『仕方ない……あまり、時間は作れないが少しだけ相手をしてやろう』
ため息をつくと、レイは根負けして政宗に剣術の稽古を付けることにした。
牙王とジャンヌもそれぞれ鍛錬を始めたのだった。
全ては、強くなる為に。




