漢の友情
雫奪還を決意したドロシー達。しかし、政宗は未だにショックから立ち直れていなかった。
そんな時の事、突然ドロシーの元へ一人の天使がやってきた。
『ドロシー様、大変です!たった今、堕天使の一人が地上で暴れているとの情報が!!』
さっそく雫の手掛かりのお出ましだ。
『私達が行ってきます』
ジャンヌとジーク、そしてレイの三人は地上へと向かった。牙王は何故か地上へは行かなかった。
『なぁ、ドロシーよ。政宗の妹ってのは可愛いのかい?』
牙王が突然そんな事を聞いてきてドロシーは驚いた。その時、僅かだが、政宗の耳がピクリと動いた。
『えぇ……可愛いと思うわ』
動揺しながらもドロシーは質問に答えた。すると、牙王は大声で笑いだした。
『そうか、そうか。それならなんとしても助けねばなぁ。そしたら嫁にでも貰うとするか』
上機嫌の牙王をよそに、政宗の身体はプルプルと震えていた。
『嫁に貰ったら政宗の事も【お兄ちゃん】と呼ばなきゃならないな。宜しくな、お兄ちゃん!』
笑いながら政宗の肩をポンポン叩くと、政宗は牙王にいきなり飛び掛かり、両手で牙王の襟元を掴んだ。
『テメーッ、さっきから言いたい放題言いやがって!!誰がお兄ちゃんだ!!誰がっ!!』
すると、牙王はフッと笑うと真剣な表情で政宗を見つめた。牙王はいつまでもシャキッとしない政宗を見兼ね、ひと芝居うったのだった。
『なら、お前が助けてやれ。いや、お前が助けなきゃならないんだ』
ゆっくりと政宗は牙王から手を下ろすと、スタスタと歩き出した。突然歩みを止め牙王の方へと振り向き叫んだ。
『牙王、俺を一発殴れ!!』
ニヤッと笑いながら牙王は、腕をグルグル回し始めた。
『良いか?手加減はしないぞ?』
『あぁ、頼む』
すると、政宗の顔面目掛け牙王の拳は飛んでいった。牙王の一撃はとても重く、政宗の身体は吹っ飛び、壁にめり込んでしまった。政宗から魂出かかっている。
『ゴメンッ!!やりすぎた!!』
慌ててドロシーは、意識のない政宗に治癒魔法を使った。
『痛たたっ……マジで本気でやってくれるんだもんなぁ〜』
頬を手で擦りながら政宗は言った。
『ホントに悪かった』
必死に牙王はペコペコと謝った。政宗はどこか遠くを見つめるような目をして言った。
『きっと、アイツは……雫はもっと痛い思いをしたんだよな……』
そう言いながら胸のあたりをギュッと掴んだ。
『ありがとう、ようやく目が覚めた』
政宗は立ち上がった。彼の瞳にはもう迷いは無かった。
『さて、みんながやられているといけないから、そろそろ俺達も地上へ行くとしますか』
そんなバカなと三人は笑いながら地上へと向かった。
しかし、そこで三人が目にしたのは、高笑いをしている一人の堕天使と、ボロボロにやられている仲間達だった。




